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さよなら、20代──11年ぶりに会ったアイドルに震えて帰る

ライブに行ってこんなに感情がめまぐるしく動かされるとは思ってませんでした。正直、今もずっとこのライブの日のことで頭がいっぱいで、絶対忘れたくない思い出なので、noteに書いておきたいと思います。

ということで、2024年7月31日、名古屋ボトムラインで行われた「和田彩花とオムニバス/カンナギマロ」に行きました。和田彩花さんとカンナギマロさんの対バン形式のライブです。

前回のnoteでは、自分が高校生の時に応援していた同い年のアイドル(スマイレージ)のメンバーふたりが、ライブをやっていることをYahoo!ニュースで偶然知って、勢いのままチケットを取った話をしました。

勝手ながら自分の中で、スマイレージというアイドル(10年前にアンジュルムに改名)に対して思い入れが強くあったので、その結成メンバー2人が6年ぶりに共演するというのは、自分なんかよりガチで追ってる人たちの間でも衝撃をもって受け止められていたし、自分も例に漏れず衝撃でした。東名阪の最終日の名古屋、これを逃したら次がいつになるか分からないと思うと、自分の2か月前の在宅ヲタク宣言を無視してでも行かなければという気持ちになって、その気持ちの高まりを前回noteに書いたらクソ長文章になってしまいました。

だから、そのnoteを前編として、ライブに行ったあとのことを後編として書くだろうなと思いながら参戦したのですが、正直、想定してたよりこんなにメンタル食らうとは思っていなかった──と書くとよくない意味に聞こえるけど、いい意味で価値観や人生観に影響を与えた忘れられない1日になりました。


もう平成25年じゃない!

2週間前にライブの存在を知り、そしてついにやってきた7月31日水曜日、静岡から3時間かけて名古屋に着きました。

午後4時、物販開始の時間に合わせて列に並びました。ライブだけでも絶対行くレベルなのに、3shot撮影券があると聞いたら、より(自分にとって)一世一代のイベントに感じて、念には念を、張り切りまくってだいぶ物販開始まで余裕を持って名古屋入りしました。

Tシャツと撮影券2枚を購入。撮影会は開演前と終演後に分かれて行われるようなので、1枚ずつ撮ろうと思って2枚買いました。

午後5時半、再び会場前に着くと長蛇の列。ファン層の感じをまじまじと見てしまいましたが、10年以上前のスマイレージ時代のグッズを持っている人、今回のグッズTシャツを着ている人、互いの存在に気付いて談笑を始める歴戦のヲタク達、そして同世代かそれより下くらいのおしゃれな女子達……うわ~すっごいアウェイを感じる!とか思ったのはさておき、この長い列が進んだら対面すると思うと、急に心臓の鼓動が強くなりました。接触現場そろそろ慣れてもいいのにどうして慣れないのだろうか?!カテゴリーで言うと"体調不良"レベルの緊張感を持ちながら15分ほど待ちました。

列が進んで建物の中に入っていくと、先頭まであと10人ほどだと気付いたのと同時に、今日出演する2人が視界に入ったのですが「実在する!!!!!!」「美人すぎん??!?」とびっくりしてしまいました。友達はほとんど年下で、職場には同世代がいない自分にとって29歳に会う機会がなかったから、いやもちろん素材の違いって話なのですがビジュ良すぎました。とても良い歳の重ね方だな~と思います(誰目線)。パーティションがないのでずっと遠目から眺めてたら列は進んでるのでいよいよ焦ってきて、話したいことを脳内で唱えながら自分の番になりました。

目が合って、「同い年で、11年ぶりに来ました!」と伝えました。本当はもっと色々話したいことはあるけど、先に並んでた人達の様子を見るにそんなに長いラリーはできなそうだから1行に集約してその言葉になったし、「おお~~」みたいなリアクションのおぼろげな記憶しか思い出せないので、すぐに脳が3ショット撮影を遂行するモードに切り替わったのだと思います。

緊張するとはいえ何度も経験はあるから今更事故ったりはしなくて、頭の中は「伝えたいことを伝える」「ポーズを正確に伝える」「写りよく写真に収まる」ことだけに集中していてチェキ会に最適化されているので、まぁその3点は一応成功しました。が。

