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この世とあの世のあわい

七つまでは神のうち

という言葉があった。今よりもずっと子供が育ちにくかった頃、七つまではいつ死んでもおかしくない、この世に命が定着していない、といった意味だろうか。

童謡のとうりゃんせは七つのお祝いの帰り道の歌だ。

私はこの「七つまでは神のうち」を初めて聞いたとき、「ああ、知ってる」と思った。明確にななつまでだったのか記憶はないが、私はその頃まで、あの世とこの世を行き来していた。あの世とこの世のあわいで生きていた。

暗闇にいると、自分がとけてなくなる感覚を何度も味わった。自分の個がとけて闇に交じり合う感覚を何度となく味わった。私の魂はこの世に足をつけていなかった。

人は眠ることで毎日死んでいるという。あれもまたこの世とあの世のあわいだろう。子供が寝る前に泣くのはあの落ちていく感覚が恐ろしいからだ。

私は自分をとかす装置としての暗闇がひどく怖かった。「自分」だと認識しているものが他と交じり合う感覚が恐ろしかった。

あまりにも何度も味わったせいだろうか、未だに目を閉じると自分と、この世との境い目があいまいになる感覚が起こる。

昔ほどの恐ろしさはないが、人よりも「自分」の感覚があいまいかもしれない。



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