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【コンサル転職の準備⑥】 元 A.T.カーニー社員による戦略コンサル内定者のケース面接対策を公開

こんにちは。コンサル業界の転職に役立つプラットフォームcareersuiteを運営しています。株式会社Liquet転職エージェントのオオスミです。

弊社では転職希望者と転職支援に関心がある企業のOB・OG・現役社員との模擬面接を実施し、業界の理解を深めながらミスマッチが少なく内定率の高い転職活動をサポートしております!

今日は元 A.T.カーニー社員によるケース模擬面接の様子をご紹介いたします。

しかし、やりとりは実践に近い物となります。ご自身でも考えながらぜひご覧ください!


<ケース面接の動向について>

ケース面接は昨今行わない企業も増えておりますが、戦略コンサルファームや総合コンサルのストラテジーチームにおける採用では高確率で行われます。
実際、戦略コンサルの面接では3回の面接で毎回ケース面接を行うのも珍しくありません。内容はフェルミ+売上向上施策のオーソドックスな物が多いです。
コンサルタントとして最も求められる「思考力」を試す上で欠かせない物でありながら、
また思考を昇華した「ディスカッション力」が大きな評価点となります。


なので、内定へのステップとして、極力実際に近い模擬面接を体験しスキルを向上させていただくことが効果的です。

実践さながらの記録がお役に立てば幸いです。


<今回の注目ポイント>

ケース面接や戦略的思考において重要視される以下の点が今回のポイントとなります。
・中期経営計画という時間軸を意識できているか
・具体的な事例を想定しながらフレームワークを使って状況を整理できるか



それでは、どうぞご覧ください。




今回のお題

都市圏で多く展開されている飲食店チェーンを対象に今後3年から5年の中期経営計画における注力点と具体的な施策を考えよ

模擬面接スタート


メンター:
では、特に都市圏で多く展開されている飲食店チェーンを対象として考えてください。その企業は、今後3年から5年の中期経営計画を考えたいのですが、どんな点に力を入れて成長していくべきか、どんなことをやるべきか、大まかでもいいので考えてみてください。

求職者:
中期経営計画に対するアドバイスみたいな感じで、具体的な打ち手までご提案する感じですか?

メンター:
そうですね、本当にオペレーションレベルではなくてもいいですが、こういうターゲットに対してこういうことをやるべきだとか、こういう経営戦略をとるべきだという提案レベルで、具体性があるといいと思います。

求職者:
飲食店チェーンということですが、何か具体的なイメージがありますか?それとも、自分で何となく想定して考えればいいのでしょうか。例えばファーストフードのイメージなのか、それとも居酒屋みたいな感じなのか、そのあたりはどうでしょうか。

メンター:
うん、あった方がいいと思います。イメージとしては、定食屋のようなファーストフードまではいかないけど、しっかりとした店舗、大戸屋のような感じをイメージして考えてください。他に質問はありますか?

求職者:
売り上げに関する具体的な数字というよりは、全社戦略のイメージってことですか?

メンター:
今回は売り上げにフォーカスしましょうか。

求職者:
売り上げですか。わかりました。売り上げ増加の施策を考えるということですね。

メンター:
そうですね。ただ、利益率を上げるための施策というよりは、本質的な部分に焦点を当てた売り上げ増加に関する施策を考えてください。

求職者:
時間は10分くらいですか?

メンター:
そうですね、今回は10分でやりましょう。アクセンチュアでは5分でやることもありますが、初めてということもありますし、面接官にもよるので、今回は10分で進めましょう。

求職者:
了解しました。

メンター:
では、質問がなければ始めますが、大丈夫ですか?

求職者:
はい、大丈夫です。

メンター:
では、お願いします。



試算時間

皆様も10分で考えてみてください


(10分後)












求職者:
はい、すみません、考えがまとまりました。プレゼンに移ってもよろしいですか?

