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【はたらく×旅】旅はレクリエーションか、生きがいか?#2月といえば

キャリコンサロン編集部、土曜日担当の塚田亜弓(@Tsuka_a)です。キャリアコンサルタントとして活動しております。2021年4月より、キャリコンサロンの仲間とともに、毎日noteマガジンを更新中です。

今週のお題は「#2月といえば」

キャリコンサロンでは、非公開ものも含めると、毎月10件を超える勉強会&交流会が開催されていますが、記念すべき2月一発目のイベント【はたらく×旅】をテーマにした勉強会をネタに「生きがい、アイデンティティ」について備忘録もかねて整理しました。
編集部仲間のタカハシケンジさんも「ワーケーション」を今週テーマに取り上げてますね。

旅はレクリエーションか、生きがいか?

2月4日(土)キャリコンサロンの有志による部活動「旅部」にて、法政大学大学院政策創造研究科教授の須藤廣先生をお招きして、勉強会を開催しました。

須藤先生と運営メンバー

リアリティ(生きている感覚)を人々はどのようにつかむのか?

「働くこと」で生きている実感をつかむのか、「働くこと以外」で生きている実感をつかむのか。1970年代以降、家族生活や労働の現場でつかみづらくなったリアリティを人々はどこに求めたのか?

リアリティをつかむのは、労働?→恋愛?→旅→(?)

先生のご経験をもとにした持論として、「恋愛」と「旅」を切り口とした考察をお話いただきました。とても興味深いです。(そしてドラマや映画のタイトルに懐かしさを共感する方は、おそらく同世代でしょう!)

1980年代~1990年代 恋愛ドラマ最盛期、日本人は「恋愛」にリアリティを求めていましたが、
『男女7人夏物語り』(1986)
『愛し合ってるかい!』(1989)
『東京ラブストーリー』(1991)
『ロングバケーション 』(1996)

1990年代~ 円高を背景にした旅ブーム、バックパッキングブームもあり、「旅」にリアリティを求めるようマスメディアに誘導されてきたのかもしれません。
『深夜特急』(1986)
『劇的紀行 深夜特急』(1996~1998)
『進め!電波少年』「猿岩石ヒッチハイク」(1996)

そして、恋愛×旅『あいのり』(1999~2009)ラブワゴンが登場!

2000年以降 越境的アイデンティティなど多様なリアリティを持つことが認知され、趣味も多様化し、「オタク的生き方」が世間に認められていきます。
『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)
『食べて、祈って、恋をして』(2010)

オタクの定義は、仕事よりも趣味における優先度が高いことで、たとえば、アイドルの推し活のために高い収入を得られるところへ転職する、という教え子も実際にいるようです。

「自分探し」の旅から「自分放棄・自己分裂」の旅へ

アイデンティティを1つにしないといけないと思い込むと、リアリティに揺らぎが出るので、「自分探し」の旅は苦しくなります。そもそも、アイデンティティは分裂してよいもの。働いている自分も、旅をしている自分も、どちらも自分。相対的な関係性の中にある自分がいるし、自分の中の多様性があってよいという考え方(=分人)をすると、とても楽になります。

私とは何か「個人」から「分人」へ(平野啓一郎著)

「旅の深さ」指標を「現実逃避度」指標ではかる

また、学問的な角度からのお話では、E・Cohenの5類型(観光経験の現象学)を教えていただきました。大衆的な観光から個人化するにつれて、旅の深度が強化される5つのフェーズを紹介いただきました。

①レクリエーション(recreational)モード
日常の価値を強化するために、労働から一時的に外れるモード。
②気晴らし(diversionary)モード
日常からの脱出。
③経験(experiential)モード
生活様式や価値観などの経験、新しい意味を追求しようとするモード。
④体験(experimental)モード
「経験モード」に滞在地への関わりを付加したモード。
⑤実存(existential)モード
選び取った精神的中心にコミットする環境モード。宗教的回心に近い。

心身の疲労を癒しに、長野に行ってみよう。観光スポットもいろいろあるし、今度移住体験ツアーにも参加してみようかな。移住体験を通じて、現地の人と仲良くなると居心地のよい街だと思えたから中長期で過ごしてみよう。実際住んでみたら、街の雰囲気や地域の人の価値観、ライフスタイルが気に入ってしまった、もう移住しちゃおう!なんて。

消費としての旅から、その先へ

旅には、日常への同化(日常性を強化する役割・現状に対する麻薬効果、現実を肯定するための旅)と異化(日常を問い直す、気付きを得るための旅)が共存しています。

「旅」はどうしても時間を取るものなので、思うように「働くこと」と両立ができません。そのため、働き方を変えていく必要があります。自分にとって、働くことはどのような位置を占めるのか、どのような生き方をしたいのか。

旅で日常から離れ、旅から日常に戻ると「さぁ、働こう!」と思うものですが、これは旅することが現実を肯定することに繋がっているということ。いろいろ考える機会をいただいたので、気晴らしやレクリエーション要素の強い同化だけでない旅のあり方を探ってみたいです。

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塚田 亜弓 | キャリコンサロン代表
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