『聴けずのワカバ』(番外編)RPケース104「河野友美」さん
読了目安:約9分(全文3,676文字)※400文字/分で換算
*キャリコン・技能士の学科・論述・面接試験対策を希望される方は
先日開催したライブ配信の相談者役ケース104「河野友美」さんの設定について、時系列と背景(ロープレ小説)をご紹介したいと思います。
以下にて、今回の設定をCCtとCLの逐語風にまとめております。実技試験対策にも有効だと思いますので、受験生の皆様ぜひご覧ください!
CL情報
対象のRP動画
時系列
背景(ロープレ小説風)
「本日はどのようなご相談でいらっしゃいましたか?」
「先日、上司から仕事に関する打診があって引き受けるべきかどうか悩んでいて相談に来ました」
「上司の方からの打診を引き受けるかどうか悩まれているんですね」
「はい、何だか今更という気もしますしね・・・」
「今更、というのはどういうことなのでしょうか」
「せめてもう少し早く話があっても良かったのになと思っています」
「もう少し早くというのは」
「はい、今回の打診というのが元の仕事に戻るということと、昇進の話なのですが、どうも納得いかなくて・・・」
「納得がいかないというのはどのようなことでしょうか」
「なんだか昇進を餌に元の仕事をしろと言われている気がするんですよね」
「昇進をえさに・・・ところで今回の打診についてお伺いしてもよろしいでしょうか」
「はい、実は先日・・・」
内省シーン(回想シーンみたいな感じです)
上司(課長)「河野ちょっといいか」
河野「はい、なんでしょうか」
「うーん、ここじゃまずいな。会議室に行こう」
「?(何の話だろう)」
会議室にて
「河野って今何年目だっけ?」
「えーと、今年16年目ですが」
「そうかそんなに経つのか。ところで今の営業事務の仕事は何年だっけ」
「今の仕事に代わってからは6年ですね」
「そうか、もうそんなに経つのか。そろそろ営業の仕事が恋しくなってきたんじゃないか」
「はあ、いやでも今の仕事も一生懸命やっていますし、営業のことはあまり考えていません」
「そうか、残念だな。せっかく話なのにお前がその気じゃな」
「残念?どんなお話なんですか」
「いや、最近仕事増えて、営業が足りなくなってきているのはお前も分かっているだろ」
「は、はい。私もサポート業務が忙しいですから」
「そこでだ。新規で営業を募集しようと思っているんだが、ほら経験者の方が即戦力になるだろ」
「まあ、そうですね」
「そこでお前にどうかなと思ったんだよ」
「どうかなというのは」
「だってお前、確か前に営業戻りたいって話してたことあったろ」
「・・・課長それ、もう5年も前の話ですよ」
「そうか、そんな経つのか。でも、もし今もその時の気持ちがあるなら、どうだ、やってみないか」
「えっ、営業の仕事を私がですか」
「そうだよ。ほら、経験もあるし、うちの事情も分かってるお前なら即戦力になるからみんなも受け入れるだろうって思うから」
「即戦力ですか・・・だいぶ営業の仕事からは離れていますけどね」
「大丈夫だって。すぐに勘は取り戻せるよ。それに今回もし引き受けてくれたらそれだけじゃないんだ」
「それだけじゃないというのは・・・」
「もし今回受けてくれたら来年度お前を係長に昇格できるよう推薦してやろうと思ってな」
「私がですか。だって昇進試験を何年も受けてないですよ」
「その辺は大丈夫だって。一応、名目上受けてくれれば俺が何とか部長に掛け合ってやるから」
「は、はあ」
「じゃあ、ちょっと考えておいてくれ。前向きな回答期待しているぞ」
現在(面談場面)に戻る
「先日上司の方とそのようなやり取りがあったんですね。その時はどう思われましたか」
「なんだか悲しくなりましたね」
「悲しくなったんですね。差し支えなければどのようなところでしょうか」
「だって、営業に戻りたいって話も昇進の話も課長には以前から相談していたのに、今までずっと放置されていて、今回の話じゃないですか。今更としかいいようがありません」
「先ほども仰っていた今更というのはそのようなことがあったんですね」
「もっというと今の営業事務に仕事が変わったときも私、やりたくないって断ったんですよ」
「断られたんですね。その時のお話を聞かせてもらってもよいでしょうか」
「その時は会社の業績が低迷していて営業が多いからという理由で減らそうという話になりました。それで辞めさせるわけにもいかないから、派遣の方がやっていた仕事を私が代わりにやるよう指示されたんです」
