36、同志であり師。久保田修と松橋真三
映画制作に関しては、やはりこの2人を置いては語れません。
久保田修と松橋真三。
IMJの社長になり、映像事業を進めるため、
ポニーキャニオン在籍中の久保田さんと、WOWOW在籍中の松橋さんを
口説いて入社してもらったのです。
2人のタイプは対照的。久保田さんは人の心の内側や、その揺れなど丁寧に
本作りをしていく作品が多く、カンヌやベネチアのような映画祭向きのプロデューサー。
僕と仕事をした中では、「NANA」や「黄泉がえり」のようなメジャーヒット作品もありますが、久保田さんらしいのは藤本賞を受賞した「ジョゼと虎と魚たち」でしょう。
今回、カンヌやゴールデングローブ賞、アカデミー賞などを獲った「ドライブ・マイ・カー」の山本プロデューサーも久保田さんの影響が大きいと思います。
本作りもそうですが、映画に対する向き合い方について
彼から学んだことはとてもたくさんありました。
一方の松橋さんは、ハリウッド型というか、エンタテインメントど真ん中のプロデューサーです。
最初の出会いは「バトルロワイヤル」。
IMJに来てもらってからの代表作は「るろうに剣心」でしょう。
その後も「銀魂」、そして「キングダム」とメジャー路線をひた走るプロデューサーに
なっています。
2人に共通するのは音楽の使い方が抜群なところ。
久保田さんは、岩井俊二監督の「スワロウテイル」、「黄泉がえり」の主題歌「月のしずく」、「NANA」の主題歌「GLAMOROUS SKY」など、オリコン1位を何度も撮るほど、音楽が重要な役割を担う映画の作り方や楽曲の選定が抜群。
松橋さんは、大物食い。
比較的予算の少ない小さな作品でもドリカムを主題歌に引っ張ってきたり、
「るろうに剣心」のような大作にはもちろん「ONE OK ROCK」など持ってくる。
そして、次回作「キングダム2」の主題歌は「ミスチル」。
松橋さんらしい、としか言えない(笑)。
2人との約10年の仕事が、私の映画ビジネスの土台を作っているのは間違いない。
「同志」であり、「師」。
2人はおそらく映画と共に生きていくでしょうから、
今後の活躍をOBとして、そして一観客として、楽しませてもらいます。