天色ストーリー③❨トビラの向こう❩【連載小説】
この頃はすっかり日が短くなって、美彌子が夕刊配達から帰る頃は、もうほとんど真っ暗だ。ひたすら寒くて雪に覆われる冬へまっしぐらのこの季節。いつもなら気分も沈みがちな時期だけど、無事に普通の高校受験が叶うことが決まって、美彌子の心は晴れやかだった。
「それで、一樹さんとは、その後どんな感じ?」
「うーん…何ていうか」
「あれ?目がハート形になっちゃう〜って言ってたじゃん、先週」
「そうだったんだけどね。実は、もう会うのやめたの」
「えー!なんで?」
「カノジョさん、いたんだよ」