理論家まとめ⑦ハリィ・ジェラット
ジェラットは意思決定にフォーカスしたキャリア理論を説いている。
この意思決定理論について、前期と後期で考え方を大きく変えてて何か人間味がある気がずる…
そして、今までのキャリア開発は登頂を目的とした一回きりの『山登り』だけど、変化の激しい現代では激流をイカダで下る『旅の過程』と言ってるのもわかりやすい。
ジェラットは前期に左脳を使った意思決定を提唱し、1898年に時代に合わせ、右脳も使って不確実性を積極的に受け入れ、将来に向かって意思決定を想像することに関する理論を提唱した。
前期の「連続的意思決定プロセス」に後期で「積極的不確実性」理論を補完した形。
主観的可能性
ジェラットは意思決定の3ステップのうち、価値システムにおける人間が陥りやすい「誤り」として、(キャリアにおける意思決定では)自分の興味に関連していると望ましいものに見える、という主観的可能性が採用されやすいとした。
主観的可能性による誤った、不合理な判断を避けるため、客観的データを意思決定に活用する。ただ、客観的データを使い、正しい道筋を指し示す「コントロール」ではなく、主観的可能性に縛られない「フリー・チョイス」を進行させることを目指す。
これにより、主観的な思い込みで狭められていた選択肢の範囲よりも、より広い範囲のなかから選択できるようになるかもしれないという考え。
これらの理論は前期理論とされていて、その後の研究や不確実である社会的背景から、これを補う後期理論『積極的不確実性』が提唱される。
予測システムと価値システム
意思決定を成立させる基本要件は
・全ての決定に決定を行う個人が存在すること
・情報に基づく2つ以上の選択肢の中から選択して行動しなければいけないこと
そして、意思決定を行うプロセスは以下の3ステップ
意思決定の三段階
①予測システム:
各選択肢がもたらす結果の起こり得る可能性を予測する過程
②評価システム:
各選択肢の結果の好ましさを評価する過程
③決定システム:
①と②の結果に基づいて物事を決定する段階
これら3ステップを繰り返しながら意思決定がされる
連続的意思決定プロセス
「連続的意思決定プロセス」は経済学における投資戦略理論を意思決定に用いたもの。
キャリア選択などの意思決定は、一つ一つではなく、複数かつ連続に行う。この複数かつ連続的な意思決定を、スムーズに探索的決定から最終的決定への過程として”連続的意思決定プロセス”が考えられた。
この意思決定を行うための手順が”ガイダンス”
ガイダンス
①情報収集
②意思決定のタイミングを設定
③陥りやすい誤りに注意
inability:
必ずしも正確に選択肢を評価できないlack:
選択肢には漏れが出てしまうknown - selection perception:
知っていることしか選択肢として浮かばない
④眼前の決定が究極的目標を促進させることを理解させる
⑤連続的意思決定のプロセスを理解させる
全ての選択肢
十分な情報を得る
情報の関連性と信頼性を検討
価値システムから、それぞれの結果を評価
⑥ガイダンスを実行したことで、意思決定の納得感や行動に移せたかどうかを評価
積極的不確実性(肯定的不確実性)
積極的不確実性が後期理論になりますが、前期理論と対立するものではなく補うものになります。
その意思決定の新たなガイドラインとして、
情報は限られており、変化し、主観的に認知されたものである(主観的可能性の発展)
意思決定は、目標に近づくと同時に、目標を創造する過程でもある(探索的結果の発展)
の2点を提示しました。
「未来は存在せず、予測できないものである。」と述べ、不確実な未来に対しても肯定的に認知し、ありのままを受容すること(心の目『mind eye』)の重要性を述べています。社会の不確実さを積極的に受け入れて意思決定するためには、客観的で合理的なストラテジーだけでなく、主観的で直感的なストラテジーを統合して用いなければならないということになります。
この理論は過去思考のカウンセリングとは異なり、未来志向の創造的カウンセリングであると位置づけました。また、ジェラットは左脳ばかりではなく右脳も使う『全脳型アプローチ』による意思決定を提唱しています。