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ガンダムの新規TCGについて思う事

こんにちは、カードランドです。

先日「BANDAI CARDGAMES」の新作TCGプロジェクトとして、ガンダムの新規TCGが発表されました。
そして10月3日に公式より詳細な発表がございました。

新しいガンダムのカードゲーム、その名も"ガンダムカードゲーム"!
めっちゃシンプルですね!
しかし、ただシンプルなだけではなく、ガンダムのTCGとしての集大成かつ、長く続けていく意思表明のようなものにも感じました。

本来の新規TCGであれば、この時点で語る事は特にないと思います。
しかし、ガンダムというタイトルとなると話は変わります。
この記事ではこれまでのガンダムTCGの歴史と、ガンダムの新規TCGに関して、思っている事を率直に書き上げたいと思います。


1."GUNDAM WAR"という名作TCGの誕生と終了

ガンダムの単独TCG化は、1999年に発売された"GUNDAM WAR"が初となります。
"GUNDAM WAR"は、現在も続いている"マジック:ザ・ギャザリング"の要素をガンダムに置き換えつつ、独自のゲーム性も取り入れた事で、当時としては非常に完成度の高いTCG…

左から最強のランデス・最強のハンデス・最強のバーン

とはいきませんでしたが、"本格派TCG×ガンダム"という相乗効果は大きく、初版が即完売、再販されるまで品薄が続き、瞬く間に国産TCGトップクラスのゲームに成長します。

左から最強の速攻・1ターン目に決めてくる全ハンデス・最終環境まで使われた最強リセット

その後も度重なるやらかし調整を繰り返しながら、環境の整備やルールの正常化、カードパワーの調整が行われた結果、元々のゲームの完成度の高さにカードの内容が追い付き、更にあるシリーズの大ヒットも合わさって、ゲームの全盛期が訪れる事となります。

自由への奔走という存在しない記憶シーン

2002年の"機動戦士ガンダムSEED"放映に伴い、"GUNDAM WAR"でもSEEDの機体やキャラがリアルタイムで登場しました。
特にガンダムSEEDが中高生の間でヒットしたこともあり、若い層の"GUNDAM WAR"への流入が非常に多くなりました。

SEED放映中の熱気の中、カードパワーを一段階引き上げたパック、"蒼海の死闘"は"GUNDAM WAR"の通常弾では一番のメガヒットとなり、長く売れ続ける商品となりました。

SEED放映終了の熱気も冷めやらぬ中、発売された"ベースドブースター3"(新規+再録で構成されたパック)は、強力な新規カードや、当時高額だった再録カードで構成されたパックで、"GUNDAM WAR"史上一番売れた商品として、全盛期を彩った商品となります。

左からテキストミスってる上に壊れ・即禁止のバグ・リソースが増えるバグカウンター

時折やらかしエラッタ調整や禁止制限を行いながらも、競技としてのゲーム性を高めていった結果、売上とは別の全盛期を迎える事となります。
それは競技プレイヤー人口です。

当時は今ほど大人数が参加できるイベントは行われておらず、他TCGのイベントは多くとも500人前後の参加者でした。
そんな中"GUNDAM WAR"は東京大会で1200人前後(大体150人×8ブロック)、大阪や名古屋でも600人程度、その他福岡・広島・北海道・仙台でも各会場300人程度を集めるなど(各地区の重複参加不可)、競技TCGとしてはダントツの参加人数を叩き出しておりました。
特に全国決勝大会も兼ねた大型イベントでは1万人近くの集客があったとされています。

当時のTCG市場規模だけを見ると、今の半分どころか、1/4にすら達していないと思います。
そして今ほど競技イベントが発達していない環境で、この規模であった"GUNDAM WAR"は、間違いなく一時代を築いた伝説の名作TCGです。

売上の全盛期は過ぎ、落ち着いていったものの、競技としては盛り上がり続けていた"GUNDAM WAR"。
しかし発売から10年が経つ頃、色々な問題が発生していました。

左から全盛期で6000円・2000円・15000円

まずはカードパワーのインフレ、そしてそれに伴うカードの高額化です。
特に"機動戦士ガンダム00"の放映と同時に登場したエクシアやヴァーチェを始めとする"デュアルユニット"、"デュアルユニット"は2色以上のデッキであれば運用できる超ハイスペックなユニットカードであり、今までのどのユニットカードよりも強力な効果を有しておりました。

そして"慈愛の眼差し"、当時のGWを語る上で外せないカードであり、"デュアルユニット"と相まって数々のプレイヤーを金銭的に追い込んだカードとなります。
"慈愛の眼差し"はデッキを選ばず採用できる汎用カードでありながら、シークレットというレアリティの為、1カートン(16BOX)で僅か2枚の排出と、渋すぎる封入枚数でした。
結果、シングル単価が1万円を超え、全盛期は15000円近くと、当時の現行携帯機であるニンテンドーDSの価格と変わらないことから、慈愛=DSと揶揄されていました。

そのインフレの最たる例が、このACEカードと言われるカードや、ユニークという強力な効果を持つ、イノベイティブレアの登場でした。
上記のカードは封入が渋くされているにも関わらず、基本的にはどのデッキにも必須級の能力を有しており、持っていない=遊べないと言っても過言ではないほど、当時の環境を席巻していました。

当時はメーカー側もカードパワーのインフレへの回答を持ち合わせておらず、インフレにはインフレを重ねていくしかない状況が数年続き、もはや行き着くところまで到達してしまいました。

最終弾のヤケクソ調整カード達

こうして"弩級"という今までのゲームを無に帰すようなインチキ効果を持つカードを出した後、"GUNDAM WAR"は"GUNDAM WAR NEX-A"にリニューアルするという発表があり、約11年の歴史に一旦幕を閉じました。

2."GUNDAM WAR NEX-A"の誤算

"GUNDAM WAR"から"GUNDAM WAR NEX-A"へのリニューアルは、ユーザーのコンセンサスを得れぬまま、半ば強制的に行われてしまいました。
その結果、今まで使用していた"GUNDAM WAR"のカードは使用できなくなり(混ぜて遊べるフォーマットもあったが、重負担でまともに使えない&数年でフォーマットが実質消滅)、ユーザーの反感を買ってしまいました。

この一連の流れはガンダムらしく"ネグザショック"と呼ばれ、"GUNDAM WAR NEX-A"は最悪な状況から運営が開始されることとなりました。

ネグザ化に際し、抜本的なルールの見直しが行われた結果、TCGとしての"GUNDAM WAR"の楽しさが損なわれてしまい、特にカードのプレイの爽快感が失われてしまいました。
ゲームのバランスもお世辞にも良いとは言えず、それでも熱狂的な遊んでいたユーザー自体はいたものの、多数のユーザーが"GUNDAM WAR"に魂を引かれてしまう状況のまま、約5年でサービス終了となってしまいました。

正直、"GUNDAM WAR NEX-A"だけで見れば、短い期間でサービス終了するようなゲームでもないと思いますが、前述の通り強引なリニューアルの過程が、「俺たちの"GUNDAM WAR"を潰した結果がこれか!」という印象が強すぎたために、必要以上に非難を受けてしまうことが多く、ある意味不憫なTCGと言えるかもしれません。

"GUNDAM CROSS WAR"に関しましては当店でも取り扱いもなく、ゲームの内容も把握していなかった為、この記事での言及は避けさせて頂きます。
しかし、事実としては約2年でのサービス終了となっており、非常に短い期間で終了してしまった為、これに関しては"GUNDAM WAR NEX-A"以上に、ハッキリと失敗したと言って差し支えないと思います。

3.これまでの歴史を踏まえた上で新ガンダムTCGについて思う事

"GUNDAM WAR"で黄金期を創り、
"GUNDAM WAR NEX-A"でリニューアルに失敗してしまい、
"GUNDAM CROSS WAR"で止めとなってしまった。

大まかに言うとこのような流れで、ガンダム単独のTCGという道は2017年をもって潰えてしまいました。

前述でも述べた通り、"GUNDAM WAR"というのは本当に一時代を築いたTCGであり、その後のTCG業界にも、多大な影響を与えたTCGです。
その偉大さゆえ、その時代を知っている人ほど、新しいガンダムのTCGというのは、とてもナイーブなコンテンツなのです。

当店では、"GUNDAM CROSS WAR"終了のタイミングで、"GUNDAM WAR"の取扱いを開始しました。

単純に"GUNDAM WAR"をもう一度遊びたいという気持ちが強かったですが、それ以上に「ガンダムのTCGを途絶えさせたくない」という気持ちも強かったです。
当初は自分で使うカードを集められれば良いや程度の気持ちでtweetをしました。
それが多数のお客様に支えられ、長く遊び続けるユーザーの輪も広げることが出来ました。

