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文法以前(6)_良くない意味で_気になる言葉
生理的に受け付けない言葉については、少し前にいくつかの例を挙げてみた。なぜそうなのか、という分析はしなかった。
今回は、それと比べるとやや理屈っぽいというか、やや似非分析的な態度で、昨今頻繁に目にし、耳にしている表現、言い回しの類を思いつくままに。
【(言葉などが)刺さる】 例)「あのフレーズは刺さった」「刺さるやつ書いてよ」
よく聞く言い回しですが、何か痛そうなので好きではない。
……て、生理的反応に過ぎない。「やや似非分析的な態度で」とか言ったハナからこれ。
【~しかない】 例)「感謝しかない」「後悔しかない」
「感謝」や「後悔」の程度が大きいことを強調する際、しばしば用いられる表現。その場合の「程度の大きさ」は客観的なものじゃなくても「私比」が許容される表現なので、日本語として何ら問題ないんだろうけど。私としては、大変気になる表現。サピア・ウォーフの当たり前すぎる仮説など引き合いに出すまでもなく、人間の思考や認識は使う言葉の影響を受ける。【~しかない】の場合、《それ以外》を無意識のうちに不可視化する。
この言い回しを含むフレーズを、発話または文字化することによって《なかったことに》されてしまう《それ》を再可視化していきたい。
【腐っても~】例)「腐ってもNHK」「腐っても朝日新聞」
「腐っても鯛」のもじりで、実際には腐ってないものを指して用いられる。
【~しかない】が自己催眠的に効くのに対し、この表現は他者に直接働きかけ、認知を歪めるバイアスとなるので、インプット時/アウトプット時に関わらず、私は常日頃から気をつけている。