【古道を歩く】伊南房州通往還 市ヶ坂峠 Part1
かつて存在した国境越えの山道を歩いた記録。長いので三分割しました。
参考にした動画
この記事の95%はこの動画の追体験になっています。
大体の地図
行川アイランド駅から大沢集落の階段を通って古道入口に至るルート。9〜12を含む地理院地図に記載がない道は「うまみち」と呼ばれているらしく、こちらも探索した。
大沢集落および階段はこの記事を参照。
1. 入口
細い谷津田の入口に古道への進入ルートがある。生えている雑草は種が張り付くタイプばかりだった。
入ってすぐのところにある倉庫。画面中央に立つ「路肩注意」のポールは自治体のものだろうか。日当たりの良い場所は藪になりやすいため歩きづらい。
野生猿・鹿被害防止対策事業。2025年現在、周辺の田畑はすべて耕作放棄されているが、1997(平成9)年当時は谷に田園が広がっていたことがうかがえる。
2. 炭窯跡
房州各地の山林で見かける馬蹄形の石垣。内側に木を積み上げて、その上に泥を被せて火をつけたのだろうか。
参考
谷から分岐する小さな谷。人為的に均されて段のある地形になっており、ここでも作物を育てていたことが推測できる。
足元は1mほどの擁壁によって足場を造成している。
古道の入口付近は雑木林だが、ある地点を境に植林された杉がメインになる。現在雑木林になっているエリアも杉を植える計画があったのかも。
3. 横穴と古墓
最初の分岐があるあたりにぽっかり空いた穴。
平面形はハエ叩きの叩く部分を上から見たような形状。飛鳥時代とかに作られた横穴墓によく似ているが、立地がそれっぽくないので炭焼窯だと思う。
横穴の入口に置いてあった江戸時代の墓石。鴨川市で産出する嶺岡蛇紋岩を用いている。「行道信士位」。
分岐を西へ進む。
看板跡と思われる支柱。周囲に砕けた看板の痕跡などがないか探したが、見つからなかった。
代わりに見つけたのが真っ黒な木材。炭焼きによるものだろうか。
4. 市ヶ坂峠
ここから本格的に始まる古道区間の入口であり、古道の最高標高でもある。地形図を見ると人為的に切り開かれたことは明らかだ。
柵はさっき通った田畑に害獣が進入しないように設けられたと思われる。道中で見た金網や看板跡と部材がそっくりなので、平成9年に設置されたのかもしれない。
有志が作成した「市ヶ坂峠」と書かれたプレートとリボンが付けてある。
つづく