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スバルは...大丈夫なのかっ!?〜現在、そして未来を考える〜
「譲れないスバルらしさとは?」
皆さんは自動車メーカー・スバルと聞いて、何を思い浮かべますか?
4WD、走り好きが乗ってそう、男らしい、アイサイト、安全性が高い、安心感がある、マフラーの音が独特、レヴォーグ、フォレスター...その他いろいろとイメージされるものがあります。
また世界的にも熱烈なファンが多く、「スバリスト」や「スビー」と呼ばれるスバル好きのカテゴリーが存在するのも特徴的。
これほどまでに、ユーザーがステークホルダーになるカーメーカーは、世界的にも稀な存在です。
かくいう筆者も、スバル車&スバル好きの一人です。現在は5代目レガシィツーリングワゴンに乗ってます。
私がスバル車を選択した理由は、家族を考慮した積載性の良さでありワゴンボディに加え、運転好きとして”走りごたえ”もある車を求めていたからです。
他にもスバル車のラインナップには、走行性能の高さ・利便性の良さを両立している車が多いのも、走り好きに刺さるスバルとしての大事な魅力だと考えています。
しかし魅力的なクルマが多い反面、昨今の自動車業界を取り巻く状況により。スバルの将来性を不安視する声も上がっています。
現在の自働車業界は、とても大きな変革期に突入しました。
その理由は世界的なカーボンニュートラル(脱炭素)の実現と、自動運転技術の普及(Maasの実現)です。
この2つの大きな課題に、もちろんスバルは取り組んでいるものの…表面的な現状だけを見てしまうと、やはり他メーカーより出遅れ感を覚えてしまう印象です。
「この先のスバルは、どの方向に進んでいくのか?これからも魅力あふれる”スバルらしさ”を感じられるクルマは発売されるのか?」
スバルを総力特集したMotor Fan vol.183号に掲載された、藤貫哲郎CTO(チーフ・テクニカル・オフィサー=技術部門の統括責任者)のインタビュー発言より「これからのスバル」を考察してみたいと思います。
画像・文章引用:株式会社三栄/Morter Fan
画像引用:株式会社SUBARU
インタビュー①:これからのスバル車の価値とは
藤貫CTO「自動運転車と違い、乗用車の本質はこの先も変わらないと思う。ヒトが自分で運転し、好きなときに好きなところへ行く。
"その過程=運転すること”が楽しい。
ここがスバルの生き残っていくところ。」
Maasによる自動運転車(バスなど)はあれど、乗用車領域での自動運転の実現はまだまだ困難なのを前提としますが。
スバルは企業目標として「2030年、交通死亡事故ゼロ」を掲げているのを、CMなどで見かけた方いることでしょう。
これは、スバルが「人が運転する乗用車」メーカーである事・あり続ける事を示しています。
その目標を達成するために、早い段階から安全性能を追求し、ADAS(先進運転支援システム)を研究してきました。その賜物が「ぶつからないクルマ」の触れ込みで登場し、今でも進化を続ける独自技術「アイサイト」です。
内部構造まで理解しなくとも「アイサイト搭載」と聞くだけで、安全性と安心感をイメージする人も多いのではないでしょうか?
そして、スバルが多くのファンに支持されている源ともいえる力強い乗り味から生まれる、運転の愉しさも必要不可欠な重要なファクターです。
「すべての人に、安心と走りの愉しさを。」
現在まで続いているこのアイデンティティが、この先のスバル車にも強く根付いていき、且つこれからのスバル車に対する価値にもなっていくのでしょう。
インタビュー②:BEV(電気自動車)における「AWD」の再現
藤貫CTO「いまのスバルの価値は、AWDの走破性やAWDがもたらす高速スタビリティ、またはアメリカで重要視されている牽引性能など。動的な部分にあります。
基本的にはこれらをBEVでも再現出来ればと思っています。」
スバルは4WDの事を「AWD(All Wheel Drive)」と呼びます。
そしてスバルのAWDは悪路走破性のみならず。WRCなどのラリーシーンでの実績が物語っているように「走りのための4輪駆動」であるのがモットーともいえます。
しかしこの性能は、何もスポーツ走行のみに特化しているわけではありませんでした。
水平対向エンジンを搭載したスバル車だからこそ実現できる独自技術「シンメトリカルAWDレイアウト」は、重量配分に優れているので四輪にバランスよく荷重がかかる仕組みとなっています。
上下ではなく左右にピストンする水平対向エンジンを備え、センターを通るプロペラシャフトから左右対称に足回りが配置される事から命名された「シンメトリカルAWDレイアウト」
その結果、タイヤの接地性が上がる事による安定感の確保&四輪にかかるトルク(タイヤを回転させる力)を無駄なく発揮できる様になります。
これがスバルの真骨頂であり、多くのファンを魅了する乗り味の正体でもあります。
日常使いから、アウトドアなどでの悪路走行、そして前述したスポーツシーンまで。
様々なシチュエーションにて、力強さと安定感ある走りごたえを味わえます。しかし、それを知っているからこそ浮かぶ疑問がありました。
「EVでこの走りは、再現できるのか?」
水平対向エンジンありきだからこそ、実現できていたシンメトリカルAWDの乗り味。
しかしエンジン車は消えないにしろ、今後スバルもBEVや電動化を取り入れたモデル(HEVやPHEV)も積極的に販売していかなければいけない潮流ではあります。
そうなった際、エンジンを持たずモーター駆動となるEVでは、スバルの乗り味はどうなってしまうのか? ファンとしては気になっていたところ。
これに対して「AWDの乗り味をBEVでも再現したい」と話してくれた藤貫CTOの言葉は、この先のをスバル車への高い期待とも筆者は受け取りました。
トヨタと共同開発されたBEV・SUV(スバル・ソルテラ)では、スバルの培ってきたAWD制御システムのノウハウが盛り込まれていると言われている。
インタビュー③:メーカーとしての形
藤貫CTO「スバルはマスを求めるメーカーではありません。ほかとはちょっと違うディファレントな存在でなくてはなりません。そこがスバルだと。だからこそ、そこをおろそかにできません。」
「スバルの価値を認めてくれているお客様に刺さっていく点がポイントだ。お客様が求めている商品、「そう、これだよ」という商品を出していくことができるメーカーだと、私自身も思っています。」
ユーザー側が認識しているであろうメーカーの立ち位置を、うまく表現してくれている発言です。
私も同意見なのですが、やはりファンが求めるのは「スバルだからこそ」なのだと思います。
国内で例えるとトヨタ・日産・ホンダのようなフルラインナップメーカー(軽自動車からミニバンまで、多種多様な車種を備えるカーメーカー)であっても開発出来ないクルマ。
「This is SUBARU」を感じられる、独創性・独自技術を活かしたクルマを今後も販売していってほしいと願います。
余談ですが。本記事冒頭で述べた通り、私が感じるスバルの魅力は走行性能の高さ・利便性の良さを両立しているラインナップが多い事だと思います。
動力源が変わろうと、さらに進化した先進技術が搭載されようと。
この魅力が残る限り、スバル車に対する私の情熱は、消える事はないでしょう。
人気車種「レヴォーグ」は、キレのある走りごたえに、国内でも扱いやすいサイズのワゴンボディを持つGTツアラー。さらに最新の安全技術「アイサイトX」も搭載され、スバルの理想を具現化したクルマとも言える。