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短編小説:奴隷

終わらない。
終電で果たして帰れるだろうか。

考えても仕方ないので兎に角進めるしかない。
部下は育休明けだ。
分かっている、仕方がない事くらい。
でも、良く休む。
時短勤務。残業はできない。働き方改革、当然だ。
でも、その分仕事の量が減る訳ではない。
つまりその分、誰かがカバーするのだ。
誰が?
管理職が、だ。

管理職とは便利な言葉だ。
残業代も出ない。
すべての責任を負わせられる。
会社における真の奴隷は間違いなく管理職だ。

「すみません、子供が熱で・・」
部下の休みはいつも突然で、しかもどのくらい続くのか分からない。
来るか来ないか分からない人に仕事を任せる不安を常に抱え、胃がキリキリとしている管理職など山の様にいるだろう。
「大丈夫、やっとくから」とやり掛けのどうなっているのか分からない仕事を引き継いで締切に間に合わせるために自分の業務を終えてから深夜に働く管理職がゴロゴロいるはずだ。

世の中、働き方改革で、残業はダメで、パワハラはダメで、そうだよね、そんなの当然だと思う。

でもさ。
夜中に働いていると思うんだよね。
それ、誰かの犠牲の上に成り立ってるよね。

管理職って、奴隷だよね、って。

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