自分史をどう書くか

 どもども、侑です。最近音楽制作のモチベが上がらずにしんどいです(そんなことはどうでもいいかw)。今回は私の実例も交えながら自分史(の書き方)に関する話をしていきたいと思います。
 自分史と言えば、ジェンダークリニックを受診すると初回の日に「次回から自分史の読み合わせをしていくから書いてきてね~~」って言われるあれです。日本精神神経学会が定める「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」の中に「詳細な養育歴・生活史・性行動歴について聴取する。」という項目がありまして、性同一性障害の診断および治療を受けるには必須になります(むしろここを聞かれないで診断書出るようなところは自販k…)。とはいっても、右も左も(そして精神科医がどんな人かも)わからないジェンクリデビューの日に「書いてきてね~」と言われたところでどう書けばいいかさっぱりだと思います、私の場合A4で数枚を目安としか言われなかったので、どの方向性の情報をどれだけ書けばいいのかひたすら困り果てた記憶があります。ネットの情報では細かく書けば書くほどいいとあったのでその通りにA4で5枚分書きましたが、結論から言うとこれは書きすぎでした。自分史の読み合わせでは書いたことの6-7割くらいしか取り上げられなかった気がします。
 では、何が必要な情報で何がそこまでいらない情報なのかという話ですが、これは「読み合わせの際に取り上げられたあるいは詳しく確認をされた部分」≒「診断にあたって必要な情報」と考えればいいことが私の経験からわかりました。自分史の読み合わせはカウンセラーと精神科医それぞれと1対1で行いますが、どちらでもだいたい取り上げられることはだいたい同じでした。特に私の通っていたジェンクリでは医者の方が割と適当で、サーっと目を通して書いてあることを何点か聞き返して終わりという感じでした…

 まず必要になる情報として、家族構成があります。私の場合は片親なので「母親(同居) 祖父母(別居) ※父親は〇歳ごろに離婚、面会等はなし」といった感じで記載しました。次に本文になりますが、年齢が大きいほど情報量が膨大になるのでセクションごとに区切って書きましょう、だいたい読み合わせもキリのいい年齢で区切りながら複数回に分かれます。私は「出生~幼稚園」「小学校」「中学校」「高校」「中退後のニート生活」「社会人」といった感じで分けました。

 出生から幼稚園のセクションですが、このあたりを詳しく思い出せる人は少ないと思います。いつ生まれたかと幼稚園に通ってた時の話でも1文2文で軽く書いておきましょう。もちろん性別違和エピソードがある場合は書いてもいいかと思います。

 続いて小学校ですが、多くの方はこの辺りで最初の性別違和が出てくるのではないでしょうか、読み合わせでも特に時間がかかると思われるあたりです。私は入学時のランドセル選びで黒いランドセルを嫌がった話を書きました。後は低中高学年でそれぞれどういう交友関係を築いていたかなどが参考なるかと思います(ex.男子より女子と遊ぶ方が多かったとか)。ほかにも性別に関して嫌悪感を感じたイベントや女の子らしい容姿や言動を好んだことがあれば書いてもいいかもしれません(私はこのあたりがまだ顕著に表れた時期ではありませんでした)。

 中学校は年数の割に非常に内容が濃くなるかと思います。公立中学校の場合制服着用になりますし変声期もこのあたりです。自分の場合部活動でも性差を感じていたため(弓道部だったので着替えがあった)この辺りの話も書きました。とにかく重要なのは、どういうイベントで自分の性別がどういう点で苦痛を感じたのかを明確にすることです。あまり長くならないようにしつつもできるだけたくさん嫌だったことを書いていきましょう。参考までに私がこのセクションで記載した内容をリストアップしてみます。
①制服の購入でネクタイのついた男子生徒用のものを着用するのが嫌だった
②変声期で合唱の授業で男声パートに属さなければならず苦痛だった
③部活動の着替えや体育(特にプール)の授業で性別による区分が苦痛だった
④男子各位に上手く馴染めず友達がいなかったので昼休みも勉強していた
ざっくりこの辺りになります。ありきたりな内容ですが、それだけ自分の中でも印象が強烈だったものを中心にまとめました。読み合わせでも中学校で一区切りになるかと思うので多めに書いても読んではもらえると思います()

