『MoonStar Halloween』のコード進行が痺れるはなし
ハロウィンテイストの曲好き。
今日紹介するのは、ふぃぎゅ@メイトで有名な Mosaic.Wav のハロウィン曲です。
Aメロ(前半8小節)
歌が始まっていきなり攻めてくる裏コード Bb7(ドミナント:E7の代理)。
裏コードってIIm7→SubV7→I で挟むのが定石だと思うのですが、IからいきなりSubV7を使う例はあまりみないような気がします。マイナー調なのでなおさら。
4小節目の B7→E はSecondary Dominant(V調のV7) ですね。
Bメロ(後半12小節)
Aメロから、その同主調の平行調に転調。
Bメロの肝は mM7 というこれまためったにお目にかからないコード。筆者の耳コピ経験ではここで出てくるのが初めてかもしれない。
不気味さ・不安定さが演出されています。
メロディは同じ音を8分音符で刻んでいくので、疾走感が出て薄暗い物騒な道を逃げ惑っている情景が浮かびますね。
代わりにバックに聞こえるのが、コードの構成音から外れたピアノ(?)的アタックの強い音(楽譜の2段目)。これは編曲者が編み出したフレーズなのだろうか、それともDAWのプラグインに存在するシーケンスなのかは気になるところ。
9~12小節目、再び裏コードが出てきますが、D7 は本来の調 (F#マイナー) におけるV (C#) を基準(I)としたときのSubV7になります。こういう半音進行を含むクラシック曲がありそうなのだが適切な例が思いつかない。(ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」第4楽章の出だしが近いか?)
サビ(後半8+9小節)
Bメロから、その同主調に転調。F#メジャーは記譜も採譜も地獄だね!
(弱起部除く)2小節目頭は、ベースのF#を除いて考えればV♭9の根音省略形となるので、機能的にはドミナントと解釈できます。はじめ2小節は機能的にいえば、
D(ドミナント)→T(トニック)→D→T
といういたって単純なもの。和音記号で表せば、
V/I → I → V♭9(根音省略)/I → I
となります。
ペダルポイントとの合わせ技で実にエモい響きになっています。
9小節目からはまた同主調のF#マイナーに転調、10~12小節目の副旋律的なアコーディオンも良い味出しています。11・12小節目のコード特定にアコーディオンの音を加味するのを忘れていました。これを考慮すると、
DM7 → C# → F#mM7 → F#7
となります。
ラスト17小節目だけはメジャーコードで華やかに終わります(ピカルディのIII度)。
エンディング
歌が終わってからも気を抜けません。
前半8小節、上の和音だけ抜き出せば、
I → ... → VII♭ → II♭ → I → II → III♭ → IV (I dimという表記が適切か怪しいので省いた)というこれまでの調性を抜け出す動きがみられます。太字のIIb→I はまたもや裏コードのような動き。
(ただしベースの音込みでいえばIIbM7→Iなので厳密には違う。)
そして9小節目、ホールトーンで魔法にかけられたような気分にされてからの〆。
まとめ
とにかく最高だからみんな聴いて。