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#2 フィールドワーカーのカポエイラ修行録 -出発-

一日目:2023年10月19日

ブラジルまでの道のり。
フライトスケジュールは次のとおり。
航空券は5,6カ月前に安いものを取ったので、往復で19万円程度。

ブラジルまでの航空券

今回のブラジル渡航は、自分が所属しているカポエイラ団体の先生と一緒に行ったので、大移動ではあるもののそれほど不安感はなかった。

最後の日本食・牛丼定食

以下、フィールドノート抜粋。
(初日なので気合が入っていて記述量が多い。)

ロス到着 20分前
意外とあっという間やったな
マンマミーア(彼女のおすすめ)観てマリオ映画観てたら着いた
マンマミーア思ったよりおかんの話やった。彼女がカラオケでマンマミーアの曲歌ってたけど、それも全部おかん関連やって、そっちかーいってなった
マリオゆっくり観たかったけど前半30分くらい観て終了
通路側の席やって外の景色ちゃんと見れんかったけどおじさん越しに見る景色だけでもアメリカすごい

飛行機から見たロサンゼルスの景色

山脈ちょっと見えてその周り全部雲やった。どんだけ標高高いんや。
おじさんに言うて写真撮ってもらった。もう山脈ゾーンから都市ゾーンなってたけどめちゃ綺麗
このおじさん夕食残してたしめっちゃぶっきらぼうで愛想ないわー思ってたけど、充電器貸して欲しいって声掛けてきてなんか親近感湧いた
利己心の鬼の可能性もないことはないけど笑 まぁでも写真も撮ってくれたし
先生おるからか、全然不安ないなぁ
1人やったらやっぱ不安やったやろな
到着5分前とか?
外の景色都市すぎておもんない。

読んでて、懐かしい。
初めてのアメリカだったが、不安よりもワクワクが勝ってたのを覚えている。
3か月の海外生活がどう転ぶかわからないが、どういう形であれ「今以上の自分」になれるという気持ちでいっぱいだった。
(フィールドノートが口語、ばりばりの大阪弁で書いてるのでコメントとのギャップに違和感)

ロサンゼルス到着
フライトの遅延により、1時間半で荷物のピックアップから搭乗までしないとあかん。
荷物のピックアップどころか、税関があほみたいに混雑しててそこから出るのに1時間くらいかかる。
荷物のピックアップもどこのターンテーブルかわからずグダる。
Dさん(別の先生)と合流
割と待ってたらJALの人出てきて、「今日はフライトとれなかったんで明日の昼の便になります」と伝えられる。
ロサンゼルス宿泊決定~
ホテル取ってくれたし、しかも朝夜の食事チケット付き。

別のフライトスケジュールのD先生は問題なくブラジルへ向かった

アメリカはトランジットで使うにもESTA申請が必要で、それの影響か税関が大変混んでいた。税関を超えてトランジット手続きをする頃にはもう次に予定していたフライトは離陸してしまっていた。
1時間程度待ちぼうけを食らい、「これもしかしたらロサンゼルス滞在できるか」と期待していたらその通りになった。

シャトルバスに乗ってホテルへ移動
ホテル到着
先生仮眠
フロントでしかfree wifi使えんかったからフロント下りてゆっくりしてた。

17時頃。まだ日は落ちていない。
流石にどこも外でやんのは渋すぎると思って、先生を起こす。
とりあえず、capoeira brasil(ロサンゼルスのカポエイラ団体)を目指してバス乗る。もし、レッスン参加できなかったら観光名所的な場所に行くことに。
外出てホテルを真っ直ぐ進んだバス乗り場を目指すが、工事中のためバス停まで行けず。
「かぽぶら近くのストリートのライン(x軸が同じ)上でバス乗ればたどり着けるやろ」と思って、10分くらい歩いてワンブロック西の大きな道まで出る。
この辺のムーブは完全に吉川先生(社会調査研究者の教授)の影響。道路を本質的に理解しよう企画。

