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鬼滅の全てを背負う 時透無一郎①無一郎は何者なのか
こんにちは。
お久しぶりです。
あっという間にもう4月ですね。春は暖かくて好きです。
最近銀河鉄道の夜を読んで空想にふけっていたら危うく石炭袋に落ちそうになったので鬼滅に戻って参りました…。
以下鬼滅の刃ネタバレ含みますのでご注意ください。
目次
はじめに
1、有一郎と無一郎の見分け方
2、刀鍛冶の里に居た無一郎は本当に無一郎だったのか?
3、“確固たる自分”
おわり
はじめに
少し前の話題になりますが、鬼滅の刃のキャラクター人気投票があったのをご存じでしょうか。
時透無一郎は3位にランクインしています。この結果については「わかる」としか言いようがないのですが主人公竈門炭治郎が4位だったことは大変残念でした。(ぼくは一応炭治郎推しです、一応)
いやしかし炭治郎、主人公なのに4位か…。
善逸が人気なのはわかりますし、義勇が2位に入るのもわかります。すごくわかります。
ふたりに比べると登場シーンの少なめな無一郎が3位に入るのは意外でもありましたが、「刀を握って二ヶ月で柱になった」という“天才キャラ”が人気なのもわかります。
なんだかんだ炭治郎が4位になってしまうのもわかる気がします…。
はい。
今回は無一郎について少し掘り下げていきたいと思います。
(ストーリーの展開と構造についても踏み込んでいきますので苦手な方はご注意ください)
1、有一郎と無一郎の見分け方
無一郎には双子の兄、有一郎がいました。
無一郎によると有一郎は「言葉のきつい」人で、
有一郎によると無一郎は「心の優しい」人だったようです。
ふたりは名前が「有」⇔「無」と対極になっているように、性格も正反対なのです。
また着物の黒色を着ているのが有一郎で、白色が無一郎です。ここでも「黒」⇔「白」となっています。
さらに一人称の「僕」を使うのが無一郎で、「俺」を使っているのが有一郎です。
(画像14巻118話より)
(同じく14巻118話より。表情からもふたりの違いがよくわかる。ちなみに12巻の表紙の無一郎はとっても気が弱そう)
ということで
兄は「有」「黒」「俺」
弟は「無」「白」「僕」
と、分けることが出来ます。
2、刀鍛冶の里に居た無一郎は本当に無一郎だったのか?
兄の有一郎は11歳のときに鬼に殺されてしまい、もうこの世にはいません。
しかし無一郎が過去回想で「記憶のない時の僕は何だか兄に似ていた気がする」と言っているように、無一郎は有一郎としても描かれています。
炭治郎が刀鍛冶の里ではじめて無一郎に出会った時、無一郎は小鉄君にも炭治郎にも手刀を食らわせて気絶させてますし、かなり酷いことを言っています。
このときの無一郎は「言葉のきつい」有一郎のような印象を受けます。
さらに「一人称」にも有一郎を思わせる場面があります。
(12巻102話より)
ここでは無一郎は「俺」と言っています。
そして別の日の無一郎。
(12巻106話より)
この日は「僕」と言っています。
そして「敵意」がなく鼻をつまんで炭治郎を起こすという穏やかな方法を取っています。この日は有一郎ではなく、無一郎の性格のようです。
有一郎は炭治郎を眠らせ(気絶)、
無一郎は炭治郎を目覚めさせるという、炭治郎の状態まで対比で描かれていますね。
(こんなところまで正反対に描く吾峠先生…)
おそらく無一郎は現代用語で言う「多重人格障害」のような状態です。
解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。
こうした中で、自分の中にいくつもの人格が現れるものを多重人格障害(解離性同一性障害)といいます。ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てきます。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_dissociation.html
より引用。
専門用語は難しいのでもっと詳しく調べないと何とも言えませんが、「別の人格のときの記憶がないことが多く」という部分はかなり無一郎に当てはまる気がします。
無一郎が過去の記憶を失ってからは、有一郎と無一郎の“どちらか片方だけ”が現れている状態が続いていたのではないでしょうか。
無一郎が「僕は前にもその子と会ってる?」と言っているのは多分柱合裁判で禰豆子を見た時の事を言っています。
柱合裁判の時の事を無一郎が覚えていないのは柱合裁判の日は有一郎の日だったからかもしれません。
(以下完全に余談です。)
無一郎は「記憶が無かったときの僕は兄に似ていた」と言っているように、無一郎なのに有一郎の性格も引き継いでいました。
ここでちょっと気になることがあります。
亡くなったのは本当に「兄」だったのか?
という疑問が生まれませんか???