11年前に行ったリリースイベントの時のシングルの振り付けをやってほしくて「旅立ちの春が来たの(身振り手振りで)このポーズ」と伝えるのですが「わかんない!!」「そんなのあったっけ??」と左右から聞こえるリアクション、「すすすすみません単純に右手でグーを作って手のひら側をカメラに向けるだけで大丈夫です」と口には出せなかったけどもなんとか伝わりました。

チェキが撮れた後、自分の左側にいた和田彩花さんから「ごめんね~もう全然覚えてないの!」と言われて「それはそう!!!!だってもう何年経ってるって話!!!!」とは口に出さずに「いやもう絶対覚えてないと思ってます笑」と返して、「ごめんね~笑」と再び返すその申し訳なさそうな素振りの何倍も申し訳ない気分になってブースを後にしました。

2人はそれぞれ2015年と2019年にグループを卒業して、ハロプロというブランドをなぞった活動というよりはどんどん新しい種類の活動、違う音楽性を打ち出してるわけだし、そもそも小学生からアイドルをやっている彼女たちがいかに青春を犠牲にして過酷な生活をしてきたかということはファン達も周知の事実です。和田彩花さんは先日2人でやっていたインスタライブでも「辛いことがありすぎて昔のことを覚えてない」というようなことを言っていたから、まぁそりゃさっきの会話は想定内のリアクションではあったのですが、

29歳の自分は、11年前に彼女たちに憧れた18歳の自分も一緒に連れて名古屋にやって来たような感覚だったけど、シャッターが切られた瞬間に、18歳の自分ともお別れしたような気がします。もう当然自分は子どもではないし、いや、まだまだ若造だろってそりゃそうなんですけど、10代の頃の髪型を10年経ってもしてるし、まだ大学生に擬態したいみたいな服装で外出するし、こうしてまだ半分思い出の中で生きてたりするけど、いや、もう令和6年だよ、平成25年じゃないよってことを自分の中で消化できたような気がしました。だって2人はバリバリ現役。

アイドルというか人間と対峙した

開場の時間、紙チケットに書かれた整理番号順に入場しました。ライブハウスなので600円のドリンクチケットを購入して、ソフトドリンクの中からアクエリアスを選んでスタンディングの客席中央に陣取りました。

会場にはスマイレージ楽曲のRemixが流れていて、さっき自分が抱いた感情から急に平成25年に連れ戻された気持ちになって感情ぐちゃぐちゃなんですけども、とはいえやっぱり令和6年にまだこうしてオフィシャルで思い出に浸れる場所がある、いわばスマイレージ同窓会的な側面もあるにはあると思うので、それも素晴らしいことだなと思いながらもやっぱり感情ぐちゃぐちゃなんですけども、はい

午後6時半に開演しました。前日の大阪公演中に決まった出順、カンナギマロさんとバンドメンバーが1番手です。

セトリはおそらく10曲前後で、今年3月末にZOCを脱退した後の(バンドメンバーとの)新曲が多く占めてましたが、うち3曲はハロプロ時代の曲(「わたし」「私の心」「私、ちょいとカワイイ裏番長」)でした。(イベントが決まった時点ではZOCじゃなくなると思っていなかったとMCで言っていて、このイベントに合わせて曲を作ってセトリを組んだという経緯から曲数的な意味でも過去の曲をやることにしたのかなと勝手に推察します)

ライブは終始楽しくて、カンナギマロさんは流石の歌唱力、バンドの勢いと会場の雰囲気をどんどん引っ張って行って、フロントマンとして堂々たる風格でした。MCでのトークも圧巻。グループの曲以外はソロでのオリジナル曲になるので、今まさに志向している音楽性が現れているものだと思うのですが、自身の詩世界、歌唱、感情が前面に出るようなアレンジ・音楽性だなと感じました。1曲1曲にこだわりを感じられたし、自分がやりたいようにやるというのが、いわゆるステレオタイプのアイドル像とは違うし、人間を感じられてとても好きです。18歳からタイムスリップしてきたような自分の目から見るとすごく新鮮で恰好良かったです。あと元々昔からずっと聞いてたsyrup16g(というバンド)の中畑大樹さんがドラム叩いていてびっくりしました。激熱すぎる。

後半の「私、ちょいとカワイイ裏番長」、これはスマイレージ時代の楽曲で、今のアンジュルムの現体制においてもライブで非常に盛り上がる人気曲なのですが、イントロのコールアンドレスポンス、1番も2番もずっと続く「かにょん」コール、オーディエンスも待ってましたと言わんばかりに盛り上がりまくる会場の熱気、もう本当にこの選曲ありがとうございますというドデカ感情に包まれました。しかも生バンド、楽器隊も凄まじくて、特にギターフレーズとてもかっこいいんですよねこの曲。なので本当に、少年に戻ったかのように夢中でノってました。本当に令和6年?