メンター:
はい、ちょうど時間なのでお願いします。

求職者:
ありがとうございます。では、課題の確認から始めます。今回は定食屋をイメージした中期経営計画について考えました。売り上げにフォーカスして考えさせていただきました。売り上げは、客数掛ける単価で考えました。客数の部分については、定食屋ということなので、既存のターゲットは主に昼のビジネス層や学生などが中心と考えました。

求職者:
客数を増やすために、平日休日、朝昼夜の時間軸、そして年代別にターゲットを分けて考えました。コストを抑えるために、既存のキャパシティ内でできる施策を中心に考えました。ボトルネックとしては、休日や朝夜の売り上げが少ない点、そしてターゲット層が学生や労働層に偏っている点だと思いました。

求職者:
一方で、単価に関しては、改善の余地があると考え、四つの施策を提案します。一つ目は、休日の売り上げを増やすために、ファミリー層向けのセット商品を考えることです。二つ目は、朝夜の限定メニューを導入することです。三つ目は、学生や高齢者向けに割引メニューを考えることです。四つ目は、ちょい足しメニューを作ることで単価を上げることです。

求職者:
これらの中で、最も実現可能性が高いのは四つ目の単価アップ施策だと思います。既存メニューに少量の追加を加えることで、追加コストを抑えつつ効果が期待できるからです。基本的に、単価アップの施策が最も効果的だと考えています。

求職者:
こんな感じでよろしいでしょうか?初めてなので、プレゼンが分かりやすかったかどうか確認していただけると助かります。

メンター:
ありがとうございます。今挙げていただいた施策の中で、大戸屋さんがまだやっていないと思われるものはどれですか?

求職者:
学生や高齢者向けの割引は、まだやっていないかもしれません。

メンター:
具体的に学生や高齢者向けには何を考えていますか?

求職者:
学生であれば、学生証を見せると割引になるような施策を考えています。高齢者向けでは、少量のメニューを提供するなど、消化に優しいメニューを考えています。

メンター:
中期的なスパンでやるべき施策としては、どれが適していると思いますか?

求職者:
中長期的には、学生や高齢者をターゲットにした施策が重要だと思います。競合が多い中で、これらのターゲット層を増やしていく必要があると考えています。

メンター:
コロナが明けて人々が外に出るようになっていますが、飲食店のシェアはオンラインのデリバリーが確立してきています。この企業もデリバリーを考えるべきだと思いますが、どうでしょうか?

求職者:
デリバリーは新規事業としてコストが大きいので、利益を確保するのが難しいと考え、今回は検討から除外しました。

メンター:
中長期的にもデリバリーはリスクがあるという判断ですね。

求職者:
はい、既存のビジネスに注力する方が現実的だと考えました。

メンター:
既存のビジネスで中長期的に取り組むべき施策としては、何がありますか?

求職者:
店舗数を増やすことが中長期的に重要だと思います。ただ、競合や人口減少などの環境要因もあるので、適切な店舗数を見極める必要があります。

メンター:
この企業は都市圏で展開していますが、引き続き都市圏で出店を進めるべきだと思いますか?

求職者:
はい、基本的には都市圏が適していると思います。人口が集中しているため、ビジネスとしても効率的だと思います。

メンター:
店舗レベルの施策が中心でしたが、もう少し広範囲での施策や中期的にやるべきことはありますか?

求職者:
出店エリアの選定や、ターゲット層に合わせたサービス展開が重要だと思います。また、男女別のニーズも異なるので、その辺りも考慮すべきだと思います。

メンター:
ありがとうございます。では、フィードバックに入りましょうか。

求職者:
はい。

メンター:
そうですね。ちょっと考えるポイントが足りなかったかなというのが、今回の試験での総評になるかなと思います。中期経営計画の視点で見たとき、今回いただいた戦略や戦術は、ラーメン屋1店舗レベルの考え方とあまり大差がないと感じました。もう少しマクロな視点を取り入れたほうが良いと思います。誘導も入れましたが、できれば中期計画や長期的な事業を考える際には、外部環境の変化や競合環境の変化を含めた話にしないと、戦略とは言えないものが出来上がってしまうことが多いので、フレームワークを使ってもいいですし、外部環境と競合環境、自社という観点を含めるべきだと思います。

求職者:
はい。

メンター:
その視点で言うと、どうですか?改めてそれを取り込んで考えてくださいと言われた場合、外部環境と競合はどう変化していると思いますか?

