司法修習が終わった後はどのような事務所に入れば良いのか

いわゆる弁護士の就職活動のお話です。 私自身はまず弁護士が 5~6人と、会計事務所、司法書士事務所が同じビルに集まっている事務所に就職しました(後述のように積極的にこちらの事務所を選んだ訳ではなく、他に行くところがなかったのです)。

私の出身ローは、いわゆる 4大志望者が大半で(とは言ってもそのうちの何分の1 ぐらいしか実際には就職していないのですが)、彼らがメインストリームのように見えました。
大手の事務所に行くのがすごいと思われるようなロースクールでしたし、実務家教員も大手事務所の弁護士がほとんどでしたので、私も最初のうちは 四大の説明会に応募したり、その次に来るような中堅どころの老舗事務所に履歴書を送ったりしていました。

しかし、旧試験6連敗で、すでに30歳になっていた私に声がかかることはありませんでした。
当時は新人弁護士の就職難であり、月額の報酬が30万円ぐらいでも応募が殺到したと聞いており、私が就職できないのも今では理解できるのですが、当時は非常に ナーバスになっていた記憶があります。
1年目の弁護士の行き先がないとなるとその後のキャリアをどういう風に形成していくのかということも全く分かっていませんでしたので、非常に不安に思っていたし、行き先がない=誰からも評価されない、必要ない人材という思いががあったわけです。

前回のノートにも書きましたが 結局私は前の事務所に拾ってもらい、そこで5年間勤めることになるのです。

その後独立してしまい、別の事務所の弁護士と一緒に働いたことがあったり、相手方代理人の弁護士と会ったりはありますが、他の事務所のことはよくわかりません。

とはいえ、東京と地方に事務所を置いていますので、その違いは若干分かっているつもりです。
そのため、東京と地方の弁護士業界を比較しつつ、どういった事務所に入るべきか、なんとなくのイメージを伝えたいと思います。

結論から言えば、結局のところは事務所のカラーに合うかどうかが重要なのではないかと思います。
また 取り扱いしている事件も参考になると思います。

例えば 企業に関する案件を担当したいのに、労働者側の労働事件を専門にしている事務所に行くと全く期待はずれに終わってしまうというのは明らかだと思います。
ただし、実際には法律事務所はその所属する弁護士によって、それぞれ かなり細かく専門 分化が進んでいるように思われます。東京等の大都市圏では顕著でしょう。
したがって、事務所訪問で、どのような事件を扱っているか、自分が興味のある案件があるか?については、細かく聞いてみる良いと思います。一般的には大きくない事務所については、細かく聞いても嫌な顔はしないと思います(大きい事務所の知識がないので、このようにいってます)。

ちなみに、弊所(私のチーム)は、企業側の労働事件から、取引関連のトラブル、建築、学校関連から始まり、離婚、相続も相当数扱っています。

大きく東京=企業案件、地方=個人案件び分けられるのですが、地方でもコネと縁(これを前提とする適切な営業)があれば、企業の法務を担当することはできますし、分野によっては先端的な問題を扱うことはできるのではないでしょうか?

ちなみに東京と地方の大きな違いは、東京では特定分野を除いて相手方代理人と二度と会わない場合も多いですが、地方では同じ代理人によく当たる点でしょうか。
そのためなのか、個人的には準備書面の記載が若干ゆるい(曖昧でも分かってくれるとでも思っているのでしょうか?)感じがします。

相対的に地方の方が弁護士の地位はまだまだ高いです。 そのため和解についても地方の方が 体感で 2ー3倍 やりやすいと思います。

また、地方の方が裁判所が丁寧に指導してくれるイメージもあります。管財事件などは、担当者がいないと止まってしまうのもあると思いますが、難しい問題は書記官や裁判官が一緒に悩んでくれているように思います。

Twitterやネット上の記事なんかを見ると、四大等の大手の法律事務所の情報はかなり多く発信されているのですがいわゆる地方の街弁となると 全く情報がないように思います。

上記の情報も一部の聞きかじった内容でしかないので、そのようなものだと思って参考程度にして欲しいのですが、地方の弁護士だからといって、会社関連の法務(これが修習生の想像する企業法務かはさておき)を担当できないというわけではありませんし、それなりにスキルを磨いて行くことができるように思います。

私は現在のところ上記のように比較的広範囲に事件を担当しているように思いますが、結果として見れば、自分の選択が理由として大きかったように思います。

前の事務所では、売上数百億円から数億円台の会社まで、顧問先がかなり多くあったのですが、その中でも労働事件となると「自分がやりたいです」、と手を挙げたりしていました。
また、2年目頃から積極的に個人事件を取ろうと思い、異業種交流会に行ったり、BNIのような 活動にも参加し、人づてに企業の案件を頂いたりしていました。
最初の数年は、紹介者の顔を潰さないように、ハラハラしながら、かなり丁寧に。対応していたように思っています。
現在は、ある程度依頼者に価値を提供できている自負もありますので、依頼者にも自信を持って提案しています。

いずれにせよ、私からのアドバイスとしては、①事務所のカラー(人間関係)が自分に合っていて、②興味のある分野を取り扱っていれば、その事務所で自分の興味のある分野の案件に積極的に関与していく(打ち合わせに同席させて貰ったり、議事録を担当したり)のが良いのではないかと思います。

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