MCで喋っていた内容が印象に残っているので、ニュアンスになっちゃうけど書きたいと思います。

・今回は久しぶりに会うお客さんもいるし、あやちょと2人でやるというのもあって昔の曲を選曲した。
・(自分が書いた)「わたし」の歌詞を読み直してみたら、今では共感できない、全然そんなこと考えてないようなことが書いてあった。
・離婚する日に「わたし」を聞いた友達が、「明日からは肩書きがちょっと変わってしまうわたしだからね。」という歌詞を自分ごとのように解釈したという話を聞いて、(歌詞を説明しないので拡大解釈や考察が取り沙汰される)スピッツの草野マサムネさんはこんな気持ちなんだと思った。
・昔頑張ったことが今の自分を助けてくれてるなと思うことが増えた。「わたし」にしても、昔書いたからこそ今こうして歌える持ち曲になっている。
・12月までワンマンライブの予定はなく、それまで曲作りをしていくけど、昔の曲をやるのは言わば"チート"だから今後はやらないで、自分の曲だけでライブをしてもがっかりされないように私として頑張りたい。

えっと、自分の心に刺さりまくりました。

記憶を頼りにした要約なので、正確に書くことができず申し訳ないのですが、29歳のリアルだなと思います。

もう昔の曲をやらない、というのはとても素敵なことだと思いました。もちろん、ファンサービスとして、もしくは大切な思い出として昔の曲をやるということも素敵なのですが、今の自分だけで勝負する、過去に囚われずに自分がやりたいことを大事にするということもまた人生なのだと思います。それはまさに自分においても、20代が終わって30代になる直前の今、生活のテーマだと切実に感じるものでありまして……。

そして逆に、昔の自分が今の自分を助けてくれているという感覚もとてもよく分かります。年を重ねるというのは、文字通り年輪が増えていくことなのだなと思いました。自分は気付いたら年齢だけ重ねていて、実態が伴ってないな~と思ってまだ子供気分なのですが、それでも、実はやっぱり、あの時のああいう経験があるからこそ、今の自分が生きていられるということは多いです。絶対20歳の自分では、25歳の自分では、今の29歳のように生きていけないと思います。ちゃんと回想すればどの年齢のときの経験もちゃんと今に繋がってるなと感じるから、そういう意味で言えばもしかしたら加齢することも楽しみだと思えるようになるのかなと思いました。

音楽って楽しい

1組目と2組目の機材転換の間、MCタイムになりました。
スマイレージのデビュー当時のマネージャーで、和田彩花さんの所属事務所の社長である山田さんも登場し、3人でのトーク、主にはハロプロ時代のエピソード(あやちょ、かみこというニックネームはカンナギマロさんが名付け親という話とか)で盛り上がって、全く知らないようなエピソードが多くて楽しかったです(小学生並みの感想)。

転換が終わって次は「和田彩花とオムニバス」の出順。2組ともそうですが、「何も知らない自分が見てどう思うか感じたい」と思ったので、何も予習してないんです。だから2人が今どういう音楽をやっているのかというのことにとても興味がありながら、どういうステージになるのか全く予想できてません。

結論から言うとめっっっっっちゃくちゃびっくりしました、「故きを温ねて新しきを知る」と言いますが、文字通り新しきを知ったんですよ。で正直俺はこれを知るのが遅すぎたなと思いました。「スマイレージだった2人に会いに行く」っていうのが最初のテーマだった気がするんですけど、なんかそんなこと忘れて、ライブハウスで今日得られた体験が、文脈抜きにしても非常に良質なもので本当に驚いているというか。

(追記:当日のライブのフルバージョンがアップされていたので動画をそちらに差し替えました)

