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忘れることのできない12月29日

12月29日。
わたしにとって、この日は、とても大切な日の1つです。
まずは、わたしの誕生日の前日であること。12月30日です。初老です(笑)
アトピー性皮膚炎ですが、1日おきに徹夜で1週間過ごしても生きていける丈夫な体を父と母が作ってくれました。

そして、もう1つは、わたしが16歳を迎えようとしていた12月29日の夜に、幼馴染の無二の親友Dが心筋梗塞で亡くなったことです。

当日のことは未だに覚えています。

12月30日の朝、母が何度もわたしを大声で呼ぶ声。
んだよぉ、大掃除やらないといけないかー、だるいなぁ、と思いながら居間に入った瞬間、台所で何か作っていた母から言われたのは

「あのね、Dが死んだかもしれない」と。

嘘つくな!とわたし。
母が買い物にでかけたらDの家の様子が変で、丁度会ったお向かいさんからDが死んだって聞いたのよ!っていうやりとりになり、
じゃ確かめてくるとわたしは母に伝え、Dの家に向かいました。
わたしの家とDの家は徒歩で100mぐらいの近所なので、徒歩でも数十秒で着きます。
ただ向かう途中で何か変な胸騒ぎがしていました。
もしかしたら本当かもしれない、と。そんなドキドキ感です。

Dの家に着いて早々、あれ?母の言う通り家の様子が変。この静かな感じなんだろう、何かおかしい。Dの家の縁側を見たら
え!?家の縁側に黒と白の幕がかかってる。
その瞬間、自分が動揺し、母が言った「Dが死んだ」ということが事実だと認識しました。

Dとは小さい頃から一緒でした。わたしがDに付いていったというのが正しいです。Dは頭脳明晰、頭の回転も速く、運動神経も良く、そして、周りを笑わせてくれてた存在でした。
小学生の頃、毎週日曜日の午後はDの家でボードゲームしたり、クリスマス会の出し物でコントやったり。
中学校の文化祭の出し物で演劇を一緒にやることになり、わたしがDを殴るシーンで、Dはガチで殴っていいよとわたしに伝え、わたしはガチでDを殴り先生方から高評価を頂いたり。
中学校の放課後、帰宅途中に建築中の家がダンボールみたいだったので、「ダンボールの家!」って大声で言い、そこの家の人に見つかりダッシュで逃げたり。
中学校卒業後、Dがみんなに声をかけて、近所の幼稚園に忍び込んで野球をやったり。
あれほど野球が好きでやりたかったのに、内臓を患ったこともあり、高校では音楽部(吹奏楽部)に入ったことを聞き、ならわたしは吹奏楽じゃなくて重音楽部作っていい?っていう話をしたり。
Dがギター始めたという話を聞き、Dがギターならわたしは鍵盤を弾くって言い始めてピアノを我流で練習し始めたら、じゃぁさバンドやろうよって言われ一緒に練習したり。
進路の話をしていた時に、うちは兄貴が医師だからわたしも同じ道か、または薬剤師かなぁ、ちなみにDは?って聞いたら、Dは京都大学へ行きたいと言い、それなら、大学卒業したら偉くなってうちの町の町長になっちゃえよ、今のこの町だとどうしようもなくなっちゃうから、何とかしてよ!なんていう話もしたり。
高校の勉強が嫌だったわたしを気にかけてくれてたり。
いろんなことが頭の中を過ぎていきました。

帰宅して母に「本当だった」と伝えてすぐ、自分に今何ができるんだ?と考え始め行動に移しました。今できることは、Dが亡くなったことを1人でも多くの同級生や恩師に伝え、みんなでDを三途の川に送り出してやることぐらいしかできない、と。黒電話の受話器を持ち、友人と中学校の恩師に連絡し、みんなで集まりDのお焼香しに向かいました。
Dの母と会い、Dの母から
みんな来てくれてありがとう!顔を見てあげて!と涙目で言われ、
Dの顔を見せて貰いました。
亡くなったとは思えない、静かに眠っている顔。とても顔色が白かった。
「あれ?みんな何してるの?」と言いながら目を開けてきそうな感じ。本当なの?という気持ちばかりで、涙は流れませんでした。

散開後は自宅の和室でビートルズの「Don't Let Me Down」を聴きながらDとの思い出を思い出していくうちに「バカヤロー!先に逝きやがって!」っていう気持ちで溢れ、目元から涙がしたたり落ち、自分の誕生日が過ぎていきました。
もう、Dは生きていないんだ、と。

Dの死を通じ、わたしは
人はいつか必ず死ぬ、いつかはわからない、突然やってくる
残された自分にできることは、死を受け入れ、亡くなった人の分まで生きなければならない
ということを理解しました。

今日でDの命日34年目。
今のわたしは、当時まったく想像もつかない仕事についてますが、16歳で亡くなったDは、きっとわたしが医師か薬剤師になっていると思ってるよなぁと懐かしくなりました。

Dへ。
いずれそっちに行くから、三途の川で見つけたら声かけてね♪
夢を実現できなかったワシの話を受け入れてちょうだい。

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