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内科専門医試験 2025年度 対策問題集 循環器分野 第21~25問


今回は、2025年度の内科専門医試験に向けた循環器分野の対策問題を作成し、厳選したうえで解答と解説をシンプルかつ分かりやすくお届けします。
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ではスタートです!

問題21. 発作性上室性頻拍(PSVT)の治療として最も適切なものはどれか?

A.リドカイン
B. ATP(アデノシン三リン酸)
C. アミオダロン
D. ジソピラミド
E. カリウム補正

解答

B. ATP(アデノシン三リン酸)静注

解説

発作性上室性頻拍(PSVT)は、房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT) や 房室回帰頻拍(AVRT) によって引き起こされる頻脈性不整脈である。

PSVTの特徴
突然発症し、突然停止する(発作性)
・頻拍中にP波が見えないことが多い(逆行性P波としてT波に埋もれる)

治療の原則
1. 迷走神経刺激(迷走神経刺激法)
・頸動脈洞マッサージやValsalva手技により房室結節を一時的に抑
 制し、PSVTを停止させることができる。
2. ATP(アデノシン三リン酸)の静注
・房室結節の一時的ブロックを誘導し、リエントリー回路を遮断す
 る。
・AVNRTやAVRT(WPW症候群に伴うもの)に対する第一選択治療
 である。
3. Ca拮抗薬(ジルチアゼム、ベラパミル)
・ATPが無効の場合に使用される。
4. カテーテルアブレーション
・頻回に発作を繰り返す場合、カテーテルアブレーションにより根
 治が可能である。

問題22. 先天性QT延長症候群において最もリスクの高い誘因はどれか?

A. 低血糖
B. 運動
C. 飲酒
D. 喫煙
E. 体位変換

解答

B. 運動

解説

先天性QT延長症候群は、心筋の電位依存性イオンチャネルの異常によりQT間隔が延長し、Torsades de Pointes(TdP)や致死性不整脈のリスクが高まる疾患である。

代表的なタイプと誘因
1. LQT1(KCNQ1遺伝子異常)

・運動(特に水泳などの強い交感神経刺激)により不整脈が誘発さ
 れる。
・β遮断薬が有効。
2. LQT2(KCNH2遺伝子異常)
・感情の急激な変化や驚きが誘因となる。
・目覚まし時計の音などの刺激で突然死のリスクがある。
3. LQT3(SCN5A遺伝子異常)
・安静時や睡眠中に発症することが多い。
・β遮断薬の効果が限定的で、ナトリウムチャネル遮断薬(メキシ
 レチンなど)が有効。

QT延長症候群の管理には、β遮断薬やICD(植込み型除細動器)の適応を慎重に判断することが重要である。

問題23. 心房細動(AF)のレートコントロールに最も適した薬剤はどれか?

A. アミオダロン
B. フレカイニド
C. ジソピラミド
D. β遮断薬
E. Naチャネル遮断薬

解答

D. β遮断薬

解説

心房細動(AF)における治療の目的は
①レートコントロール
②リズムコントロール
③抗凝固療法の適応判断

に分けられる。

  1. レートコントロール(心拍数の抑制)
    ・β遮断薬:第一選択薬
    ・Ca拮抗薬:心機能が保たれている場合に使用可能
    ・ジギタリス:心不全合併例に有用だが、単独使用では効果不       十分

  2. リズムコントロール(洞調律維持)
    ・クラスⅠc抗不整脈薬:心機能正常な場合に使用可能
    ・クラスⅢ抗不整脈薬:心機能低下例にも使用可能

  3. 抗凝固療法
    CHADS₂スコアなどに基づき適応を判断する。

AF治療では、患者の心機能や基礎疾患に応じて適切な薬剤を選択することが重要である。

問題24. 心房粗動(AFL)の最も特徴的な心電図所見はどれか?

A. RR間隔の完全な不整
B. PR間隔の短縮
C. 規則的な鋸歯状波(F波)
D. QRS波の幅の狭小化
E. QT間隔の延長

解答

C. 規則的な鋸歯状波(F波)

解説

心房粗動(AFL)は、心房内のマクロリエントリー回路によって発生する頻脈性不整脈である。

心電図所見
・F波(鋸歯状波)が特徴的で、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で明瞭にみられる。
RR間隔は比較的整っており、AFとは異なる。
心室レートは約150bpm(2:1伝導の場合)、100bpm(3:1伝導の場合)など、一定の倍数関係を持つ。

治療は、侵襲的治療であればカテーテルアブレーション薬物治療ではβ遮断薬やCa拮抗薬が用いられる。

問題25. 完全房室ブロックの治療として最も適切なものはどれか?

A. アトロピン静注
B. β遮断薬投与
C. リドカイン投与
D. ペースメーカー植え込み
E. カルシウム拮抗薬の投与

解答

D. ペースメーカー植え込み

解説

完全房室ブロックは、心房から心室への伝導が完全に遮断され、心室が補充調律に依存して収縮する病態である。

治療の原則
1. 急性期対応
・血行動態が不安定な場合、一時的ペーシングを実施する。
2. 慢性期対応
・完全房室ブロックが持続する場合、恒久的ペースメーカーの植え込みが必要である。

β遮断薬やCa拮抗薬は心拍数を抑制するため、完全房室ブロックでは禁忌である。

おわりに

お疲れさまでした。
今回の内科専門医試験 2025年度 循環器分野の対策問題、いかがだったでしょうか?
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