チャンスを増やすには〇〇を開く
3年前、共通の知人を通じて彼の存在を知り不思議に思った
高校時代に国体選抜、総体、選手権大会出場。専門学校を卒業後ドイツ10部のチームへ。日本で社会人リーグに所属していれば、働きながらの苦労はあるにせよ言葉の壁もなく今ごろ人気選手になっていただろう。言葉の習得が難しく日本から遠く離れたドイツで、なぜ頑張り続けられるのか
わたしは彼に「キャリアインタビューをしたい」と頼んだがあっさり断られた。一言「まだ何も成し遂げていないから語れることはありません」 何かを成し遂げた人しか自分のキャリアについて語ってはいけないのだろうか。まだ道半ば、そこに至る経緯を彼が語ることで誰かのきっかけや原動力になれるのに。わたしは残念に思った
成し遂げた人の話にはタイムラグが発生する分、付加価値がつき脚色がつきものだ。今は成功しているから過去の経験は何とでも捉え方を変えて話すことができる。一方でドイツの上位リーグに上がりたいと、もがきまくる話の方が百倍リアルだ。失敗も向上もあり日々試行錯誤。一番充実した時間を現在進行形で過ごしている人なのだから。その価値に気づかない選手が多いのは目の前のことに必死なのか、勝負や結果がすべての世界にいるからなのか
残念な対応は損しかないと思う。まず誤解を生みやすい。「サッカーでちょっと有名だから上から目線なのかな」「人に壁を作っている」と勘違いされやすい。そしてチャンスを逃しまくっている。昭和なら不愛想で言葉数が少なくてもスキルがあれば見いだし引き上げてくれる人はいた。だが、今は令和。自己表現が多様化している中で、サッカー以外、家族や仲間以外自分を開かない人に手は差し伸べにくい。海外ならなおさら
例えば下位リーグにいて観客に話しかけられてもスルーする、そのたった1人の観客が上位チームの関係者だったらどうだろう。「あの選手どうだった」「不愛想に無視されたよ」「そっか、観客を大事にできない選手より他を探そう」知らないところでつながっている可能性だってある。数多くのプロサッカー選手のキャリアインタビューをサッカー特番やスポーツ誌で読んできた中で、気づくことがある。それはストイックな努力と鍛錬そして「人との縁」を大切にしている点だ
秋元祥治さんは著書『20代に伝えたい50のこと』(2018年ダイヤモンド社)の中で「偉い人なのにマメな人」についてこう記している
「偉い人なのにマメ」なのではなく、「マメな人だから偉くなる」のだ。 (中略)気がついた時に、その時に感謝を伝えるということ。いわば「マメに」感謝を伝える心配りができるからこそ、その結果として偉くなるの だ、ということなのです。どんな仕事でも、周りの人々の協力や支援なしでは成功もおぼつきません。「あいつは気持ちのよいやつだね。また何かあれば声をかけよう」。そう思ってもらえるかどうか。その積み重ねが何物にも代えがたい人のつながりになっていくのではないかと思います。
チャンスを増やすには「自分」を開く。「いい所」だけ見せようとしても人はついてこない。負けそうな自分、足りないことや課題も率直に発信すればいい。常に愛想よくする必要はないが、今いる環境で周囲の人も大切にするそうすることで「この機会にちょっと呼んでみよう」誰かの記憶に残る回数は確実に増えていく
自分を開こう!!