「そうだったんですね。その時はどう思われましたか」
「はい、あの時は一緒に働いていた派遣の方々も一斉に更新を切られてしまって、とても悲しかったことを今でも覚えています。そのうえ、自分の仕事も辞めたくなかったので本当に辛かったんです」
「悲しい思いをされたうえに辛かったんですね。ところで辞めたくなかったというのは営業のお仕事だと思われますが、その時お仕事されていていかがでしたか」
「はい、私最初には電子部品メーカの営業って何やるんだろうって、とっても不安だったんですけど、いいお客さんにも恵まれて充実していました」
「充実されていたんですね。いいお客さんというのは」
「はい、うちの会社が取り扱っているのが、自動車や工業製品の接着テープからスマホの保護フィルム、プリント基板といった業界の中でもニッチな製品なんですけど、BtoBっていってお客さんも割りと大きな会社の方々なので、大らかというか余裕があるというか、私が新人時代にミスしても寛容だったり、逆にこうしたらいいんじゃないってアドバイスしてくれたり、とても恵まれていたと思っています」
「そのようなお客さんとお仕事されていたんですね。ところで今の営業事務のお仕事についてもお聞かせいただいてもよろしいでしょうか」
「はい、今の仕事は・・・まあ、普通ですね」
「普通というのは」
「やはりどうしても営業の頃と比較してしまいます。あの頃は本当に毎日が充実していたし、やる気に満ち溢れていたと思います。それと比較するのも違うと思いますけどね」
「違うというのは」
「だって、それぞれ役割があるじゃないですか。営業に営業の、営業事務には営業の。分かってはいるんですけどね」
「分かってはいらっしゃる。営業事務の役割というはどのようなことでしょうか」
「はい、うちの会社が取り扱っている製品を営業が顧客に売るわけですけど、その書類作成や事務手続き、何なら営業のスケジュール管理をすることもあります」
「そうなんですね。そのお仕事はされていていかがでしょうか」
「・・・やっぱり普通ってことしか思い浮かばないですね。何だかこの仕事を続けているうちにあまり考えないようになったのかもしれません」
「考えないようになったというのは」
「先ほどもお伝えした通り、仕事が代わってすぐは営業に戻りたいって何度も上司に相談していましたが、あまりにも要望が通らないので、途中でもう無理だなって諦めてしまって」
「相談したのに要望が通らず、諦めてしまったんですね」
「はい、なんか考えるだけ悲しくなるなと思って。それに・・・あ、これはいいや」」
「悲しい思いをされると・・・言える範囲で構いませんが、何かおっしゃりたいことがあればお話しください」
「・・・これはなんかひがんでいるみたいに思われたくないので黙っていましたが、実は今回の昇進の話も随分遅いなあと思って」
「とんでもない。こちらこそ無理にお尋ねして失礼いたしました。お話しいただきありがとうございます。ところで昇進が随分遅いというのは」
「だって、私の同期なんてみんなずっと前に係長に昇進してますから。早い人はもう課長になっているんです」
「そうなんですね。そのことについてはどう感じていますか」
「・・・うーん、不公平だと思っています」
「不公平」
「はい、だって私の同期ってみんな男性なんです。それで私一人だけが女性なんですけど、営業事務へ代わったときも女性の私だけで、その時もみんなは営業のままでしたから」
「そうでしたか。男性ばかりがということについてはどう思いますか」
「はい、まあ、昔ほど男性優遇というのはなくなったと思いますが、現状女性は不利な扱いをされていると思います」
「不利な扱いというのは」
「最近では女性活躍推進の影響で会社も女性の管理職を積極的に採用しようと思っているようですけど、実際管理職の女性が少ないのが現状なので」
「そのことについてはどう思われますか」
「何だか単なるパフォーマンスじゃないかなって」
「パフォーマンス」
「ええ、周囲に対して、うちの会社は女性に優しいですよとか管理職の女性が多いですよとか言いたいのかなと思って」
「そのような会社に対して、どのように思われますか」
「・・・それこそ今更ですね。今回の昇進の話さえ、そのパフォーマンスの一環じゃないかって。だから余計にあまり気が進まないのかな」
おわり