上場会見:アイビス(9394)、DLの海外比率は9割
23日、アイビスが東証グロースに上場し、神谷栄治社長が東京証券取引所で上場会見を行った。会社の説明に関する部分を要約した。
社員240人のうち208人がエンジニアとして在籍する会社で、神谷社長は小学生の頃からプログラミングに熱中し、大学でスキルを磨き18歳の時に起業した。資本は、大学時代に趣味で作ったFTPソフト「小次郎」の売り上げから得られたもの。
■急伸モバイル事業
スマホなどで絵を描くアプリケーションである「ibispaint」を開発するモバイル事業部と、IT技術者派遣や受託開発を行うソリューション事業部がある。売り上げの3分の2は、成長事業であるモバイル事業部、3分の1は安定成長のソリューション事業部という構成で、近年は特にモバイル事業部の売り上げが急増し、昨年は33億9000万円となった。
■Z世代と海外に刺さる
モバイル事業の収益内訳は、アプリ内広告が80.4%、ibispaintのサブスクリプション利用が9.2%、ソフトの買い切りが10%となっている。アプリには多数の無料ユーザーがおり、月間アクティブユーザー数は4080万人。日本製のアプリでは、LINEに次ぐ第2位となっている。ibispaintは無料版でもほぼフル機能で、ユーザーが描いた作品を投稿して共有できる機能を持つ。
過去2〜3年間で累積ダウンロード数が大幅に増加し、6万6000人のサブスクリプション会員がいる。買い切りのユーザーは2万1000人。ユーザーの7割が女性で、25歳未満のZ世代による利用が6割を占め、年齢層のアクティブユーザーのシェアは90.5%。中高生などが初めてスマホを買った時に、少しでもデジタル絵に興味がある人に選んでもらえている。
海外でも普及しており、累積ダウンロード(DL)の92%、収益の73.4%が海外からのものだ。広告の海外展開に成功し、現状では広告を打てば打つほど売り上げが伸びている。5~6年前から試行錯誤してうまくいくパターンを見つけた。また、YouTubeの公式チャンネルの登録者数は230万人となっている。
■有料化も促進
成長戦略として、アクティブユーザーの増加を継続しながら、サブスクリプション会員向けの高度な機能を追加し、直接的な課金でのマネタイズを進める。また、Windows版については、モバイル版のファンが購入しており、計画よりも売れている。高機能でプロ志向の機能を追加してシェアを拡大する。
有料版が多い競合他社と比べてアクティブユーザー数が多く、世界中のユーザーを最大化して、そのなかの一部の人が契約してくれるだけでもそれなりに売り上げがあると見ている。無料からサブスクリプションへの転換に注力し、売り上げを増やすことができる。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
※会見の質疑応答部分はリンク先でお読みいただけます。