待ったらSanta monica行きのバスが来たからとりあえず乗車。
Maps me見ながら乗ってたら一本西にずれて海岸の方向かいだした。このへんからちょっと面白くなってる。
とりあえず、y軸で合致できるところまで来たところで下車。地図ではわかりにくかったけど、そもそもホテル~かぽぶら間がかなり距離あったから19時くらいになってもうた。
「もうこれ時間的にかぽぶら無理かもなー」って先生と話してて、やったら帰りやすそうな観光地行くかってことでthe glove(地名)へ向かおうとする。
X軸移動のバスが全然来ず。しかもタクシーも来ず。
ちょっと歩きながらタクシー捕まえれそうやったら捕まえて、無理やったらバス乗るか作戦。
タクシーが全然来やんから、見つけたバス停まで移動。
先生が道路挟んだ向かいにsmoke shop見つけて、「ちょっと行ってきていい?」って突入。(*海外のB級映画とか結構好きでアメリカのドラッグとか売ってるのを見たかったらしい。)
その間バス待ってたけど全然来る気配ない。School days onlyみたい書いてたからわんちゃんこれ来やんなって思って、先生帰ってきた後少し歩く。
縦移動の道はまだ店とかあったけど、横移動すると急に店減る。しかもちょっと治安悪い気配する。あいつたぶん薬中やなって人が増える。
ちょっと行ったところに今度は電光掲示板付きのバス停があって4min.で来るみたいなこと書いてあったから待機。
バス乗ってまたx軸移動。ちょうどy軸方向に走ってる道路でthe gloveに続いそうな交差点をmaps meで見つけてたからその手前で下車。
そしたらそのy軸道路がまさかの高架の上を走ってるタイプの高速道路やって絶望。
10-20分くらい歩いたらかぽぶらあるみたいやったから結局目的地をかぽぶらに変更。
その際に、件の高架の下を通らないといけず、しかも高架下テントだらけで「まじか」ってなった。今んとこ一番怖かったし、最近の経験でも上位に来る怖さやったな。
東京都庁の近くの高架下もホームレスたまってたけど、住みかは見えるけどなかに人おるかわからん感じやったからそんなに怖くなかったけど、こっちはテントのなか人動いてるのんわかるし、外でなんかやってるやつおるし、怖スギ
先生曰く「ああいうときは、全員殺したるくらいの気持ちでおらなあかんで」とのこと。確かに俺びびりちらしてた。まだまだやわ。

なんだかんだこの経験が4カ月弱に及ぶブラジル旅行の中で一番恐怖した瞬間だった。
それまでは初めての土地を自分の足で散歩するフィールドワーカー心くすぐられる気分だったが、一気に冷や水を浴びせられた。
アメリカの治安の悪さを舐めていたわけではない(実際バスから降りて歩く際もできるだけ大通りを選んだルートを取るようにしていた)が、「命は無条件で担保されるものではない」と久々に思い出した。

しばらく歩いて南側に曲がって少し進む。南側は急にファミリー層が住んでそうな住宅街。
どこの庭もハロウィン仕様でおばけの人形飾ったり明かり付けたりしてる。可愛いおばけだけじゃなくて大きめのわら人形みたいなんもあって普通に気味悪い
5分くらい歩いてやや大きめの通りを渡って西側に進むと楽器の音が聞こえてきて、かぽぶら発見。
扉が開いてて外から中の様子が見れるようになってたから誰か反応してくれへんかなーって中をうかがってた
さっきwebsiteで調べたとき、今日はカポエイラじゃなくてジョンゴの練習の日って書いてあって、4,5人がアタバギで練習しててそのまわりの人らも楽器orリズムの練習してた。
水分補給しに扉の近くに近づいてきた人にちょっと声かけて、「日本から来てちょっと見に来た」って言うたら帯が上の人連れてきてくれた。
40-50くらいの貫禄のある白人のおっちゃんが出てきて話す。あとで聞いたらprofessorでアペリードが「たぴおか?」みたいな名前。以下prof.たぴおか
先生がポル語で喋ってくれた。俺も聞いてたけど手持無沙汰になったから受付?におる30くらいの女性の人に声かけてちょっと話した。
練習参加は無理やけど、見学はokってことで椅子に座って中観てた
<内観>
手前3m×10mに人工芝、奥15m×10mフローリング
奥中央からやや左にcapoeira brasilのロゴが書かれた壁紙が貼ってある。
奥左に更衣室とトイレがあって、奥右にはジムのトレーニング器具が置いてあった。
右の壁はレンガぽい色合いと質感になってる。
右の壁の真ん中くらいにアタバギ3つ置いて、練習してる。その奥にはもう何個かアタバギがあって、ビリンバウの木?が何本も樽みたいなところに収納されてた。

