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聴けずのワカバ』(番外編)RPケース112「久保英樹」さん
読了目安:約6分半(全文2,462文字)※400文字/分で換算
*キャリコン・技能士の学科・論述・面接試験対策を希望される方は
先日開催したライブ配信の相談者役ケース112「久保英樹」さんの設定について、時系列と背景(ロープレ小説)をご紹介したいと思います。
以下にて、今回の設定をCCtとCLの逐語風にまとめております。実技試験対策にも有効だと思いますので、受験生の皆様ぜひご覧ください!
CL情報
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対象のRP動画関連
時系列
【20歳】高専を卒業後、電子部品の会社でエンジニアとして勤務
【30歳】大型二種免許を取得
【32歳】現在のバス会社に転職を決意し、入社を決める
【61歳】定年後、雇用延長で嘱託職員として勤務(現在に至る)
背景(ロープレ小説風)
「本日はどのようなご相談でいらっしゃいましたか?」
「定年退職後も同じ仕事をしているのですが、思っていたよりキツくてどうしようかなと思っています」
「キツイと思われているんですね。どうしようかなというのは」
「最悪、辞めることも考えています」
「辞める」
「当初、聞いていた話とあまりにも違うので」
「違うというのは」
「はい、雇用延長後は事務でもやってもらうと聞いていたので・・・」
「そうでしたか。ところで現在はどのようなお仕事をされていますか」
「バスの運転手です」
「運転手さんですか」
「いわゆる路線バスの運転手です。街中走っているバスを運転しています」
「そうですか。冒頭でしんどいとのお話がありましたが、お仕事自体はいかがでしょうか」
「まあ、仕事自体であれば好きですし、なりたくてなった仕事なので、いいんですけどね」
「好きで、なりたくてなったと。好きで、なりたいというのは」
「はい、私、高専卒なんですけど、卒業後は一般的な進路として、電子部品メーカーでエンジニアとして働いていたんですよ」
「そうだったんですね。その時のことをもう少し伺っても宜しいですか」
「まあ、機械いじりも好きでしたからね。エンジニアとしての仕事も悪くはなかったですよ」
「悪くなかったというのは」
「うーん、高専なんて私のような奴らの集まりでしたから、就職した後も気の合う仲間と楽しくやってましたね」
「気の合う方々と楽しんでお仕事されていたんですね」
「最初はね」
「最初は、というと」
「いやあ、実は子供の頃にバスの運転手に憧れていたんです」
「憧れていたんですね。どのようなところでしょうか」
「なんででしょうね。でも、カッコよかったんですよ。子供の頃はバスに乗るのも嬉しかったけど、一番前の席で運転見てるのもワクワクしましたからね」
「嬉しくて、ワクワクされていたんですね」
「それでエンジニアの仕事も楽しかったんだけど、どうしても昔からの夢が捨てきれなくて、30歳の時に大型二種の免許取ったんですよ」
「その時のお話をお聞かせいただけますか」
「いやあ、仕事やりながらでさ、結構取るまで苦労しましたよ。なかなか受からなくてね。知識はあるんだけど、どうしても技術の方が難しくて。でも頑張って取得しましたよ」
「頑張られたんですね。その時のお気持ちを聞かせていただけますか」
「いやあ、嬉しかったね。あんなに嬉しいことは人生振り返っても最初で最後かな。それぐらい嬉しかった」
「とっても嬉しかったんですね。その後のお話も聞かせていただけますか」
「すぐにバス会社を就活したんだけど、やはり30歳で異業種で未経験ていうのは難しかったね」
「就活が難しいと感じていたんですね」
「でも、熱意は誰にも負けなかったから、今の会社に何とか拾ってもらって今に至っていますよ」
「拾ってもらったと思われたんですね。今の会社に対する思いを聞いても宜しいでしょうか」
「うーん、好きなことをこの年までやらせてもらいましたからね。感謝しかないと思ってはいました」
「思ってはいたんですね」
「・・・つい最近まではね。だって、話が違うんだもの」
「先ほどもお話いただきましたが、事務と聞いていたのに違ったんですよね」
「うん、さすがにこの年になって、運転は好きだけど、いろいろキツくてね」
「冒頭でも仰っていましたよね。改めてキツイというのは」
「肉体的にも精神面でもかな」
「言える範囲で構いませんので、お聞かせいただけますか」
「まず、腰が痛くてね。職業病みたいなものですよ。あとはお客さんを乗せているからプレッシャーが凄くてね。しんどいですよ」
「しんどいと思われているんですね」
「まあ、会社の事情も分かるんだけど、そのしわ寄せは勘弁してほしいよね」
「しわ寄せ、会社の事情というのは」
「聞いたことあると思うけど、2024年問題の影響ですよ」
「2024年問題というと物流・運送業界で来年の4月1日以降に実施されるドライバーの皆さんの労働時間に上限が課される働き方改革法案という認識で宜しかったでしょうか」
「その影響ですよ。だからドライバー不足を補うために、我々のような定年後の嘱託職員までドライバーとして働かせているわけです」
「そうでしたか。そのことについてはどう思われますか」
「・・・やり切れないなあ」
「やり切れない」
「だって、我々のような末端の職員は職種も選べない。会社がこれをやれと言われればやるしかない。でも現状を考えると、次の更新をどうしようかなと・・・」
「更新というのは」
「今、一年更新なんですよ。それで実は来月、また一年更新するかどうか、考えていましたね。正直、悩んでいます」
「更新するかを悩まれているんですね。今のお気持ちをどなかたにお話されていますか」
「・・・してないなあ。ん、でも話か、だったら妻にはちょっと話したかな」
「どのようなお話をされたんでしょうか」
「そのままかな。次の更新について迷っていると、それだけ」
「その時、奥様は何とおっしゃっていましたか」
「どうせ、更新するんでしょ。だって、あなた今の仕事しかできないじゃないって言われましたね」
「その時はどう思われましたか」
「・・・何も言えなかったですね」
「何も言えなかった」
「なんか確信を突かれた気がして・・・」
おわり