音楽性としてはまず、いわゆる歌ものロックとかポップスというのとは違くて、楽器隊が奏でるグルーヴ、そしてそこに重なるボーカルみたいな、リズムに合わせて体が踊りだすような音楽。いやほんとに語彙力なくて悪いんですけど、ギター、ベース、ドラム、キーボード、サックス、この5人の激熱な演奏に合わせてあやちょが誰よりも楽しそうに音に乗ってるんですよ、終始。ギター炸裂!!みたいなパートは自分なんかでも凄すぎて笑っちゃうくらいだったんですけど、彼女自身もすごい笑顔でギター来たー!!みたいな感じだし、うん、本当に凄かった。自分もずっと音に乗ってたし正直ずっと楽器隊から目が離せませんでした。

和田彩花とバンド、っていう見方っていうよりなんかこの凄すぎるバンドを率いてる和田彩花凄すぎるっていう見え方でした。カンナギさんの客層を意識して「私たちはこういう感じなので~」と本人が言っていましたが、アイドルファンが普段行かなさそうなジャンルのライブ、ペンライトもなし、乗り方も違うので、スマイレージという思い出を接点にして出会ったのが不思議なくらいかっこよすぎました。

ライブハウスに来てバンドの演奏を見たのも5年ぶりくらいだったんですよ……おかしい、昔バンドやってたのに気が付いたらアイドルの現場しか行ってなかったんです。アイドルソングの、コールを覚えて一体感、お祭りみたいに盛り上がる感じも楽しいけど、全曲初見だとしても自然と体がノってる、ずっと踊ってられる、フロアのみんなも踊ってる、楽しい、という感覚、終始惹きつけられました。本当に来て良かったし、知らなかったことを悔いてます。また行きたいです。うーん、もっとずっと続いて欲しい時間だった。

震えて帰ることになると思ってなかった

終演後にも行われる撮影会の、およそ100人以上の列に並びながら色々考えてて、ポーズは、両手で「30」を作るやつにしようとか、何より今日のものすごい感動を伝えたいなと思って脳内で文章をめちゃくちゃ推敲して頭が高速回転したまま、気が付いたら自分の番が来ました。

あやちょだけ33ポーズになってしまったのはわたしの伝達ミスです本当にすみません

撮り終わって
ぼく「自分も今年20代が終わるけど、それが憂鬱だなと思ってて」
2人「なんで?!?!男は30(代だよ)!!!」
ぼく「でも今日めっちゃかっこよくて、自分もかっこいい30代になりたいなって思いました!!」

撮影列の流れの合間、少ない秒数にねじ込むような早口で、言いたいことは伝えることができた後の去り際、自分の目を見てあやちょが真剣に「頑張ろうね!!」と言ってくれた瞬間のことは、スローモーションのように今でも思い出せるし、それを噛みしめるように、いや本当に唇を嚙みながら泣きそうな顔でその言葉を聞いてた自分は、気が付いたら震えながら会場の外に出ていました(いや、正確には物販でグッズを買い足してから外に出ました)。

2人の「なんで?!?!」というリアクションに対してこちらこそが「なんで?!?!」って思うくらい、カルチャーショックな出来事でした。男は30代だって今まで誰も言ってくれなかった。仲間内で脂身がしんどくなってきたという自虐で盛り上がったり、もう高卒から12年経つよ、ヤバすぎるよだのそういう話題に花を咲かせてました。うーん、さっきから、上の年代の人に言ったら怒られそうな年齢観ばかり言ってますね、すみません。

とはいえ、何歳になっても、というか年齢はただの記号だと言わんばかりに輝いてる2人を直に見たわけなので、自分が年齢がどうたら言ってる場合じゃないと思ったし、この2人が言うんだから間違いないし頑張れそうって思った、救いみたいな不思議な出来事でした。なんか、今まで知ってた「アイドル」と「推し」みたいな関係性に当てはまらない、同じ人間同士なんだなと、それは勝手にこちらが受け取っただけかもしれないけど、とにかく、すごい1日でした。

中盤の3人でのMCで和田さんが「29歳で生きにくいなと思う出来事もあるけど、『30になったら生きやすくなるよ』と言われたから楽しみに思っている」的な発言をしてて、それに山田社長も同調してて、先に書いた年輪の話もですけど、人生として学ぶことが非常にたくさんありました。29歳の今だからこその彼女達のライブを見たことに、自分の中で大きい意味を感じました。嵐が過ぎたかのような濃厚な2時間を経て、もぬけの殻のようになって家に帰り着き、2日経ってこれを書いてます。

ハッピー30代

社会心理学者である加藤諦三さんが出演された動画を少し前に見たのですが、とても心に残る箇所がありました。ハーバード大学の心理学教授であるエレン・ランガーさんの著書を紹介する場面での発言です。

