ホール
キャリアは他者との関係において相互に学び合う中で発達していくとして、関係性アプローチの立場から新たに「プロティアン・キャリア」の概念を提唱した。プロティアンとはギリシャ神話の思いのままに姿を変えられる神プロテウスから名づけており、「変幻自在」であることを意味する。
プロティアン・キャリアは組織ではなく個人によって形成され、その人の欲求に見合うようにその都度方向転換されるものである。
ホールは、1980年代の産業社会における構造改革によって個人と会社組織間の心理的契約が変化したと主張していて、新しい心理的契約は、従来の長期にわたる関係的な契約とは異なり、貢献と利益による短期的な契約となっている。また、キャリアの考え方が組織内キャリアから個人の仕事における心理的成功を目指す自己志向的なキャリアに変化したという。