45歳定年制は中年サラリーマン人生の死を意味するのか
サントリーホールディングスの社長が提言した「45歳定年制」について、いろいろ考えるきっかけになったので、ちょうど執筆時44歳の私なりの意見を書いてみようと思います。
◆定年制について
高年齢者雇用安定法第8条で「60歳未満の定年禁止(事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。)」と定められているように、現時点では定年制の実現は難しく、さらに今年の改正(令和3年4月1日施行)により、65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置としての努力義務を新設されました(詳細は下記出典)。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694689.pdf
つまり、「今は60歳定年だけど、65歳までは雇用しましょう。70まで雇用する努力をしましょう」みたいなことです。
「私もあと25年ぐらいは働かないといけないなあ」と思っていた矢先に、45歳定年制の発言があり、経営者の本音を感じました。
『使えない中年サラリーマンは要らない』
まさに、「中年サラリーマンの死」を感じた瞬間でした。
と言っても、「サラリーマンとしての死」なので、「自力で自分らしく生きることを考えられる」という点では、今の時代に合っているのかなと思います(この点に関しては、最後の見出し(◆FIRE or fire)で私の考えをまとめようと思います)。
◆じゃあ年金は?
そして、ふと思ったことは年金について。
現時点では、「20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金を受給できる」という制度なのですが、45歳で定年になった場合、どうなるのでしょうか。
年金には、「繰上げ・繰下げ」という方法があり、繰上げた場合は早くもらうかわりに減額に、繰下げた場合は遅くもらえるかわりに増額されるという制度です。
現時点では、65歳で満額(100%)、70歳まで我慢をすれば142%と増額になり、60歳でもらってしまうと70%に減額されます。
出典:https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/kyuyo_nenkin/nenkin/kj_kyn_nk_nenkin3.html
私は70歳までなんとか頑張って働いて1.4倍の年金をもらおうと思っていましたが、上記出典の方法だと、もし45歳で定年でそこから年金暮らしをしようと試算したら… 5年早くもらうと30%減額なので、60歳で70%、55歳で40%、50歳で10%、45歳で-20%? みたいなおかしな計算になってしまいます。
もちろん上記試算は私の空想の世界で、今の制度だと60歳にならないと年金もらえないのですが、もし45歳定年制を考えるのであれば、年金制度に頼らない生き方も考えないといけないのかなと思ったりもします。
ちなみに、私は70歳までなんとか頑張って働いて1.4倍の年金をもらおうと思っていましたが、令和4年4月実施の改正により、75歳まで働いて最大184%ゲットの夢も出てきましたので、75歳まで年金はもらわないように頑張りたいと思います(そんなに長生きできるのかな、私)。
あと、補足ですが、令和4年4月実施の改正で「繰上げ」1か月あたりの減額率が0.4%へ緩和される予定なので、令和4年4月からは60歳のときに70%ではなく76%になると思います。
年金に関しては、また別の記事を書こうかなと思います。
◆定年後の仕事はどうなる
「定年=サラリーマンの死」ならば、45歳からの死後の仕事はどうなるのという話になります。
ちなみに、今は60歳定年なので、ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/index.html)で検索すると、60歳以上でないと応募できない求人が出てきます。高齢者雇用促進のためという理由で、60歳以上限定求人なのですが、ほとんどが警備員の求人で、他には清掃、マンション管理などが目立ちます(おそらく、特定求職者雇用開発助成金(いわゆる特開金)の関係で、60歳以上の求人で出していると思うのですが、もっとバリエーションがあってもいいのかなと個人的に思います)。
これらの60歳以上限定求人が、仮に45歳定年になっても、当てはまるのかというと、今44歳の私の感覚だとちょっと違う。しかしながら、ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/index.html)で「就職氷河期世代」で検索しても、やっぱり警備員とかタクシー運転手の求人が多い。となると、会社を追い出された人が会社に雇われたいと思うと、ある程度限られた選択肢しかないのかなと、ちょっとがっかりします。
◆FIRE or fire
私が、45歳定年制の文字を見たときに思い浮かんだ言葉は「FIRE or fire」でした。
FIREはFinancial Independence, Retire Early movementのことで、経済的独立と早期退職を目指すムーブメントのことです(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/FIRE_%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88)。
最近、若い世代の方々の中でFIREを目指している方もいらっしゃるそうで、しっかり考えているなと感じています。
その一方で、fireという英単語には「クビにする」という意味もあります。
「45歳までに経済的自立できるか、クビになるか」
これからはそのような感じで、会社に頼らず生きていかないといけないなと思う今日この頃です。
そうなると、優秀な社員は自立し、そうでない社員は会社にしがみ付くので、経営者が望む「優秀な社員だけが会社に残る」ような動きには残念ながらならないと思われます。
ちなみに、FIREといえばキリンの缶コーヒーですね。
サントリーの缶コーヒーはBOSSなので、まさにサントリーの売り上げはBOSS(経営者・缶コーヒー)次第ということで、お後がよろしいようで。
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