Capoeira Brasil(ロサンゼルス支部)の様子

最初リズムの練習してて、prof.たぴおかのポル語説明をベテランぽいお姉さんが翻訳しながら進めてた。
軽く円形になってアタバギの音に合わせて「um, dois, tres, quatro, um, dois, tres, quatro..」言いながら足の動きをやってた。
アタバギは3人ずつやってある程度やったら交代しつつ進めてた
次がジョンゴの動きの練習?
マクレレみたいやった。
二人一組になって、向かい合って4カウントでお互い近づいて、次の4カウントで離れる。また近づいて…、って感じ。
近づいたときは一人が体を上に大きく、もう一人が下に軽く縮める、みたいな感じ。
その後、roda作って円のなかでこれをやってた。
ただし、下がるときは後ろ向いて体を回すか大きく見せるかするように教えてた。
Jogoみたいにほかの人が割り込んできて、交代する。ただcomprarした後に、した人が追い出す相手に向かって進んでいって円の外まで追い出してからもう一人とやるって感じ。
カポエイラクラスでやってるからJogoぽいスタイルになってるのか、そもそもこういうものなのかどっちなんやろ。
Prof.たぴおかともう一人代表っぽい人がおってこのへんはその人が説明してた。
Rodaの説明あらかたやった後に手前にかけてあった女性服を着てスカートを持ちながらこれをやってた。4カウント目にスカートのすそを持ってぱさってやる感じ。
女性参加者はスカート履いてrodaに参加してた。
Rodaスタートして、歌とアタバギありでジョンゴが始まった。途中で電気消えて、けど参加者は特に気にせず続けてた。
このときは、わざとなんか建物の使用時間の問題なんかわからんかったけど、ちょっと明かりあるけど結構暗い中でrodaするのは面白そう。カポエイラやったらしっかり相手を感じる練習にもなるやろうし。先生も「これ、ええなー」いうてた。
Roda終わった後だれかが電気をつけたから多分わざとやったっぽい。
練習の最中に手前の芝生とかでこどもが2人遊んでた
練習生の子どもで、たまに親のところに行ったり、親がたしなめたりしてた
途中かくれんぼしだして、俺らが座ってるベンチの後ろに隠れたりしてた。荷物で隠してあげたりこっちがリアクションしたら楽しそうにしてた
子どもとカポエイラの参加ってどこも同じなんやなって思う。
テーマとして面白そうやけど、学術的に面白い共通項にまでつなげるの難しそうやな。
練習が終わって練習生に軽く声かけて話す。
一人、oda seijiって子が結構話してくれた。
聞いたら父親が日本人カポエリスタで日本語勉強中とのこと。
ここに来たいきさつとか話したりして盛り上がった。インスタ教えたり。
帰りのホテルまでの帰り方教えてほしいっていうたらuber呼んでくれて、さらにその代金も出してくれた。いいやつすぎる。
ホテルまでの帰宅絶対きついと思ってたからめっちゃ助かった。
Prof.たぴおかともちょっと喋った。終始ポル語やったから先生がメインで話してはって俺がわかる範囲でちょくちょく喋る感じ。
聞いたらカポエイラ歴24年やと。すんご。

我ながらよくここまでメモしていたと思う。
だが、カポエイラに関心がない人からすればさっぱりだろう。

少し触れているが、カポエイラコミュニティの家族(特に子ども)のケアについては日本でもアメリカでも共通していた。
自分の団体でも練習参加者が子どもを連れてきて、半ば面倒を見てもらいながら一緒に練習するというのはよくあることだ。
カポエイラは年齢、性別、熟練度の区別なく同じルール下で組手できるという特異な格闘技で、上手ければ上手いほど相手のレベルに合わせた、共同的かつ創造的なゲームを行うことができる。相手が子どもであっても同様で、熟練したカポエリスタは子どもの相手が非常に上手い。
おそらく、これはゲームに限定されたことではなく、カポエリスタは子どもの目線に立ってコミュニケーションを取ることが得意であり、したがって、カポエイラコミュニティは子どものケアにとって非常に良い場所なのではないだろうか。

ついつい忘れてしまうこのような気づきを保存しておくというのが、フィールドノートの強みの一つ。

呼んでくれたUber来たからそれに乗ってホテルに戻る。
Uberの運転手のおばちゃんが結構喋ってくれて楽しかった
めっちゃ旅行好きな人で20か国くらい行ってた
In and out burgerってハンバーガー屋さん教えてくれたけど、結局行けず終まいや
21時くらいにホテルに到着
フライトキャンセルになった保障で夜ごはん$30分のチケットもらってたからさぞ美味いもん食べれるぞって思ってたら普通に料理が高すぎ。
俺はタコス+ビール、先生はパスタ
これで¥4,500ってやばすぎ。
あとビールでかすぎてめっちゃ酔った

一日で羽田出発からロス到着して現地のカポエイラ団体まで行って、とあまりに長い一日だと思ったが、時差のせいか。
繰り返しになるが、言葉遣いのギャップはどうするべきか、、、