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[スバル•インプレッサスポーツSTIスポーツ]AWDスポーツのエントリーモデルにふさわしい1台。良いクルマではあるのだけれども…

スバルのラインナップにおいて、エントリーモデルの位置付けとなるのがインプレッサスポーツ。

取り回しの良いサイズ感のハッチバックボディに、普段使いの範囲では過不足ないであろうスタンダードなスペック値。
そこに先進安全技術・アイサイトを標準装備しており、電動モーターアシスト・e-BOXER搭載のグレードも用意されている。

エントリーモデルとはいえ、スバルの最新技術がしっかりと搭載されている渾身の1台とも言える。

しかし、だ。

レヴォーグ、フォレスター、WRX S4など。他ラインナップが色濃いためか、影の薄さを筆者は感じていた。

ところが、各自動車メディアではプラットフォームの出来の良さをはじめ、高く評価されているのも事実。

そこで今回は、インプレッサスポーツに設定された上位グレード・STIスポーツの試乗記をお届けする事にした。

はたして、スバル好きにも響く魅力を持ったモデルとなっているのか?

画像引用:株式会社SUBARU
https://sp.subaru.jp/impreza/impreza/

■最小限ながら"STIらしさ"を演出する専用装備

今回試乗するのはインプレッサスポーツ・STIスポーツ。(以下:インプレッサSTI)

他車種にも設定されているSTIスポーツとは、スバルのモータースポーツ部門を担うSTI(スバル・テクニカル・インターナーナショナル)が、内外装も含めて走りの質感を高めたグレードとなる。

インプレッサSTIにおいては、内外装の変更は少ない。

外装各部には専用のブラック塗装が施され、STIエンブレムが追加される。

元々のシャープなスタイリングに
ブラック加飾がよりスポーティーさを際立たせる。

そして内装も、黒基調の内装に専用カラー(ブラック×ボルドー)のシート。そしてSTIロゴ追加された専用メーターが備わる。

シンプルながら質感の高さが感じられる内装。
メーターにさりげなく備わるSTIロゴ。

そしてSTIスポーツの真骨頂でもある走りの質感向上に関しては、しっかりとスペシャルチューニングが施されている。

特筆すべきは、新開発のフロントダンパーが搭載されている事だ。

さらに全グレード内で唯一の18インチタイヤを装着となる事で、走行性能はまさにSTIスポーツでしか味わえない仕上がりとなっている。

■気軽に味わえるAWDスポーツは、「スムーズさ」にステータス全振り?

現行のインプレッサスポーツのパワートレーンは、1.6リッターエンジン、2.0リッター直噴エンジン、2.0リッター直噴エンジン+モーター(e-BOXER)の3種類が用意されている。

そしてインプレッサSTIは、2.0リッター直噴エンジンのみの設定となっている。

最高出力:154PS,最大トルク:196N•mを発生する
2.0リッター直噴エンジンを搭載。

さらに駆動方式は、スバルの真骨頂であるAWDに加え、STIスポーツで初となるFF(前輪駆動)が用意されている事が話題にもなった。

せっかくという事でFFモデルも検討したが、やはりスバル車=AWDというイメージを優先し、今回はAWDモデルの試乗となる。

無駄を感じない、シンプルな構成な運転席に座り込み、いざ出発。

まず発進から、この車のキャラクターを強く感じられる。

走り出しの加速がとてもスムーズなのだ。
抵抗なくスーッと飛び出していく発信は、力強さよりもスムーズさが際立っているフィーリングだ。

そして一般道においても、そのスムーズさが全面に押し出されたドライブフィールなのを、より実感する仕上がりとなっている。

アクセルを踏み込んでいくと、常用域においては過不足さは感じないであろう加速を見せる。
とはいえ、従来のスバル車に比べるとパワフルさは感じられないのも確かだ。

しかし、NAエンジンならではのリニアな加速性能(踏んだら踏んだ分だけ)に、比較的コンパクトなハッチバックボディが相まって、扱いやすさ重視なのだろう。

その証拠として、ハンドリングは秀逸な出来だった。
全体的に軽やかさが感じられる乗り味でありながら、その中にも確かな安定感があるといった具合だ。

それを特に強く感じるのは、コーナーリング。

車体が路面に吸い付くような安定性をしっかり感じながらも、無駄な振動が入ってこない
その為、狙ったラインをイメージ通りにトレースしやすい。
入口から出口まで、とてもスムーズに走り抜ける事ができる。

この乗り味を実現しているのは、専用ダンパー搭載による足回りのセッティングだ。

路面からの振動周波数に応じて減衰力自動調整するという専用ダンパーは、走行中の車体の揺れを最小限に抑えてくれる働きを持つ。そのため、バイブレーションが少ないフラットな乗り味が続いていくため、安定感を強く感じられるという事だ。

この乗り味が備わることで、普段使いにおいても”走りの質感の高さ”を十分に感じられる仕上がりとなっているのを強く実感した。

走りの質感に大きく影響する専用ダンパー。
後にフォレスターSTIスポーツにも搭載される事になる
渾身の一品。

◾️"選ぶ理由"を強く問いかける1台

車としての素性の良さ&運転しやすさに、好印象を覚えたインプレッサスポーツSTI。

しかし、どこか説得力の薄さを感じてしまったのも、正直な感想だ。

なぜか?

それは、この車は"選ぶ理由"を強く求める1台だと思ったからだろう。

取り回しの良いボディサイズなのもあり、各メーカーの人気車種がひしめくCセグメントカテゴリーの中で、インプレッサを選ぶ理由を見出せるか?というところが引っかかってしまったのだ。

まず現実的なランニングコストの話をしてしまえば、ハイブリッド車も多い同じカテゴリー内の他車種と比べると、純エンジン車のインプレッサは不利となる。
この点に関しては、多少でも燃費向上に寄与するe-BOXER搭載モデルでもSTIスポーツを用意してもらえた方が、インプレッサの立ち位置的にも適していた気がしてならない。

さらに、スバル車らしい力強さや走りごたえについても、希薄感がある。
前述した通り、力強さよりスムーズさを優先した乗り味は、キャラクター的には合っているとは思う。

しかし、スバルユーザーの筆者としてはもう一味パンチが欲しいと思った。

とはいえ、気になる点がありながらも「選ぶ理由を強く求める車」には、車好きとしてはそそられる部分がある。

繰り返しになってしまうが、車としての素性の良さは確かだ。

それでいて、流通量の少ないニッチな車だからこそ。
その車への相当な情熱やこだわりを持ったドライバーに、実にふさわしい1台となるものだ。

人と同じ路線を選ばず、個性的ながら運転しやすい車を求めるユーザーには、ぜひオススメしたいと思う。





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