【スイフトスポーツ】2ペダルAT・スポーツカーの楽しさ、ここに極まる!?
「普段の運転に、刺激と楽しさを与えてくれるクルマ」
発売から4年目を迎えるスズキ・スイフトスポーツに試乗。
その中身は車体価格(約200万円)以上と思える、走りのポテンシャルを有してた。驚いたのは6速MTに加え、CVTではなくトルコンの6速ATも用意されている事。
スイフトスポーツの持つ走りのイメージ+国内ラインナップでの希少性も相まって、6速MTを選択したくなるところだが。
実情は現代のスポーツカーらしい「2ペダルATでも十分楽しめる」仕上がりになっていた。正直、ATでもいいんじゃないかと筆者は思っている。
なぜそう考えたのか?
理由も交えながら、試乗レポートをお届けする。
AT車 試乗協力店
(株)スズキ自販栃木 スズキアリーナ戸祭
https://www.suzuki.co.jp/dealer/09201951.sj-tochigi/
MT車 試乗協力店
(株)スズキ自販栃木 スズキアリーナ細谷・駒生
https://www.suzuki.co.jp/dealer/09201954.sj-tochigi/
■実用域+αのスピードレンジでも体感可能な高性能&楽しさ
(画像引用:スズキ株式会社)
スズキ製スポーツカーのフラッグシップであり、国産ホットハッチの代表格に君臨するスイフトスポーツ。「操る楽しさ、極まる」のキャッチフレーズで開発された現行モデルは、先代までのスパルタ感が薄まった気がした。しかしそれはマニアのみならず、全ての人が「操るさ楽しさ」を実感出来るクルマへ昇華していると捉えられる。
そう考えさせる要因は"エンジンとハンドリング"の2点からだろう。
まずはエンジン。現行モデルではダウンサイジングが図られ、1.4リッター・直噴ターボエンジンが搭載されたのだが。これが中々の秀逸な逸品だった。1.4リッターながら、かなりトルクフルな加速&サウンドを実現しているのだ。
現行から採用された1.4リッター・直噴ターボエンジン「BOOSTER JET」。コンパクトながら強いトルクを発生する。
その理由はエンジンチューニングの考え方にあった。低回転域・中回転域から積極的にタービンを回して加速レスポンスを高め。実用域ではあまり使わない高回転域では過給圧(タービンを通してエンジンに送り込まれる圧縮された空気の圧)をコントロールするセッティングとなっている。
つまり、実用域においてターボの恩恵を十分に受けれる仕様となっているのだ。実際にこのエンジンは、最大トルクが2500~3500回転にて発生するセッティングとなっている。
その結果、一般道における発進や加速でアクセルを踏み込めば、かなり鋭い加速を見せてくれる。思わず「うおっ!」と声が漏れてしまうぐらいに(笑)
このエンジンの持つ特性=低回転・中回転域での加速が重視されている事が、冒頭で触れた「ATでもいいんじゃないか」の理由となる。
すでに触れている通り、組み合わされるミッションは6速MTと6速ATが用意されていて、今回はどちらにも試乗させてもらった。
確かにMTは自分で操ってる感がドライバビリティを刺激し、MTならでは楽しさを得る事が出来る。それにこの6速MTはシフトフィールも抜群に良く、各ギアが気持ちよく入ってくれるのが嬉しい。
しかし、それを上回るぐらいにATとの組み合わせが良かったのだ。
ミッションの仕上がりも文句無しなのだか。どうしてもリアルなシチュエーションでの運転の気持ち良さが目立った。
実際、一般道では高回転域まで回す機会は少ない。今回の試乗でもトップエンドは5000回転ぐらいだった。それに、渋滞時にミッション操作をする必要もない。
パドルシフトに対しても素早く反応するので、ダイレクトな走りを楽しむ事も可能だった。ワインディング・峠道を好む筆者自身も「これでも十分、楽しめる!」と思っている。
もちろん前述したとおり、MTならではの楽しさを選択するのも良い。
むしろサーキット走行や、チューニングによるパワーアップなどを視野に入れている人には、MTは必須とも考えられる。
そして、スイフトスポーツのもう一つの重要な要素となるハンドリングについて。
感動すら覚える、とは言い過ぎかもしれないが。
