短編小説:好きな人
「大丈夫?」
たいして心配してもいない人ほどそう聞く気がする。
昨日から一体何人に聞かれてることやら。
「全然平気」
そっけなく私は答える。
なのにさ。
勝手に話を作らないでくれる?
気がつけば、私は裏切られ傷ついている可哀想な子になってた。
私の親友と幼馴染は2人して恋に落ちて私を裏切った悪人になってる。
誰に説明しても通じやしない。
世の女の子がみんな幼馴染に恋してると思うなよ。
痛々しい目で私を見るのはやめてくれ。
言えば言うほどウソっぽくなる。
もうほっとくしかない。
可哀想なのは、私の親友。
運悪く私が風邪をひいて休んだら、すっかりそれは彼女のせいにされてしまったらしく、周りから散々私が可哀想だと責められたらしい。
出てきた日も具合が悪くマスクして目をしょぼしょぼさせていたのが拍車をかけた。
ちょっと体調が良くなってあたりを見回してはじめて気付いた。
遠目に申し訳なさそうな親友と私を守っているつもりであたりを固める勘違いキャラと、まったく目を合わさない幼馴染。
どうなってるの?
知らない間に話が進んでいて驚く。
え、ナニコレ。
私、失恋して、親友に裏切られたキャラを演じなきゃならないの?
つい先週までの楽しい学校生活が一変。
詰んだ。
このセリフはこう言う時にいうらしい。
女子高生がみんな年中恋してると思うなよ。
誰でも良いわけじゃないんだからさ。
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