6.がん治療でお悩みの方へ綴る《胸水・腹水》
これは単なるステージ4ではなく、もっと高いステージの状態であると捕らえる状態だと思います。実に人を苦しめる辛い状態です。
肺癌が肺を覆う胸膜を突き破り、外に顔を出すと水漏れを起こして胸水が溜まってしまいます。同様に、胃癌や大腸癌、卵巣癌など腹腔内にある臓器の癌が腹腔に顔を出し癌をちりばめる播種(はしゅ:種まき)の状態になると水漏れを起こして腹水が溜まってしまいます。
船体の底に小さな穴がたくさん空いてジワジワと水が溜まっていきながら何とか航行している船のような状態と言えるでしょうか。そのままではやがて沈みます。
胸水が溜まれば呼吸をする場所が減るので呼吸苦が起こるのは容易に想像できます。腹水の場合はお腹を膨らますことができるので許容範囲は広く、たくさんの腹水をため込む事はできます。しかし、限度が来れば横隔膜を下から押し上げしまい、呼吸に必要な横隔膜を下げる事ができず、結果的に呼吸苦を引き起こします。
では、溜まった液体を抜けばいい。
もちろん、抜けば楽になります。しかし、その液体は成分的には血液であり、栄養分がたくさん入っているのです。だいたいは赤くはなくて、赤い成分のない血液だと思いましょう。ですから、抜き続けるということは、血を抜き続けることに等しいのです。
抜かないと苦しい。抜くと楽になる。楽にはなるけれど栄養が抜けていく。結果的に栄養失調となる。「るいそう」と言う状態です。栄養の点滴を増やすと胸水や腹水も増える。液体を抜かずに息苦しさに対して酸素投与を行う。でも吸うこと自体が困難なので、酸素は血液に充分行き渡らない。
八方塞がりなのです。
ただ、対症療法にはなりますが、抜いた胸水や腹水を濾過して、濃縮して、血液に戻す方法が存在します。CARTカートと呼ばれる方法です。どこでもできる訳ではないので調べて、連絡を取り、相談しましょう。全ての方にできるかどうかはわかりませんが、、、
*国立病院機構 大阪医療センター(腹水について説明)https://aih-net.com/me/medical/pdf/5-7-1crat.pdf
この方法を主治医から提示されない場合が少なくありません。理由は分かりませんけれど、自分の病院にないからなのか、知識として持っていないのか、別の何かの理由があるのか、できない状態なのか、少なくとも確認することは大切だと思います。
主治医に提案して却下された方、他院に紹介された方、自ら調べて受診にこぎ着けた方、いろいろです。ともかく、元気なうちにできる施設と繋がりを持っておくことが必要だと思います。
文章による表現はどうしても限界がありますし、人により状況は千差万別にて詳細の相談は個別にご依頼下さいね。保険は適応されませんのでご留意を。
*個人のホームページ:https://capybara-tanaka.com
*クリニックのホームページ:https://tokiwadai-tc.com
…つづく
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