サービス精神が顧客を遠ざける。
ビジネスというのは本当に奥が深い。
良かれと思ってした事が裏目に出るということが良くあるのだ。
お客さんにとってメリットしかない事をしているはずなのに、なかなか結果に結びつかない。
改善すればするほどリアクションが悪くなる。
そんなビジネスの迷宮に迷いこんだ時に、今日の話を思い出して欲しい。
先日、
若き女性起業家が遊びに来てくれた。
彼女はとある芸能人のオンラインサロンを運営をしているので、私は早速、
「今、10個以上オンラインサロンに入ってるんだけど、最近はどこもコンテンツが充実していてすごいよね〜」
と、話を振ってみた。
すると、
「うーん。。確かにそうですね〜。
でも、実はオンラインサロンの運営でやりがちなミスとして、コンテンツを充実させ過ぎてしまうっていうのがあるんですよね。」
と、実に意外なことを言い出したのだ。
それの何が悪いのか?
私はグイッと身を乗り出した。
彼女はグイッと身を引いた。
そのまま身体をよじり、真横を向きながら
「コンテンツを充実させると逆に顧客満足度が下がる事があるんですよ」
と。
私は再び彼女の正面に回り込み
「え!?それはなぜ!?」
と、聞くと、彼女は身体ごと後ろを向き
「供給過多な状態になると消化し切れなくなって、損している気がしてしまうんですよ。」と。
その時、私は雷に打たれた気がした。
「た、確かに!最近、退会したオンラインサロンは全て消化しきれなかったものだ!」と。
あなたも思い当たる事がないだろうか?
例えば、お気に入りの定食屋さんが「はいオマケね!」と、チキンカツをサービスしてくれ、一気に胃袋がキャパオーバーになり、無理して食べるストレスに耐えきれず足が遠のいてしまった経験が。
私はある!
それも12回はある!
私は沢山食べたいのではなく、美味しく食べたいのに…!と。
つまり、顧客の為を思ってのサービス精神が、実は、ユーザーに負荷を与えている事が良くあるのだ。
なぜ、こんなミスマッチが起きてしまうのか?
それはサービス提供者は論理的にメリットを考えるのに対して、ユーザーの意思決定の多くは感情で行われているからだ。
もう少し噛み砕いていうと、
女性に告白する時に、自分と付き合うメリットを並べたて説得しようとしているモテない男状態に陥っているのだ。
いくら説得されても女性の感情は1ミリも動かないだろう。
むしろ遠ざかってしまう可能性が高い。
これがビジネスの世界でも良く起きるミスマッチの正体だ。
一方、モテる男は、相手の女性が求めている事を読み取り、それを然るべきタイミングでさり気なく提供していく。
つまり、そのサービスは自分軸なのか?相手軸なのか?
この軸足がどちらにあるのかによってサービス精神は毒にも薬にもなるのだ。
くれぐれもサービス精神のトラップにハマらないよう気をつけたい。
と、こんな長文ブログを書いている自分自身が、供給過多の権化と化しているという事に気づき、つくづくこのトラップは巧妙に忍び寄るな〜、と反省し、これを追記しておく。