7分29秒頃より

ランガーさんが調査したのは、この高齢者施設に入っている80代の人たちですけども(中略)

一番元気を失っている高齢者の人たちは、そういう人はおそらく(自身が)最初に高齢者と接したのが13才ぐらいの中学生ぐらいの頃だろうと。(中略)

初めて高齢者に会った時は「高齢者」に比べ自分のほうが物が持てるし速くも歩ける。全部自分のほうがすごいと思ってしまう。ところが自分が今度は(その感覚で)高齢者になったら、高齢者である自分のことを素晴らしいとは思えないわけです。

ところが(13才より)小さい頃に祖父母に会って、祖父母(高齢者)はすごいんだって思えた人っていうのは、まったく(小さい時と)同じように、自分が(高齢者になっても)すごい存在になっているわけです。

30代というテーマで80代への調査の話を持ち出すとちょっと誤解を招きそうですが、でもやっぱり理屈としては納得できる話なんです。自分が「高齢者」に抱いている感情の内訳を見事に説明されてしまったので、驚きました。実際、自分の祖父母は早くに亡くなっているので、記憶がほぼありません。「引き起こされる感情は過去の経験の囚われである、だからそれがいつ植え付けられたものなのかを振り返って断ち切る必要がある」ということをこの動画では説いていました。

ライブが終わって、最寄り駅から家まで運転する途中、ちょうど10歳下の友達と電話して今日の感想などを聞いてもらってたのですが、「(前略)やっぱりこれは、充実してる30代のモデルケースを俺がまったく知らなかった(世間知らず)からだと思うんだよね」という話をしたときに、いやでも、本当にそうなのだろうかと電話越しの20歳の彼はあんまり共感していなくて、

「やっぱり社会人になったら自由が利かなくなるから、自分は大学を卒業する頃にはアイドルヲタクを辞めてしまった方がいいのかなと思うし、社会に出ても新鮮なものに出会えて目を輝かせる暮らしをするなら、就職とかじゃなくて起業するとかそういう違う選択肢を選ばなきゃいけないのかなと思う」みたいな、要約なのでまったく正確じゃないかもしれないけど、彼の言ってることとその切実さは、今でも手に取るように分かってしまったんですよね。自分もそうだったから。

一方、少し前に、心理カウンセラーをやっている30代の先輩と電話したときに似たような話題になったのですが、「職業柄、年上の先輩が指導に就いてくれたりするから、何歳になったらどのようなことができるようになるかというロールモデルに触れる機会が多い──要するに自分が将来的にこの道を進んでいったときにどうなるのかはイメージできてるかもしれない」という話をしてて、めちゃくちゃ羨ましかったんですよね。だったら、やっぱり自分が置かれてきた環境の違いなんでしょうか。

社会に出るまでに遊んでおきたい・バンドがしたいと思って数年フリーターを続けたけど、いつまでもダラダラしてたらいけないと思って意を決して正社員になった、と思ったら始まったコロナ禍以降の閉塞感、最近は自分が何をしていれば幸せを感じられるのかも分からない、そもそも生き抜く動機が見つからないみたいな、今年に入っても自分はそういう精神状態でした。だけど、このライブを見に行ってそんなことを考えていた自分がアホみたいだなと思えたんです。過去を引きずらなくていいし、できる範囲でも楽しいと思うことに挑戦していきたいし、それができるんだと2人から勇気を貰いました。

この7月31日は実は和田彩花さん29歳最後の日でした。終演後、本人のSNSには「本日付で所属事務所を退所し、今後は移籍や所属などをせずに完全に独立した形で活動していく」という旨の発表がありました。30歳という節目を迎えるにあたっての決断。自分の信念を大事にして、人生を謳歌しようとする姿勢に深く感銘を受けました。
カンナギマロさんも、3月末に所属グループを脱退して新たな旅立ちをしたばかりのタイミングでした。直近では音声配信サービスで若手芸人との新番組が始まったり、新たなレーベルから楽曲を配信することを発表したりと、嬉しいお知らせが続いています。

この人達ならきっと絶対ハッピー30代。そして、この人達に励まされた自分なら絶対ハッピー30代!この素晴らしすぎる出会いに感謝して、新しい人生を作っていきたいと思えました。とってもハッピーな気持ちです。本当にありがとうございました。


ライブに行く前に書いた記事: