見出し画像

【新専門医制度】 循環器Joslerまとめ

新専門医制度における循環器内科研修制度、特に循環器Joslerに関するまとめとなります。
新専門医制度で研修される先生方の参考になりましたら幸いです。

※最新の情報は公式ホームページでの確認をお願いします。

※ 下記のページでまとめ直しております。


概要

新循環器専門医は内科専門医のサブスペシャリティに位置付けられ、内科専門研修2年目から並行して研修可能となり、3年の研修をもって修了になります。
即ち、最短では医師6年目に内科専門医試験、医師7年目に循環器内科専門医試験の受験することができます。


循環器Jolserへのユーザー登録

研修は " 循環器Josler " という内科Joslerと似たようなシステムを使用して進めていくことになり、まずは循環器Joslerに登録する必要があります。

4月1日から研修を開始する(あるいは開始した)専攻医は、その年の3月1日から8月31日に循環器J-OSLERのユーザー登録をしてください。スケジュールは年度により変更となる可能性がありますので、登録する年度のご案内をご確認ください。

日本循環器学会ホームページ

例えば、2024年4月循環器内科専門医研修開始専攻医のユーザー登録は2024年3月1日~2024年8月31日となっており、逃すと1年遅れます。期間内に忘れずに登録しましょう。


循環器Joslerの修了要件


循環器Joslerによる研修終了要件は、以下の3つを満たすこととなります。

  1.  症例経験:症例経験 36 例以上の登録

  2.  病歴要約:登録した症例経験から 10 症例分の病歴要約

  3.  技術技能経験: 393 例以上の技術技能経験の登録

循環器Jolserログイン後に左側タブの " 研修実績 ⇒ モニタリング " を確認してください。そこで必要な症例数や現在の状況、すなわちノルマと達成率を把握できます。

① 症例経験

" 症例 ⇒ 症例取込 " で内科Joslerで登録した症例をそのまま循環器Joslerに移行可能なため、循環器関連の症例は症例取込をおすすめします。

年次ごとの症例経験目標数:
連動研修3年間の場合: 12 症例以上/年
※ 外来症例は血圧異常、先天性心疾患、失神に限り、最大5症例まで登録が認められています(病歴要約は入院症例に限ります)。

必要症例数
:36症例以上
内訳:心不全4例、ショック1例、不整脈6例、心臓突然死1例、血圧異 常3例、虚血性心疾患6例、弁膜疾患3例、心筋疾患3例、感染性心内膜 炎1例、肺血管疾患1例、先天性心血管疾患1例、全身疾患に伴う心血管 異常2例大動脈疾患1例、末梢動脈疾患1例、静脈・リンパ管疾患1例、 心臓神経症・神経循環無力症1例

またとても分かりにくいのですが、" 心不全 "と " 不整脈, 心臓突然死 " だけは、タブを開くと細分化された必要症例数がでてくるので注意してください。


② 病歴要約

・10症例以上(疾患に重複がないことが推奨)、 内3例は手術または剖検症例
・病歴要約は入院症例に限る
・手術症例に関しては、原則開胸・開腹を伴うものに限る(TAVIなどは不可)

①で登録した症例から10症例をピックアップして病歴要約を行います。内科Joslerで要約した症例も可能となっています。

要約に関しては " 循環器内科領域専門医研修における病歴要約作成と評価について "  が参考になります。
ただし、循環器Joslerではセクション毎に文字数制限が設けられており、特に参考文献を見本通りに記載すると文字数制限にかかるという問題が生じています。

③ 技術技能経験 393 例以上の登録 

これが最大の難関です。技術・技能の登録目標は各年で 131 例以上、修了要件は 3 年間で 393 例以上の登録となっています。

注意点:症例登録すべき項目が決まっている
上記のモニタリング画面を確認すると、各項目の() 内に修了のために登録する必要がある数が記載してあります。各項目の色は登録数によって変化し、最終的にはすべての赤色の項目が緑色になるように登録する必要があります。