無一郎は記憶を失っています。両親も既に他界しており、自分自身が有一郎だったのか、無一郎だったのかを教えてくれる人は居ません。
産屋敷あまねは時透兄弟を鬼殺隊に勧誘していたので、あまねが判断していた可能性もありますがその辺りのことは詳しく描かれていないので何とも言えません。
ぼくが個人的に何に引っ掛かっているかと言うと、
無一郎は全身「黒(兄)」の着物を纏っているという点です。
そして刀身の色は「白(弟)」です。
つまり無一郎は実は
身体(肉体)は有一郎で、心(刀身)は無一郎説、
もあり得るのではないか、と。
無一郎が記憶を取り戻したあと、鉄穴森の打った刀を「しっくりくる」と言っていることから「白色になった刀身=心(弟)を取り戻した」とも読めます。
着物が黒いのはビジュアルを重視したから、という意見は受け付けません()
が、無一郎実は有一郎説、可能性としてはめちゃくちゃ低いです。
その理由は3に続きます。
(…中途半端ですが余談は以上です)
3、“確固たる自分”
14巻で無一郎はついに記憶を取り戻します。
ここは何度読んでも感動しますね…。
(14巻118話より)
それまでの無一郎は「有(兄)」の存在を思い出せていなかったものの、「有」と「無」を全く別の人物(対極)として人格が現れていました。
しかし118話、無一郎は記憶を取り戻したことによって
「無」は「有」の反対ではなく、
「有」と「無(無限)」はイコールであり、対極ではなく“同一”であることを思い出します。
“確固たる自分”とは有一郎と無一郎が“同時”に存在している状態の事です。
(14巻120話より)
一人称の「俺」は兄である有一郎、「僕」は無一郎です。
記憶を取り戻した無一郎の一人称は「俺」と「僕」が混在しています。
玉壺との闘いでも記憶を取り戻した後は言葉の攻撃と太刀の攻撃を織り混ぜてますね。
(これまでのnoteでも幾度となく同じことばかり言っていてくどいようですが)
これらのことから無一郎にとっての有一郎とは「もう一人の自分自身」です。
有一郎が鬼に襲われた時、左腕を失っています。そして無一郎が上弦の壱と闘った時に失ったのも左腕でした。
有一郎と無一郎は両親を失ってから仲が悪く、口もきかなくなり、無一郎は精神的に有一郎と距離を置くようになりました。
そして鬼に襲われた後、有一郎は死の淵で「弟だけは助けてください」と願っており、それを聞いた無一郎は兄の手を握ります。
(14巻118話より。(泣))
…もう涙無しには読めません(泣)
かなり個人的な感想を言わせて頂きますが、人は自分の嫌いな部分を直そうとしたり、隠したり、消そうとしたり、知らないふりをしてまうと思うんです。
だけどその嫌いな部分と距離を置こうとするきっかけって「誰かの評価」だったりするじゃないですか。(自身を客観的な視点で評価するのにも必ず「誰かの評価」が絡んでいると思う)
無一郎の場合、有一郎に「楽観的」
と言われたことが原因で自分の楽観視を卑下して「僕は死ぬんだよ」と諦めようとしてしまいます。(↑14巻117話、↓14巻118話)
「嫌いな部分と距離を置く」ことは自分自身と距離を置くことと同じで、結局自分自身を“否定”しているのと同じなんだと思います。そして自分自身を否定することはある種、「死」と同じです。
(この辺りはなんでも縁壱と比べて自分自身を受け入れられなかった巌勝にも当てはまる)
(2の余談で「亡くなったのは本当に「兄」だったのか?」と問いましたが、有一郎の死と同時に、無一郎は記憶を失うことで「死」を経験していますし、有一郎が無一郎自身だとすれば「亡くなったのはどちらだったのか」という問い自体愚問かもしれません)
無一郎が有一郎の手を握ったのは、嫌いな自分を否定するのをやめて、許し、受け入れようとした気持ちの現れだと個人的には解釈しています。
無一郎は有一郎であり、有一郎は無一郎です。
無一郎は自分の全てを受け入れたからこそ“確固たる自分”を掴めたのだと思います。
おわり
終盤、個人的な感想を書かせていただきました…。
かなり大袈裟に言うとぼくは無一郎にものすごく人生を救われています(大袈裟ではないかもしれない 推しは炭治郎と書いたが無一郎は正直言葉では言い表せないかもしれない)
きっとぼくらはもっと自分を大切にするべきなんだと思います。
少しの間、鬼滅の刃から離れていましたが改めてすごい作品だなと感じました。
また双子についてはもうちょっと踏み込んでいきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。
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