キャップ投げにおける2022年問題

キャップ投げというスポーツが普及しだしてはや3年がたつ。
ブームのきっかけはわっきゃい氏の動画であろう。

筆者は2018年秋から始めたが、競技人口は見てきた2年でかなり増えてきているように見える。
大会に参加するチームも少しづつ増えてきて、盛り上がりを見せ始めている。
が、一方のところ、新規にできるチームは伸び悩んでいるのではとも思う。

2020年現在の競技人口の9割は高校生、もしくは大学生だ。
が、一方で、学生というのはいずれ卒業していくものなので、
高校や大学を卒業し社会人になってキャップ投げも卒業してしまう人も出てくるかもしれない。

過去にそういう危惧をして「社会人向け」の記事を書いたが、
今回は競技人口の多数派を占める「現役学生向け」の記事を書く。

ブームのきっかけを作り、一躍時の人となったわっきゃい氏も京都大学を来年春に卒業する見込みである。
4年も経てば、学校にいる人の多くは入れ替わってしまう。
そして、彼だって、これからの将来があると思われる。
すなわち、これからは我々がキャップ投げ界を作っていかなくてはいけないことを意味する。

キャップ投げ界は今、発足して初めてのターニングポイントに差し掛かっているのだ。

さて、タイトルにある通り、2022年頃に一体何が起こるんだというと、
2021年春~2022年春でわっきゃい氏の動画を見てキャップ投げを始めた層が学校を次々と卒業するとみられるからだ。

高校から大学、大学から大学院、そして学生から社会人になってキャップ投げを続ける人も当然いるが、
一般的に社会人になると趣味を断念せざるを得なくなることも増えてくる。
キャップ投げも例外ではなく、地方のキャッパーは都市部へ流れる分地域からキャッパーが消える。
大都市圏のキャッパーも仕事の多忙、友人関係の変化、趣味の変化などでキャッパーが消えるかもしれない。

そうなると、キャップ投げという競技が将来消える可能性も出てくるのだ。

この記事を見てほしい。

九州キャップ投げ団体の現状と切実なこれから

この記事では九州地方のキャップ投げ事情を福岡のキャッパーが解説しているが、
やはり2021年に九州からチームが消えるのではと危惧されているのだ。
大都会・福岡を抱える九州でこれなので、地域によってはさらに深刻だと思われる。
事実、秋田県はチームのほとんどを占める高校三年生の受験による活動休止によりチームが消えてしまった。

最初に言った通り、ブーム絶頂期からすでに2~3年経っている。
筆者はキャップ投げ始めた時点で社会人だったので影響をあまり感じないが、
学生の3年は社会人の3年よりもはるかに短い。
10年あれば、中学に入学して、高校・大学の卒業まで経ってしまうのだ。

と、いうことは、かなり早く対策を取らないと、
「せっかくチームがあると聞いて高校・大学を受けたのにチームないじゃん」となってしまう。
新規にチームを作る覚悟があるキャッパーばかりではない。
せっかく競技人口は増えている。でもチームがないとキャップを一人で投げる以外の行為が出来なくなってしまう。
そうなると、キャップを諦めてしまう人も出てくるだろう。

キャップ投げは今だマイナースポーツ。一寸先は限界集落なのだ。

キャップ投げを盛り上げるのに今まで取られた手法は、主に「リーグ」「大会」とすること。

しかし、関東キャップリーグのように地域を統括したリーグにするのは
チームが多い関東だからできたことでもある。
現状だと地方であれを真似するのは厳しい。

集団で集まるとなると、それぞれの予定を合わせないといけない。
また、リーグともなると安定して試合ができる場所も必要になってくる。
さらに交通費も含めると、学生には厳しいかもしれない。

同じ理由で大会も難しい。
なぜなら、交通費・主催費がかかり、学生の予算だけではほぼ不可能だからだ。

ドデカミン大会・三皿大会・東西統一蓋祭
これらはスポンサーがあって実現した大会。
が、やるとすれば屋外で行う、3~4チーム程度があつまる小規模な大会であるなら可能かもしれない。
しかし、それだと大会としては小規模。交流試合として行うしかない。
現に、チームの多い関西地域ですらあまり大会がないのだ。

さらに、大会がある地域とない地域で格差もあり、
その一部地域のチームの強豪化で、初心者と上級者の二極化も懸念される。
極端な話、特定のチームが大会を何連覇もしてつまらなくなってしまう危険も伴う。
これでは、キャップ投げは盛り上がらない。

そこで、提案をしてみる。
地域でキャップ投げの練習会を定期的に開くのだ。

どれくらい集まるかの競技人口次第だが、
地域のキャッパーが集まる練習会ならできるかもしれない。
事実、青森キャップ投げ倶楽部はそういう練習会で地方でもキャップ投げができることを証明した。

これなら試合ができる人数が集まらなくても、練習だったらできる。

ちょうど、少人数でできるキャップ投げ個人戦を考案してみた。
野球の一打席勝負とサッカーのPK戦方式を参考にしてルールを考えてみた。
これなら2人いればキャップ野球を行うことが出来る。
「キャップ野球やりたい、でも人がいない」ならこれでもよいのだ。

キャップ投げ個人戦

人数が集まったり、複数チームがいて、試合ができる環境にあるなら定期戦を行うのも良いと思う。
チームが近接しているならリーグにもできる。
かつての関西独立リーグや発足直後の北海道独立リーグのように、2チームしかいないリーグもある。
また、他競技では定期戦を行うことはよくされている。
お互いに試合をすることにより、さらなる改善ができるだろう。

公式ルールはともかく、投げるだけなら1人、
最低でも2人いれば「キャップ野球」のようなことはできるのだ。

筆者はサッカーの経験があるが、
サッカーも、蹴るだけなら1人でもできる、PK戦は2人いればできるという気軽さで惹かれた。

キャップ投げは、気軽さではサッカーにも負けてないハズだ。

つまり、キャップ投げ人口を維持しつづけるのであれば、
これから始める初心者向けには「キャップ投げ個人戦」からでも勧めてみるのはどうか。

そして、学校を卒業していくキャッパーには、社会人になっても続けられるような土俵が必要。
再三言うが、今のキャップ界にはそれが足りない。
なぜなら、母数となる社会人キャッパーの数が足りないからだ。

蓋世や蓋道といった選抜チームもすでにあるが、
選抜チームは強豪ぞろいで、実力がないと二軍落ちになるかも。
やっぱり弱いチームでもスタメンで試合に出たい!
そういうキャッパーもいると思われる。

ここは、社会人でも入れるキャップ投げ倶楽部というのも提案する。

現に、社会人チームもすでにいくつか存在する。
中には、学生も社会人も同じチームで活動しているチームもあるだろう。

スポーツの年齢層は、広い方がいい。
将来、小学生キャッパーも出てくるかもしれない。
将来、おじいちゃんキャッパーも出てくるかもしれない。

そういう未来の一歩として、オススメする。

2021年春以降、相次ぐ卒業により少しづつキャップ投げにキャップ引退の波が出てくるかもしれない。
しかし、キャップ投げ競技の物語はまだまだ始まったばかり。
ここで「一過性のブーム」で終わってしまうのか「一つの競技としての道を歩む」ことができるか。
まさに今が、史上最初の分岐点となるであろう。

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