約7年間、ほぼ毎月大会を行わせて頂き、時には遠征をしてまでご参加頂く方もおり、皆様に支えられてここまで続けることが出来ました。

それほどまでに強い怨念…想いが籠っているカードゲームの為、今回の新ガンダムTCGの発表の際には、賛否が両極端に分かれていました。
特に否定的な意見としては、このような声が多数挙げられていました。

"ガンダムウォーをそのまま出せ!"
"ガンダムウォーで良い!"
"ガンダムウォーで裏切られているからもう触らない"

このように、やはり"GUNDAM WAR"に魂を引かれてしまった方が多く見受けられました。
このような声に対して、正直な感想を述べさせて頂くと…

"まあそれはそうだよね…"というのが正直な気持ちです。

不信感があるのは当然だと思います。
それほどまでに"ネグザショック"というのは、当時のプレイヤーにとって衝撃的な出来事でした。

しかし、商品情報発表PVでも、過去のガンダムTCGとして、触れられていました。
本来、"GUNDAM WAR"に公式が触れるということは、新しいガンダムのTCGの発表会ではマイナスなイメージを植え付けかねないです。
しかも年表まで出したうえで、早期に終了してしまった"GUNDAM CROSS WAR"に関しても隠すことなく触れています。
その上で、メーカー様はあえて「"GUNDAM WAR"は今でも遊んでいる方がいる」という言及までして頂きました。

これは、メーカー側ができる"最大限の清算"なのだと感じました。
あえて触れる必要のない黒歴史にもメーカーが触れるというのは、本来はあり得ないことです。
それでも、"最大限の清算"を行うことで、出来うる限りの不信感を払拭した上で、これから始める"ガンダムカードゲーム"への不退転の覚悟を示しているのだと思います。

思い上がりかもしれませんが、2017年から"GUNDAM WAR"を続けられたことを、恐らく認識して頂いた上で、最大限の賛美を頂いたようにも感じ取れました。

"GUNDAM WAR"時代の不信感への清算
その上で今でも"GUNDAM WAR"を遊んでいる方への賛美

メーカー側が出せる声明として、これ以上はないと思います。

このポストでも触れさせて頂きましたが、本当に報われたなと思います。

それでも…やはり当時を知る方の中には"ネグザショック"を払拭できない方も多数いらっしゃると思います。

「未来とは、今とは違う時間――より良き世界を指す言葉ではなかったか?」
「託されて、歩き続けるんだ。どんなに辛い道であっても……!」

機動戦士ガンダムUC episode 6「宇宙と地球と」

ミネバもバナージもこう言ってることですし、純粋に"ガンダムカードゲーム"をやってみませんか?
今の"BANDAI CARDGAMES"(現在のバンダイカード事業のブランド名)は、ガンダムウォーを販売していた当時より遥かに進化して、ユーザーにも寄り添っているように思えます。

プレイしていくうちに前世の記憶がちらつくことはあると思います。
カードを2枚引いて1枚捨てる効果は特権プレイって言っちゃうと思います。
それでも、もしかしたらガンダムウォーよりも素晴らしい体験ができるかもしれません。

当店では"ガンダムカードゲーム"を全力で応援し、"ガンダムTCG"の系譜を絶やさないように尽力してまいります。
もちろん"GUNDAM WAR"に関しても、これまで通りとはいかないかもしれませんが、ジオン残党兵達の心の拠り所として、細々と続けていければと思っています。

年齢的に、恐らくこれが現役でやる最後の"ガンダムTCG"になる方も多いと思います。
ユーザー層的にも、仮に失敗してしまった場合は、流石に次はないんじゃないかなと思います。
だからこそ、メーカーもあえて"ガンダムカードゲーム"というシンプルな名称で、不退転の覚悟を示しているんだと思います。

(恐らく)最後の"ガンダムTCG"、皆で最初からガッツリ楽しみませんか?

現在公式サイトでは体験会を参加者を募集しております。
応募はTCG+というアプリからの応募となります。

この記事を見て、少しでも興味がわいた方は、是非上記のURLからご応募頂ければと思います。

今後も"ガンダムカードゲーム"に関しては発信を続けてまいります。
その際は是非とも宜しくお願いいたします。

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