登録を開始する際は、必ずモニタリングを確認してからはじめることをおすすめします。
例えば下記の検査法・治療法は極端にいえば1件も登録する必要がありません。
検査法:3a. 標準12誘導心電図、7b. 心臓カテーテル検査、7c. 心筋生検、14. 心肺運動負荷試験、
治療法:7. カテーテルアブレーション

一方で、
6a.経胸壁心エコー 70例、13a. 眼底検査 7例、13b. 腎動脈造影 4例
などは登録必須となっています。

研究のデータ入力のような地道な単純作業ですが、挫けない強い心で頑張るしかありません。また専攻医だけでなく指導医も概ね同様の作業量が必要となりますので、早期の着手が推奨されます。

この経験登録の完成度がどこまで求められるものなのかについての具体的言及はありませんが、参考までに " 【新専門医制度】「よくあるご質問」 " からの引用を載せておきます(解釈はお任せいたします)。

循環器専門研修カリキュラムに沿ってご研修、評価をして頂きます。指導医の先生の評価で研修を担保頂いております


循環器内科専門医資格認定審査

注意すべきポイントを挙げていきます。

ACLSの認定資格

※新型コロナウィルスの影響により、期間延長の例外措置が取られています(2024年度は9月30日まで)

  • AHA ACLSプロバイダーコース

  • AHA HeartCode ACLS

  • AHA ACLS-EPコース

  • AHA ACLSインストラクターコース

  • AHA ACLS-EPインストラクターコース

  • AHA PALSプロバイダーコース(小児科のみ有効)

  • AHA PALSインストラクターコース(小児科のみ有効)

試験前に忘れずに受講して認定を取得しておくようにしましょう。また認定有効期間は受講から2年のため、注意してください。

症例要約の提出

循環器Joslerで作成した病歴要約をダウンロードし、会員ポータルサイトにアップロードする必要があります(郵送不要)。
剖検記録に関しては、個人が特定できる情報(氏名、ID、住所、生年月日)には必ずマスキングをするよう指示があり注意が必要です。

郵送が必要な書類

ACLS認定カードのコピーに加えて下記の書類を作成し郵送する必要があります。注意点として教授や部長の判子/サインが必要になるため、時間に余裕をもって作成しましょう。

循環器専門医資格認定審査申請書 :
会員ポータルサイトにて作成後、 印刷して郵送します。

循環器内科専門研修修了判定記録書のコピー:
循環器内科学会ホームページからダウンロードし、研修管理委員会委員長の署名・押印の上、コピーを郵送します(※ 原本でなく、コピーの指定)。

研修履歴書、在籍証明書:
新専門医試験申請用PDF作成システムで作成し、会員ポータルサイトにアップロード、及び郵送します。なお、在籍証明書は必要事項を記載し、押印の上、郵送です。


スケジュール

例)2023年年度

2023年
5月26日~6月30日(16時まで):受験申請・申請書類作成期間
6月20日~7月5日(消印有効):申請書類提出期間(郵送)
7月下旬:メールによる審査料振込依頼
7月~9月上旬:申請書類審査期間
9月中旬:メールによる書類審査結果通知(及び受験番号・試験会場の連絡)
9月28日:メールによる受験票ダウンロード方法の連絡(及び試験のタイムスケジュールの正式発表)
10月15日:専門医試験、12時入室開始、13:00~15:30  試験時間

2024年
1月17日:合格発表、合格の場合は専門医認定料振込依頼

まとめ

新専門医制度での研修の特徴は、Joslerというシステムを使用するようになったことですが、症例登録は比較的容易であり、症例要約の難易度も旧制度と大きな変わりはありません。

しかし新たに開始となった技能技術経験登録が最大の難関であり、これが専攻医および指導医に多大な負荷をかける設計となっています(これは学会内でも問題と認識されており、登録件数削減の動きがありますが、今のところは実現されていません)。

指導医の承認にもある程度時間が必要となるため、モニタリングを確認しながら無駄に症例を登録しないよう注意し、時間があるときに地道に登録作業を進めておくことをおすすめいたします。