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内科専門医試験 循環器分野 対策問題 2024.11.01 号
Question
Q1.Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)はWPW症候群に合併した発作性心房細動には<使用してもよい・禁忌である>
Q2.Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム)はWPW症候群に合併した発作性上室頻拍には<使用してもよい・禁忌である>
Answer
WPW症候群とCa拮抗薬の使用に関する注意点
WPW症候群とCa拮抗薬の使用に関する注意点
WPW(Wolf-Parkinson-White)症候群は、心房と心室間に異常な伝導経路が存在することで、頻脈性不整脈を引き起こす疾患です。特に、発作性心房細動(PAF)や発作性上室頻拍(PSVT)を合併することが多く、それぞれの治療法には注意が必要です。本稿では、Ca拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム)について、これらの頻脈性不整脈に対する使用について解説します。
Ca拮抗薬の作用
Ca拮抗薬は、心筋や血管平滑筋のカルシウムチャネルを阻害することにより、心拍数の低下や血管の拡張をもたらします。
WPW症候群に合併した発作性心房細動(偽性心室頻拍)への使用
WPW症候群において心房細動が発生した場合、異常伝導経路を通じて心室に早い刺激が伝わることがあり、これが「偽性心室頻拍」と呼ばれる危険な状況を引き起こすことがあります。心房細動がWPW症候群に合併している場合、Ca拮抗薬の使用は禁忌とされています。なぜなら、Ca拮抗薬は正常の房室結節伝導のみを抑制してしまい、心室細動を誘発する可能性があるからです。
WPW症候群に合併した発作性上室頻拍(PSVT)への使用
一方、WPW症候群に合併した発作性上室頻拍に対しては、Ca拮抗薬の使用が可能です。発作性上室頻拍は、心房から心室へ通常の経路を介して伝導されるため、Ca拮抗薬が有効に作用します。これにより、心拍数のコントロールや発作の緩和が期待できます。
結論
WPW症候群における不整脈治療においては、発作性心房細動と発作性上室頻拍の違いを理解し、適切な治療法を選択することが重要です。Ca拮抗薬は、発作性上室頻拍に対しては有効ですが、発作性心房細動に伴う場合は禁忌であるため、慎重な判断が求められます。