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BARを開業してよく聞かれる質問

洋服屋、もう少しわかりやすく言うと「セレクトショップ」を20年。
路面電車が通る道路沿いに移転して「洋服屋」+「BAR」という形態に変わって丸三年がたちました。

洋服屋の店主を長年続け、ここにきて何故BARのマスターもやってみたのか?カウンターに座ったお客さんは興味があるようです。
質問の内容は以下のようなものが多いですね。

Q1.お酒が好きなのか?
Q2.接客が好きでBARを開業したのか?

ポジティブな答えが求められているのはわかっているものの、正直に答えると残念ながら以下ののような感じになってしまいます。

A1.お酒を嗜む場の雰囲気は好きです。ただし「ワイン」「ウィスキー」などの一銘柄を特化し掘り下げる、または資格(ソムリエ)を取得するまでの深いモチベーションはないですね。

ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)、クラフトビール、シングルモルト等を扱っていると、さもワイン好きが高じて、クラフトビールの美味しさを知ってもらいたくて。といったポジティブなストーリー(物語)を多くの方が求められいることを実感します。でも私にはあまりそのような熱のようなものがそもそもありません。

長年、洋服屋を営んで生計を立ててきた身からすると、このブランドが好きでといった思いの強い人ほど。この業界(洋服屋)では生き残っていないように思います。私は売れる服・ブランドが好きです。早めに売れるブランドに目星をつけ、また同時に売れなくなったブランドを切り捨ててきました。
強いこだわりを持つことなく、「流行」に寄り添って生きてきたと思います。

BARのマスターとしても売れる酒・求められる酒が好きです。洋服と同じく飲食にもトレンド・流行があって求められる酒は変わっていくように思います。自然派ワイン・クラフトビール・シングルモルトは現状トレンドです。ここ最近だと「クラフトジン」が求められています。

そして需要があった分反動もあってニーズの賞味期限もあります。その動向を伺って私はお酒のラインナップを変えていきます。だから問に真摯に答えるなら「酒」を売って生計を立てる身ゆえに「お酒」が好き公言できる立場ではないのかもしれません。

A2.特に接客が好きなわけではないです。金銭に余裕があるならカウンターの内側ではなく、カウンター席に座って接客される立場がいいです。

店の前を多くの人が家路を急ぐ頃に、私の仕事り第二幕目が始まります。B.Dシャツに着替えネクタイを巻き、エプロンをつけて髪をワックスで後ろに撫でつけます。以前とは違い洋服屋だけの売上ではなかなか維持することが難しい時代です。多くの個人店舗が店をたたみました。

身も蓋もない話ですが、ようするに私はお金を必要として昼と夜を働く職種を求めただけです。今までどおりの「洋服屋の店主」と新たな「酒場のマスター」といったように。

しかもバブルの残り香を嗅いだ世代としてはなるだけ楽をして稼ぎたいとお思う一面のあるだらしない性格でもあります。でも世の中はそんなに甘くないので、結果としてお酒についての知識がないのをカバーするべくいろいろと調べ物をしたり、オーセンティックなバーとの扉を開き、バーテンダーの所作を注視し、のちほど再現を試みもします。知識を惜しみなく提供してくれる人には貪欲にいろんな質問もします。お金を稼ぐために必死なんですね。

接客は好きではないけれど、お金を頂戴する以上、細やかな気配りと次回も来店していただけるような接客を心がけます。今夜は上出来だなと思う日もあれば目も当てられないような失敗もあります。日々少しずつ良き接客ができるようになれば思っています。

BARに訪れるお客さんは色とりどりです。いろんな方がいるんだなと実感し洋服屋のお客様の層はかなり限定的です。いかに自分がニッチな商売をしていたかと実感します。

暗がりの店内でオイルランプの揺れる灯りのもとで、カウンターを挟んでいろんな会話をお客さんとします。それは昼間とは違い、男女問わずアルコールも介在することもあり少しだけ相手の気持ちの内側に入りやすくなります。私はグラスをクロスで磨き上げながら、グラスの氷がするっと滑る音と、ゆっくりと語られる話を時に相槌を打ちながら聞きます。

その共有した時間は、なかなかお互いに悪くないようにも思います。繁華街から遠く離れた離れ小島のようなBARならではでないかと思うからです

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今月のおすすめの取扱いブランド

「泣けるから良い映画」ということではないと同じように「原価率が高い」から良い服とは限らない。でもWORKERSの「BAL COLLAR COAT」に関しては一旦コストのことは頭から外して制作して逸品に思う。英国のコートブランドの「あれ」の裏地を解析して作り上げたりと。気合が入っています。
オンラインショップにアップして早速オーダーが入り始めています。サイズも欠け初めているので気になる方はお早めに。

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#日記 #コラム

メンズ洋品店「Cape Cod Clothing Store」はこんな感じのお店です。https://note.mu/capecodstore/n/nc35ddf788b89

「Cape Cod Backyard Bar」はこんな感じのお店です。https://note.mu/capecodstore/n/n987b2ef53f98

この記事は投げ銭制です。この後、19SSの展示会レポートについて軽く書いています。(書き始めたらそこそこの分量に!)

いつもは飲食店のリサーチも兼ねて、展示会の数からしたら余裕の二泊三日だったりするのですが、今回は身分相応に一泊二日。

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