 そして高校生です、多くの人は3年間になるかと思いますが私の場合中退しているので若干書き方が異なってるかもしれません(そのあたりは上手く調整して書いていただければと思います)。まず通っていた高校が共学か別学かという話になりますが、私の場合男子校だったので制服と男子しかいない環境が苦痛だったと記載しました。苦痛が想定されるのにどうして男子校を選択したのかという理由については、中学のセクションで最後に挙げた勉強ばかりしていたという情報を基に、成績がよく親などの期待もあって進学校を受験することになったからという感じで持っていきました(私の地元の都道府県では公立上位2校がそれぞれ男女別学でした)。事実を歪曲した記載はおすすめしませんが、論理的に整合が取れないと想定される(読み合わせでつつかれると思われる)箇所についてはその少し前で伏線を張っておくと説明もスムーズになるかと思います。
 高校における性別面の苦痛がほぼ「男子校である」ことに起因していた私は、そのことを中心に、
①詰襟の制服で長距離電車通学をしなければいけないことが嫌だった
②着替えを見られるのが嫌でお手洗いでしていたら体育の授業に遅れた
③風邪でたまたま学校を休んだら性別の苦痛から解放されて不登校になった
といった具合でまとめました。性別違和に関して、「なんとなく」が「確信」に変わったのがこの時期だったのでそれに関してははっきりと記載しました。あ、あと忘れてはいけないのは男性化していく自分の身体の話で、私はちょうどこの時期にホルモン剤の個人輸入に手を出していたのでそのあたりの話と絡めて4-5文書きました(この時は親にまだカムアウトしていなかったのでどうやって隠したかなどそういう話も含め)。
 そのほかとしては、高校生の時に参加していた大学と連携した研究者育成プログラムの話(学外の活動は性差を感じる機会が少なくいろんな知り合いができて楽しかった)とか2回2年生をやって最終的に出席日数が足らなくて退学した話とかすでに髪をレディースカットにしてた話とかを書きました。この辺りは個人差があるかと思いますが、性別に関しての話題であれば必ずしも嫌悪感や苦痛と言ったネガティブな内容だけでなくても記載できるかと思います。

 そして高校卒業から現在となりますが、この辺りからは大学に進学する人もいれば私のように無職だった人、そして社会人として生活し始めた人と無限にパターンが発生すると思うので具体的にどう書くかといった話は避けますが、どういった環境でどういう生活をしたか、あるいは学校や仕事のどのような部分で苦痛を感じたか、私生活においてどれだけ女性として生きていたかなどを簡潔にまとめていきましょう。参考までに私の場合は、
①高認資格を取得した、間もなくして家庭の事情で大学をあきらめた(17歳)
②18歳になってすぐに性別面であまり苦痛の無い私服勤務の事務員になった
③通称名で郵便が届くようにして使い始めた
④女性として男性の交際相手ができた
⑤恋人のつてで正社員の仕事を探したがMtFであることを話したら断られた
⑥親を説得して自動車免許を取った(性別欄がない身分証だったから)
⑦仕事を辞め恋人とも別れニートになった、引きこもっていた(19歳)
⑧正社員の仕事を見つけたがメーカー勤務だったので作業着がしんどかった
⑨職場内での男性扱いが苦痛だった
⑩上司にカムアしたら職場内で広まってた。体調を崩し退職した
といった具合で時系列でまとめました。自分の容姿の変化や周囲(友人知人職場等)の扱い、通称名の使用などもこの辺りで書くといいでしょう。私は性別適合手術をこのころから見据えていたため貯金をしていた話も書きました。

 私は幸い20年分で済みましたが、年齢が大きければ大きいほど書くことは膨大になるかと思います。全体を通してどの段階でどういうイベントがあって、それに起因してどのような苦痛嫌悪あるいは進展があったのかを明確にしてなんとかA4で2-3枚にまとめましょう。とりあえず書いてみて多すぎるようなら優先順位の低いところから削る、補足説明は読み合わせで口頭でとしてもいいかもしれません。正直不足していれば聞き返されるので、論理的に破たんしてないか、盛った情報があるなら嘘とバレないようにストーリーが構成されているかをきちんと検証して持っていきましょうw

 書くだけで精神がどんどん削れる自分史ですが、ここがスムーズにいくと診断までの時間短縮にもなりますのでなんとか頑張って書いてください…1日1セクションで区切って書くと精神の摩耗を減らせるのでおすすめですよ。

 自分語り多めの駄文でしたがここまでお付き合いいただきありがとうございました。ばいにょろ~





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