大手企業社員が語る!インターンシップのリアルな選考基準
今回は、大手企業でインターンシップの企画から運営を担当している筆者がインターンシップ参加の選考ポイントをお伝えします。
夏インターンシップが終了し、我が社では冬インターンシップの準備が始まっています。
どんな人材を獲得したかという人材の定義から始まり、その適性を明らかにするためのプログラム内容の検討、そしてどのようなポイント(観点)で学生を評価するのかの検討を行っていきます。
8月中には企画をまとめて、9月には冬インターンシップとして募集をかけていくことになります。
今回はインターンシップ中にどのような観点で学生を評価しているのかについて書いてみたいと思います。
ただ、企業や採用した人材像によってポイントは異なってくると思いますので、あくまで一例ということでご紹介したいと思います。
1.ES(エントリーシート)の選考
まず、インターンシップへ参加するためには、書類選考と面接をクリアする必要があります。
一昨年の冬に行なった24卒向けのインターンシップでは、参加募集数8名に対して100名を超える応募がありました。
面接へ進んでいただく数を20名としていましたので、大半の方は書類選考を通過できません。
書類選考はエントリーシート(ガクチカ、自己PR、インターンシップを志望した理由)と適性検査で選考します。ESがしっかり書けているかが評価のポイントになります。
具体的なエピソードが書かれているか、人物像や考え方が伝わってくるか、簡潔に分かりやすいか、という観点で評価していきます。
ESを書く側の学生は、ESを読む企業の担当者がかなりの数のESを読まなければならないこと知っておく必要があります。
ESを読む担当者は数多くのESを読むうちに疲れてくるため、文章が分かりにくいとそれ以上読まないということが残念ながら発生するのが現実です。
最後まで読んでもらえないということを防ぐためにも、簡潔で分かりやすい文章であることが大切です。
ESの段階では100人から20人を選ぶだけなので順位づけは行いません。
○△×程度の評価で20人を選びます。次のステップで面接を行いますので、多少人数を超過して通過させることもあります。
2.面接での選考ポイント
20人を選ぶと次は面接となります。候補者一人一人オンラインでの面接を行います。30分で、ガクチカ、自己PR、インターンシップへの志望理由を聞いていきます。昨年度は、面接官が二人一組で以下のポイントで、学生の受け答えを確認し点数をつけていきました。
面接担当者は①〜④の観点を持ちながらESのエピソードを聞いていき、点数化して順位を確定していきます。
面接のスケジュールが限られており、その期間に終了するため面接官は複数のチームに分かれて選考を実施しました。
各チームの面接結果を持ち寄り、自分がなぜその学生がよいと思ったのかを説明していきます。
そのため、面接担当者が会議で明確、簡潔に説明できるように、学生側は、面接で自分の人柄や強みを分かりやすく説明する必要があります。
このような手順を経て学生の順位づけを行いインターンシップへの参加者を決定していきます。
辞退者が出た場合の補欠枠も確保し、インターンシップへの参加OKを順番に伝えていきます。
3.インターンシップ中の観察ポイント
インターンシップのプログラムは、対面形式の4日間で以下のように実施しました。
最終日に行うプレゼンのテーマは「顧客の課題を探索し、当社の製品サービスで課題を解決するための提案を実施する」に設定しました。
担当業界や当社の製品サービスに不慣れな学生にとって難易度はやや高めだったと思います。
情報不足を補うため1日目、2日目は提案を行うための情報インプットを厚めに行いました。
インターンシップ期間中の学生の評価は以下のように行いました。
①グループでの役割や態度
グループでのプレゼン作成をどのように行っているか。議論している時の役割や態度などを評価していきます。
学生にとっては難しいテーマでのプレゼンなので、議論がループしていき煮詰まっていきます。
その時に、学生がどのように振る舞うのかを見ていきます。
議論を仕切ることを求めているわけではなく、普段の発言が多くはないけれど行き詰まった場面で局面を打開するような適切な意見を出してくれたり、解決策そのものではなくても“こう進めたらどうだろう”という道を示すような発言をしてくれたりして、議論を前に進める態度や姿勢を評価していきます。
もちろん、物事の本質をついた適切な発言は高評価です。
グループの作業を進めるために如何にどのような役割で貢献するか、しているかというポイントでインターンシップ担当者は観察しています。
②個別面談での人物評価
個人面談では人物評価を行います。
ESの内容について深掘りして聞いていきます。通常の面接と大きく変わりませんが、これまでの経験からどのような人物であるかを評価しています。
③プレゼン発表の質
プレゼン発表の良し悪しも評価の対象となります。
プレゼンには管理職が参加します。
管理職は選考にあたって票を入れることになっていますが、インターンシップ期間中つきっきりで観察したわけではありません。
そのため、管理職の印象はプレゼンの良し悪しで左右されやすくなるのが実態です。
プレゼンの良し悪しだけで全てが決まるわけではありませんが、プレゼンの印象が良いことに越したことはないと言えます。
参考までに昨年度インターンシップでの評価が高かった学生への実際の評価のコメントをご紹介します。
Aさん
【全体】
物腰が柔らか。議論をまとめる役割を発揮した。
【Good】
・俯瞰して考えることができ、バランス感覚に優れている
・目立つタイプではないが、裏で論理的に考えてグループを動かしていたリーダー的な存在。
・巻き込み力も高く、周囲から信頼されていた
【More】
・営業としてお客様と話をしている姿が想像できなかった
Bさん
【全体】
頭脳派。ポテンシャルが高い。
【Good】
・常に本質的/俯瞰的に考えられていた
・複雑な問題を単純化し、議論を可視化するなど煮詰まった議論をグループ全員で考えやすくするための工夫をしていた
【More】
・営業として必要となる事務を素直にやっている印象がもてなかった
企業側としては、インターンシップを通して学生の人物を見ていこうとしています。チームでワークすることで、どんな特性をもった学生か良いところも悪いところも見極めていき、今一歩という点については、入社してからキャッチアップが可能であるかを見極めていきます。
Aさんの場合、営業としてお客さんと話をしている姿が想像できないとのコメントがつきましたが、経験を重ねることでそれはなんとかなるだろうという判断になりました。
Bさんについては、議論を活性化する能力が優れていました。営業の若手として必要な事務処理は苦手そうでしたが、教育や周囲の配慮などでカバーできると判断しました。
4.最後に
完璧な人間はおらず、一長一短あります。
企業もそれはわかっていますので、就活生の皆さんは自分の良い点をきちんと評価してもらえるように、準備をすることが大切です。
もし準備に不安がある場合は、就活塾の利用も検討してみてください。
就活塾キャリアアカデミーでは、ほぼ毎日説明会を実施しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。
取り止めもない文章になりましたが、みなさんの就活に少しでもお役に立てば嬉しいです。