WATCHMANの適応基準について
適応基準
(1) 選択基準
本品の選択基準については、添付文書の使用目的に従って使用すること。
本治療は CHADS2 スコアまたは CHA2DS2-VASc スコアに基づく脳卒中および全身性塞栓症のリスクが高く、長期的に抗凝固療法が推奨される非弁膜症性心房細動患者にのみ考慮されるべきであり、これらの患者のうち以下の要因の 1 つまたは複数に適合する患者に対して、長期的抗凝固療法の代替として検討される治療である。
以下のうちの 1 つ以上を含む、出血の危険性が高い患者。
• HAS-BLED スコアが 3 以上の患者
• 転倒にともなう外傷に対して治療を必要とした既往が複数回ある患者
• びまん性脳アミロイド血管症の既往のある患者
• 抗血小板薬の 2 剤以上の併用が長期(1年以上)にわたって必要な患者
• 出血学術研究協議会(BARC)のタイプ 3 に該当する大出血の既往を有する患者
なお、機械的人工弁の植込み患者、凝固能亢進状態の患者、または再発性 DVT 患者など、非弁膜症性心房細動以外の理由で経口抗凝固薬の長期使用が必要な患者は、本治療の適応ではないことに留意すること。
(参照 https://www.j-circ.or.jp/device/)
「HAS-BLED スコアが 3 以上」が使用されることが多いですが、
「BARCのタイプ 3」についても注目しましょう!
(2) 除外基準
心臓内(特に心房内)血栓が認められる患者。
心房中隔欠損又は卵円孔開存に対する修復治療(外科手術、デバイス留置等)、あ
るいは心房中隔の縫合閉鎖の既往がある患者。左心耳の解剖学的構造が閉鎖デバイスに適応しない患者。
左心耳閉鎖術 が 禁 忌 で あ る 患 者 ( 経 食 道 心 エ コ ー ( transesophageal echocardiography:TEE)プローブや施術に必要なカテーテルの挿入が困難等)。
抗凝固療法、アスピリン又はチエノピリジン系薬剤の使用が禁忌である患者。
(参照 https://www.j-circ.or.jp/device/)
HAS-BLED スコア
BARC出血基準
【BARC出血基準(Bleeding Academic Research Consortium)】
これまで臨床試験や登録研究ではさまざまな出血基準が用いられ,比較が困難であった。今回,欧米の行政,企業,研究者から成る組織BARC(Bleeding Academic Research Consortium)が設置され,以下の統一基準が定められた。
●タイプ0:出血なし。
●タイプ1:医学的に問題とならない(not actionable),患者が予定外の検査,入院,治療のため医療機関を受診する要因とならない出血。患者が医療専門家に相談せず,患者自身の判断により治療を中止した場合も含む。
●タイプ2:明白で,医学的に対応すべき(actionable)出血兆候で(例:臨床状況から想定される以上の出血。画像検査のみで検出される出血を含む),タイプ3,4,5の基準には該当しないが,下記の基準の1つ以上を満たすもの:(1)医療専門家による非外科的介入を要するもの,(2)入院またはケアレベルの引き上げを要するもの,(3)評価を要するもの。
●タイプ3
タイプ3a
明白な出血+ヘモグロビンの低下3~<5g/dL*(ヘモグロビンの低下が出血に関連する場合)
明白な出血に伴う輸血
タイプ3b
明白な出血+ヘモグロビンの低下≧5g/dL*(ヘモグロビンの低下が出血に関連する場合)
心タンポナーデ
外科的介入を要する出血(歯科/鼻/皮膚/痔を除く)
血管作用薬の静注を要する出血
タイプ3c
頭蓋内出血(微小出血または出血性変化は含まない,髄腔内出血は含む)
剖検,画像検査,または腰椎穿刺によりサブカテゴリーが確認されたもの
視力の損傷を伴う眼内出血
●タイプ4:CABG関連出血
48時間以内の周術期頭蓋内出血
出血コントロールのための胸骨閉鎖後の再手術
48時間以内の全血または濃縮赤血球5単位以上の輸血†
24時間以内の胸腔チューブからの2L以上の出血
●タイプ5:致死的出血
タイプ5a
致死的である可能性が高い出血:剖検や画像による確認はされていないが,臨床的に疑われるもの
タイプ5b
明らかに致死的な出血:明白な出血あるいは剖検もしくは画像により確認されたもの
CABG:冠動脈バイパス術。血小板輸血は記録,報告すべきだが,アウトカムとの関係についての詳細な情報が得られるまでは,これらの定義に含まない。CABG関連出血がタイプ3以上のイベントと判断されない場合には,非出血イベントに分類する。CABGとの明確な時間的関係は認められるものの(すなわち,48時間以内),タイプ4の基準を満たさない出血イベントは,非出血イベントに分類する。
*:輸血の影響の補正(濃縮赤血球1単位または全血1単位=ヘモグロビン1g/dL)。
(参照 https://www.ebm-library.jp/att/content/term.html)