Мnetの意図がわからない ―ガルプラファイナルを見て―

日中韓三国のkpopアイドルを目指す少女たちを集め、グローバルガールズグループを作るという名目で始まった、『PRODUCE』シリーズに続くサバイバルオーディション番組『girlsplanet999』が10月22日に最終回を迎えました。

デビューメンバーは、

1位 キム・チェヒョン(韓国)
2位 ヒュニン・バヒエ(韓国)
3位 チェ・ユジン(韓国)
4位 キム・ダヨン(韓国)
5位 ソ・ヨンウン(韓国)
6位 カン・イェソ(韓国)
7位 江崎ひかる(日本)
8位 坂本舞白(日本)
9位 シェン・シャオティン(中国)

の9人。グループ名は『Kep1er』とのこと。

私はもともと東アジアの外交史に関心があり、企画を知ったときも「よくもまあこんな、火種しかないようなところで……」と不安がっていたのですが嫌な予感は的中するもの。

本国票とグローバル票の格差もあり、グローバル人気の高かった中国人練習生が中韓の政治問題や政治思想に足を引っ張られる形でデビューを逃したのは無残としか言いようがありません。
ただ、わりとこれは予想がついたんですよね。PRODUCEシリーズによって 誕生したグループの国籍比を見ていると、外国人が三分の一を占めるのでも 許容値ギリギリだったろうな、とも思ったり。
韓国、日本、中国と三国の練習生がデビューメンバーに入り、とりあえず お題目は果たせました。Мnetも胸をなでおろしていることでしょう(そうか?)。

なお私がいちばんどうなんだろうな、と思ったのは上記のことではなく。


↑ こっちのほう。
 韓国には国民請願というシステムがあり、一定の賛同者が集まれば内容がなんであれ公の担当者が回答する……らしいのですが、けっこう芸能界がらみで国民請願が出されることはあるようです。否応なしにいろいろな属性の目に触れますし、インパクトは大きいと。

……ホントにどうなるんでしょうこれ。

ざっとまとめると、かのBTSの弟分(こう評されることが嫌な方も多いと思う、ごめん)TXTのメンバーヒュニンカイの実妹がガルプラに出ていて、 放送分量がまったくなかったにもかかわらず最終2位でデビューし、それについてファンが動揺している、ということ。
もはや動揺という生易しいレベルではなく、批判的な人たちはたいてい、

・兄のファンの投票によって2位になった
・番組内で何もしていない(キリングパートへの立候補等)
・実力が伴っていない

の三点を問題視している気がします。
お兄さんのⅤライブは番組が始まってかなり早い段階で見ていて、「ああ身内だし応援もしたいよね。だいぶ気を使った言い方してるな」くらいの感想でした。他のもあるらしいですがそっちは見てない。見たいとも思わない。

私もナムドルを推しているので、彼を喜ばせよう! と投票を呼びかけた 一部ファンの気持ちはわかります。
推しに連なる人はなんでも愛しく見えるし、応援したくなるものだと考える人間なので、その方たちは本当にバヒエを応援していたんでしょう。それはもう一途に。

「オーディション番組出身でデビューしてから好きにならなきゃ、知らなきゃいけない って思うアイドルってなに?」という要旨のツイートがありました。かなりアンチよりの 方だったので賛同しかねますが、ここだけは至言だなあと思っていて。

(このnoteは彼女個人を批判するためのものではないです)

Мnet、何がしたかったの?

・客寄せパンダにするつもりで出演させたが、デビューはさせたくなかったからほぼ黙殺。
・どうせデビューするから、それ以外の8人をファイナルに残らせるための演出を最優先にした結果、無視した格好になった。

このふたつかなと当たりをつけましたが、どちらにせよ票を読み間違えた結果になっている。

オーディション番組のデビューを決めるのはストーリーと分量です。配役するのは運営。結局のところどんな役を割り振られるかで結果も決まるようなもの。事実ファイナルまで残った練習生は量に差はあれど、何かしら印象に残るシーンがあったはずです。

だけどもバヒエにはそれがない。デビューメンバーはそれぞれ、名前を呼ばれるときに「投票でTOP9入りを逃したことがない」「探索戦で……」「リーダーシップを発揮し」とエピソードが列挙されたのに、彼女のときは「これまでのミッションで成長を見せてきた」で終わり。これは製作側の失敗だったと思います。

彼女がデビューする確証があったかなかったかはわかりません。たられば 論だけども、 もう少し相応しいストーリーを用意できていれば、ここまで批判を浴びることはなかった。

練習生がどれだけ努力して、自分から前に出ていったかなんてわかりませんからね……。ガルプラは台本と編集があるリアリティ番組ですし。だから こそもうちょっとどうにか ならなかったかと残念でならない。

死に物狂いになって夢を追い求める人間が好きでオーディション番組を見始めたところがあるので、こうなることをうっすら予期しつつ参加した彼女のガッツを私は肯定します。批判されることはわかっていてもデビューしたかったんでしょう? そういうところ好き。頑張ってね。

彼女、本当に分量がなくてコネクトミッションのインタビュー(ここで兄の顔を大写しにする必要はなかったでしょ)とIce Creamのステージちょっとしか記憶がないので大したことは言えないんですけどね……。

ぶっちゃけ、彼女がいようがいなかろうが私の推しがデビューできなかったことに変わりはないので、推しアイコンでバヒエを罵倒してる人を見ると 悲しい。ファンの治安の悪さが伝わったら推しは嫌がるだろうと思うし。

特に批判も擁護もする気はないので(そもそも彼女は悪いことをしてない)本当はМnetよろしく騒動そのものを黙殺するつもりだったのですが、自分の思考を整理したくてnoteにしました。

あらためてKep1erの皆さん、デビューおめでとうございます!

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