求職者:
外部環境ではそもそも人口が減少していること、競合環境ではファーストフードやデリバリー業態の進出が進んでいることが、主な変化だと思います。

メンター:
良いと思います。外部環境では、人口減少の影響もありますが、購買力を持っているのはインバウンドの旅行客などが今後しばらく強くなるだろうという予測も立てられます。その視点で、外国人向けにビジネスをシフトするかどうか、もしくはその顧客層を取り込む戦略を考えることも検討すべきです。また、競合環境に関しては、ファーストフードやデリバリーの普及によって、チェーン店の優位性が薄れてきているといった点も取り入れて良いと思います。

求職者:
ありがとうございます。

メンター:
自社の部分については、前提の確認として大切ですが、今回お伝えした情報は、都市圏中心に展開している企業で、中期計画を考える際に頭打ちになっているか、競合環境の変化による影響を受けているのではないかと推測されます。その点から、質問していくのが良さそうですね。

求職者:
ありがとうございます。

メンター:
結局、自社の売り上げは客数×単価×店舗数に分解できます。したがって、その部分にどういう大きな流れの影響を考慮した論点を上げられるかが重要です。例えば、デリバリーに関しては、自社で内製化するとコストが上がるという話でしたが、UberEatsや出前館といった既存のプラットフォームを利用すれば、チャンネル自体はすぐに構築できるため、内製化のコストとリターンのバランスを中長期で考える必要があります。また、定食といった商品特性に応じて、内製化のコストや効果が変わるかもしれません。そういったカスタマイズ要素を考慮すると良かったかもしれません。

求職者:
少しテクニカルな質問ですが、最初に考えたことが、質問の中で変わってくる場合、大胆に方針転換して「こっちの方が良い」と言うべきなのか、元々の考えを元に一貫して回答すべきなのか、どちらが良いですか?

メンター:
基本的に、挙げられた要素は重要な観点として考えるべきです。ただ、場合によっては、質問に対して柔軟に対応し、取り入れた方が良いと判断したら、方針を変更して取り入れることも必要です。無理に元の考えに固執する必要はありません。

求職者:
わかりました。

メンター:
柔軟性が評価される場面もありますので、ロジカルに考えて、取り込んだ方が良いと思ったら、方針を変えるべきです。

求職者:
理解しました。無理に粘らないようにします。

メンター:
無理に粘る必要はありません。インプットが変わったり、新たな事実が発覚した場合には、それに対応できる柔軟性が大切です。

求職者:
はい、ありがとうございます。

メンター:
他に質問や確認事項はありますか?

求職者:
確認ですが、前提確認、因数分解、課題設定、シナリオ構築、施策評価という段階で考えましたが、基本的にはその流れで進めるべきですか?

メンター:
そうですね、その流れは基本的な動作だと思います。ただ、中長期的な戦略を考える際には、自社の事業全体がどの環境に置かれているかを分解して考えるのも良いでしょう。

求職者:
外部環境や競合関係を考慮しながら進めるということですね。

メンター:
はい。例えば、外部環境と競合、自社のフレームワークを使い、売り上げを自社の分解に当てはめる。外部環境では過去、現在、未来、空間軸では日本やアジア、ヨーロッパなどの観点で考察します。競合に関しても、同業他社か、異業種か、中食(給食や会社の食堂)やコンビニの弁当など、競合の範囲を広げることもできます。

求職者:
競合の目線で広く考え、その上で売り上げを含めた戦略を構築するということですね。

メンター:
はい、そうです。例えば、過去の競合がこれだったが、外部環境の変化により今の競合はこれになり、未来にはこうなりそうだという予測を立てる。その上で、今の会社がその変化に対応できるのかを考えるのが戦略系のケースのコツです。

求職者:
なるほど、競合の変化を軸に考え、外部環境も見据えた上で、最適な戦略を考えるということですね。

メンター:
そうです。競合の変化や外部環境の変化を理解した上で、その企業がどう対策を取るべきかを考えるのが戦略系のケースでは重要です。

求職者:
ありがとうございます。

メンター:
はい、他に質問はありますか?

求職者:
今のところは大丈夫です。ありがとうございました。

メンター:
では、これで終了とします。お疲れ様でした。

求職者:
ありがとうございました。

あとがき

いかがでしたでしょうか?

今回はケース対策の基本的なフレームワークとしては良かったものの、中期経営計画の時間軸にすると、想定内容が足りませんでした。
特に自社だけでなく外部環境の要因を考えながら進める事が必要でしたね。
この様な力は、日々目にするものを分析する癖からも身につける事ができます。

皆さんのご参考になれば幸いです!

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