犬よ11
缶詰のお肉が食べれなくなってきたそうだ。噛むというよりペロペロ舐めるので固形物は出されてしまう。ついでにお薬も器用に出す。チュールや犬用牛乳でミンチの缶詰を伸ばしてペースト状にしたのをスプーンであげる。チュールでも緑黄色野菜入りは好きでないから他の味でごまかされるごはん時に専ら使っている。さつまいもとかの味は好き。
昨夜は軽いけいれん発作があったのでけいれん止めの座薬を入れた。刺激になったかそもそも挿入されたのが嫌だったのか、まぁうんちと一緒に上手に出される。振り返って人間をにらみ、ぷんぷん鼻を鳴らしてついでに鼻水も飛ばして文句を言う。老犬になった柴犬は巻き尾を維持する筋力がなくなって機嫌に関わらず下がっているのだけど、こういう時は尻尾を上下に振って上手に腹圧をかける。犬自分の体の使い方が上手。
出てきた1錠をそのまま再挿入して様子見。足こぎ運動はしつつ半目で頭を持ち上げる様子がないからやっぱり発作らしい。効くのにこのくらいはかかるよと言われた30分を過ぎてもますます足が動いて寝床がシャカシャカいう。2錠目、また残っていた少量のうんちと一緒に出されたのでまたまたそのまま再挿入。うーん変わらんなぁと不安になりながら抱っこしたらぴたりと足の動きが止まった。なんならいびきかいて寝出した。お薬が効いている。ええ???と思いながらおろしてみたらまたシャカシャカシャカシャカし始める。訳がわからず夜勤明けで眠気の限界であったのもあって犬を抱えて横になった。腕枕の形で広げた脇のところで犬にぴったり寄り添う。こちらの腕は新型コロナウイルスのワクチンを打ったばかりで肩も腋窩のリンパも痛いのだけど、とにもかくにも眠かった。犬がぐうぐういびきをかき、寝息にかわり、またいびきに変わる。たまーに足がぴくっと動くがこれは平常からあるので許容範囲内としてシャカシャカが止まったことにほっとするや否やスコンと意識が落ちた。犬の寝息は臭いしリンパは痛いしクーラーついているけどめちゃくちゃ暑いし寝返りが打てず体がバキバキになる予感しかない。まぁ犬が健やかに寝てくれればそれで良い。何よりも人間は幸せの極みであった。
明けた朝、昼間の寝床に移動させて犬は普段通りよく寝ている。わあんと一声鳴いたから肝を冷やしたがどこも震えていなかったからたぶん寝言、なんの夢見てたんだい。それでもちょっと怖くて午前中は再び布団に連れ込んで抱っこしてお昼寝した。ぷぷん!!と鼻を鳴らしてこれも寝言、今日はよく喋る。いい加減起きて犬に昼の内服をさせねばと共々目をしょぼつかせつつクリームチーズにくるんでお薬を口に突っ込む。幸い口から出されることもなく、いやいや苦いもんと暴れられることもなく1回目で成功した。クリームチーズをケチらなかったからかも、寝ぼけていたからかも、いずれにせよラッキーだった。歩く歩くと言う割に寝ぼけているのとそれから確実に進む老いに足元がますます覚束ないのを支えてあげる。くるくるしたがるのを肩や腰を支えながら犬を回す。ともすると顔から崩れ落ちるように転ぶから気をつけないといけない。ちゃんと支えて!!とぷんぷん怒られる。興奮させ過ぎて発作を誘発したくないからほどほどでストップをかけて寝かしつけて、今日はあまり寝付かない。抱っこして腕枕していびきをかきはじめたらサッと腕を抜いたところにバスタオルを丸めたのを突っ込む。起き上がろうとするのをトントンしつつ押さえて再度寝かしつけ。何をやってもだめな時はだめ、寝かしつけは時の運。抱っこちゃんな犬は今日もかわいい。