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『聴けずのワカバ』(キャリコン資格取得編)-71

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ロープレ30回の根拠

 「全く、受験生の皆さんの貴重な時間を使って、今更何をくだらないことを言っているのですか。『ロープレ最低30回』はもはやこの試験の通説でしょう」
 
 「それが通説と言われているのはわかっている。しかし、その根拠を一度も聞いたことがないのだが、誰もが納得のいく説明をできるのかという話だ」
 通説を持ち出す代表にイチジョウが論理的な回答を求めた。

 「説明?バカバカしい。根拠はそれで皆さん合格しているからですよ。これは今に始まったことではなくて、長い間培われてきた我々の知見、言うなら過去から受け継がれてきた伝統です。そんなことも知らないただの受験生に何が分かるというのですか」
 この時点でイチジョウをまだ受験生だと思っている代表がたしなめる。

 「知見?伝統?受験生に真摯に答えてこなかった負の側面を拡大解釈すればそうかもしれない。でもそれってただの結果論じゃないのか」

 「結果論?はあ、本当にあなたには、ほとほと呆れますね。それこそ拡大解釈じゃないですか。もうあなたと話ししていても埒が明きません。参加していただいている受験生にも迷惑なので、ご退出願えますか!」
 力強く退出を促す代表にイチジョウが資格保持者に問いかける。

 「ここにいる資格保持者に聞きたい。さっきからずっと黙っているが、あんた達も何か言いたいことがあるんじゃないのか。結果論という話はフィードバックしているあんた達にも言っているんだぜ」
 イチジョウが周囲を見渡すとスネオが怒りをぶつける。

 「さっきから大人しく聞いてりゃあ、あることないこと言いやがって。代表がいるからずっと黙ってたけどな、何が結果論だ。俺たちのことをバカにしてるのか!」
 
 「では聞こう。お前がさっき受験生にフィードバックの時に言っていた『聞いてるだけじゃダメだ。なんべん言ったら分かるんだ!もっと無理やりにでもいいから展開させろ』というのは何を根拠に言っていたんだ」

 「はあ、それは当然のことだからな」

 「ほお、今度は否定しないんだな。そんなことは言っていないと」

 「何だ!また揚げ足取るつもりかよ!展開させるのは当然だと言ってるんだ」

 「だから、その根拠を聞いているんだが、どうやらなさそうだな」

 「バカか、てめえは!根拠は俺がそれで合格したからだよ!それ以外何が必要だっていうんだ」

 「やはりそうか。元試験委員がいるから、もっとマシな回答が返ってくると思ったが、そのレベルか」

 「なんだと!もう一度言ってみろ!!」
 激昂するスネオを無視して、イチジョウがもう一度代表へ問いかける。 

次回の更新は2023/5/2予定です。

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