そう思わせるぐらい、とてもダイレクトなハンドリングを実現している。操作に対して、クルマが素直且つ機敏に向きを変えてくれるのと同時に、ハンドル自体にも適度な重さがあるねが、また良いポイント。タイヤと路面の接地感がドライバーにもしっかり伝わってくる。
この驚きのハンドリングを実現できたのは、新プラットフォーム「ハーテクト」のおかげだろう。徹底的な軽量化と高剛性化を行った事により、車両重量はなんと970kgに収まっている。(ATモデルは990kg)
新開発のプラットフォーム「ハーテクト」
(画像引用:スズキ株式会社)
年々、車重増が進んでる自動車開発において、リッターカーで1トンを切ってくる点が「流石、軽自動車・コンパクトカーを得意とするスズキだなー!」と思う。
そして、いかに軽量化が車の動きに影響するのかを改めて実感した。
ここまで語ってきた"エンジンとハンドリング"の良さが「操る楽しさ」を生み出し、結果「普段の運転に刺激と楽しさ」を加えてくれるだろうと筆者は考える。
特に今回のダウンサイジングターボは、高回転域まで回さなくても鋭い加速を味わえるのが、この車のキャラクターを際立たせてている。今回は市街地の試乗となったが、是非ともワインディングや峠で走りを楽しんでみたいものだ。
■ついに3ナンバーボディを手に入れた現行型
ここでスイフトスポーツの外観・内装レビューをお届けする。
まずは外観。全体を見渡すと各部に角が立ったデザインにより、マッシブな印象を受けるエクステリアとなった。
先代に比べシャープになったヘッドライト、多角形の大型グリルを備えた事により、かなり男前となった顔つき。
また、フェンダー・ドアパネル・リアクォーターパネルの変更を行い、全幅1735mmの3ナンバーボディとなり、外観もノーマルのスイフトに対して決定的な差別化が図られた。
そして内装。フロント席については、シンプルながら随所にスポーティさが散りばめられている。
視覚的には黒基調に、グラデーションレッドのアクセントが入っている。
注目したいのはマルチインフォメーションディスプレイ。ブーストメーター・油温計、パワー/トルク表示、Gセンサーなど。「ここまでいるかっ!?」という程、かなり走りを意識した充実装備となっている。
(画像引用:スズキ株式会社)
純正のセミバケットタイプのシートは、クッション性は低いものの、実用域でのホールド性は高いと感じた。
身長183cmの私がドライビングポジションを取った状態でのリアシート。
膝はフロントシートに当たってしまうが”座れない事は無い”といった感じ。しかし、頭はインナールーフに当たってしまっている(汗)。
ラゲッジは奥行きが無いものの、深さで容量を補っている模様。リアシートを倒せば奥行き方向も多少は確保出来る。
■入門者からベテランまで楽しめる懐の深さを持つ1台
先代の持つスパルタンなイメージ。マニュアルシフトでギアを変えながら、エンジンをレッドゾーンまで回してサーキットを果敢に攻め込む。
そのイメージを抽象しながら、実用域でも車の性能を十分に実感でき、且つ運転が楽しくなる車となっていた現行スイフトスポーツ。
そして、この性能が200万円台で買えるのがまた驚き。
内容が充実しているスズキ・セーフティサポートを入れても250万円台と、国産随一のコスパの良さを実現しているのも凄い。
これから車に乗る新社会人の方や、初めてスポーツカーに乗りたいと考えている方には、ぜひオススメしたい1台だ。
また、スイフトスポーツのもう一つの魅力は、チューニングパーツの豊富さだろう。
今や国産で唯一と言っていいホットハッチの1台。各種パーツメーカーからチューニングパーツ・ドレスアップパーツがラインナップされている為、組み合わせ次第では性能・外観含め“自分だけの”スイフトスポーツを作る事も可能だ。
(画像引用:株式会社トラスト)
メーカーが出した車に対して、チューニングメーカーがパーツを作り、ユーザーが実際に使用する。これが起きているという事は、それだけスイフトスポーツが業界で愛されている証拠だろう。
まだまだモデルライフは続くと思われるスイフトスポーツ。普段の日常にちょっとした刺激を求めている方は、是非この性能をご自身で試されてみてはいかがだろう?