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『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-70

読了目安:約3分(全文1,207文字)※400文字/分で換算

あらすじと作者コメント

登場人物の相関図とキャラクター解説

正解はあるのか

 あまりにも無邪気な質問をするワカバに呆れ顔で代表が答える。
 「あなたこれまでの話を聞いていたのですか。何度も私が元試験委員だと言っていたでしょう。つまり試験に関する詳しい情報を持っているのです。
そして、この勉強会ではその情報を元にフィードバックをしている。それが正解だとは思わないのですか?」

 「いや、それってズルじゃないですか・・・」
 予想もしていなかったあまりに直球なワカバの返答に固まる代表。しかし、ワカバの言わんとすることも理解できるため、イチジョウが変わりに場をつなぐ。

 「確かに公平性にかける観点もあるかもしれないが、罰則がない以上、そこは責められない。倫理や道徳的には問題があるだろうが、残念ながら誰もさばくことはできない」
 しかしイチジョウの大仰な解釈に代表が感情をあらわにする。

 「全く何度言わせるんですか!何を根拠に倫理や道徳を持ち出しているのですか!我々のような勉強会に対して、受験団体が公式な見解を出しているのですか!それに試験制度に載っているのだから、私の発言が絶対なのですよ!つまり私自身が正解と言ってもいい」

 「じゃあ、どうして合格できない人がいるのかなー」
 ワカバがまた本質をつくような言葉をもらしてしまった。確かに矛盾が生じている。そのことについて、代表が語りだす。

 「いくら私が正解を提示したとしても、出来ない人間もいるのです。多様性という言葉を知らないんですか、あなたは!」

 「いや、多様性って使い方、間違っていると思いますけど・・・」
 代表がこれまで周囲を言いくるめてきた無理筋のロジックが全く通用しないワカバに業を煮やしている。そんな代表にサオトメがワカバをフォローする。

 「ココノエも空気読めてないし、勉強不足なところは否めない」
 
 (えっ!全然フォローになってない!)

 「しかし、ココノエが疑問に思うのも仕方ない。私自身も代表の教えを乞うて受験生に正解だと言い続けてきたのだから。やれ、事実確認はダメだとか、ジョブカードぐらい提示しないと展開したとは言えないとか・・・。しまいにはロープレは最低30回はやらないと絶対に合格できないとまで言っていたよ」
 反省も込めたサオトメの素直な言葉にイチジョウが補足する。

 「俺も今までいろんな資格保持者に聞いた話だな。特にロープレ30回ってのは根拠がなさすぎて何も言えない。考えてみたら、どうして20回でもなく、50回でもなく、30回なのだろうと。おかしなことをさもかし正解だと言い切ることで受験生の意見を封じてきたのだろう」
 さすがに3人がかりで詰められた代表が持論を語りだす。

次回の更新は2023/4/29予定です(今週の総集編)。

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