真剣に考え始めたきっかけ


青い彗星案件以外にもこういうことが沢山あったが
曲がりなりにも月日は流れていく。

なんとか、5年くらいの経った。

Pの仕事ぶり、技術の向上はあまり見られないけど
できることは増えていった。


画像の車は「高所作業車」
この板金が入ってきた。

フロント左側の修理

Pと職人「ノリ」

Pには難易度が高すぎる作業なので、できそうなことをやらせることに。

ノリが作業の流れと、Pのやることを説明する。
相変わらず必死にメモを取る。

俺も職人たちも、メモを取らないからって怒ることはない。


ノリ主導で作業は淡々と進む。

Pは言われるがまま、外した部品を並べたり
ノリの手伝いで、抑えたり工具を取ったりしていた。

外した部品の一部が曲がっていたので
Pに直させる。

俺とか、他の職人なら
当金とハンマー数本あれば1分くらいで終わる作業だったが

Pはあれもこれもと沢山の工具を出してきて並べ始めた。

俺はイジり半分
好奇心半分で
「これ全部使うの?」と聞いてみた。

P「いや、使うかどうか分からないですけど、とりあえず出しておけばすぐ使えるかな~と思いました。」

ある意味、合理的である。

でも、その出てきた工具の99%はこの作業で必要のないものだった。

以前にも似たようなことが何度もあったので、その都度、注意していたが
ダメだった。

この時もまた注意した。
出してくる時間と、片付ける時間が無駄
作業台も狭くなる。

いるものだけ残して全部しまうように言った。

「いつも言うけど、分からなかったら質問しろよ。」

こう言い残して事務所に戻った。


20分後、ノリが慌てた様子で
「ちょっと来てくださいよ。」
と言うので、作業場に行ってみると

そこには事故当時よりも無惨な姿になった部品があった。

「えぇ〜〜!?どういうこと?」

当然Pは直そうとしていたのだけど…
あまりにも酷い…

おそらく、板金の経験がない人でもここまで酷いことになることはないと思うレベルだ。

Pはおおいに凹んだ

なので、違うことをさせようと思い
当該車両の清掃をさせることにした。

「運転席の足元の泥とか土とか綺麗にしておいて。」
多分、ドロドロのところで作業したんだろう。
カピカピになった土が着いていたので、Pに掃除させようと思った

分かりましたと言い残し清掃用具を取りに行ったのを見届けてまた事務所へと戻った。


数分後、ノリが疲れきった表情で俺を呼びに来た
「また来てください…」

作業場に行くと、アウトリガーと言う、作業車が倒れないようにする4本の足を掃除しているPの姿があった。

あれ?言い間違えたかな?
運転席って言わなかったっけ?

自分でも自信が無くなった。

ノリに確認した
「俺、運転席って言わなかったっけ?」
「Pに掃除するところ見せなかったっけ」

ノリ「いや…ちゃんと言ってましたよ」

だよね~。
じゃあ、なんでPはアウトリガーの掃除してんの?

Pに確認する。

「Pよ。そこ掃除しろって言ったっけ?」
P「ええ。足元掃除しろって言われました。」

「お、おう。そうだったな…」

ものは壊す
言ったことは伝わらない
空気が読めない


ぶっちゃけ、使えね~と思ったけど
なんか違和感を感じた。

仕事が終わったあと、ノリとわたると自分で話し合うために

いつもの居酒屋へと向かった

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