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オーストラリア開拓②

前回のオーストラリアの話の続きです。
「草刈機まさお」から「Razorback」とブランド名をこっそりオーストラリア内では変え、2018年8月に初めてのディーラーミーティングが開催された。

キャニコムはとしてお客様が独自で色の変更、ロゴの変更、改造を一切認めていなかった。開発への思い入れが他社よりも強い会社なので「顧客への自由度」を制限をしていた。要は勝手に改造をするなということ。
もちろんそのローカライズされた改造はその地域では非常に理にかなっている、ただPL(製造物責任法)の対象外となる。基本的に保証(Warranty)を恐れすぎてしまう。これは製造業を生業としている会社としては当たり前のことであり、使ってもらっているお客様に対しての裏切り行為になる。特に海外での使用となると裁判であったり、弁護士費用など想像するだけでもどれだけの費用とリスクがあるのかは計り知れない。そのためどの会社も慄いてしまうのだ。
それなのにアメリカに毒された創業家の息子があっさり壊してしまうという構図になる。まっトウモロコシの例もあるし、やれるんじゃないのか?
「お客様の使う自由は、メーカーであっても制限はできない」
という嘯いた考えがその頃からあり、オーストラリアでは果樹園や農業関連の草刈りとしてキュウイやブドウ園(ワイナリー)の実績があった。

迷彩バージョンまさお、水圧転写でカスタマイズ

お客様からの提案でちょっと角度、見え方の角度を変えてみないか?
「草刈機まさおには果樹園での草刈りだけではないポテンシャルがある。ブランド名を変えるだけでこの市場を席捲できる力がある。だからブランド名をRazorback(イノシシという意味)に変えてみないか?」


昨今では地球温暖化という流れで、オーストラリアでも山火事が非常に増えてきた。
僕は専門家ではないが、山火事の基本は生木は燃えない。
燃えるのは周辺にある雑草と枝打ちした枝がよく燃える。なので燃え広がらないために草を刈らなければならない。
オーストラリアの場合はユーカリが原因で燃えるというのもある。それはそれで、専門家ではないのでわからない。
オーストラリアの山火事での一番の問題が登坂。
要は急こう配の坂を登りきれる芝刈り機、草刈り機が当時はなかった。
通常の芝刈り機の登坂能力は5度。ちょっとした坂しか登れない。また一応、競合に当たる製品は15度~20度しか登らない。
オーストラリアの坂は基本的に20度~30度が普通で、機械性能に不満を持つユーザーばかりだった。
キャニコムの草刈り機は「四輪駆動」そして登坂に強い。

力強いネームブランドがオーストラリアでは必要だ。


だから協力をしてくれという要請があった。
これは本社と拗れるなという印象があるが、オーストラリア内での販売はかなりくすぶっていた。これに限っては一つ了承をしてみようということを内々で決めてしまった。顧客への自由度を優先した形だ。
条件としては以下の通りとした。
・ キャニコム側としては「Razorback」のロゴは貼らない
・ 現地で「Razorback」のロゴを添付すること
・ キャニコムのロゴだけは外さない
この3点だけ提案をした。後はブランディングも自由にやっていい。商品改造についても提案として定期的に上程をしてほしいのも付け加えたが、現地のローカライズ化を強く希望している自分もいたので、バランサーとして自分が確認をすることにした。
それを踏まえて「Razorback」のディーラーミーティングに参加をした。
全員の統一感を出すために、これをやろうぜと提案したのが「ものづくりは演歌だxRazorback」のコラボシャツだった。

全員同じシャツでミーティング
初めて「ものづくりは演歌だ」シャツが登場

オーストラリア内でのキャニコムのプレゼンスは一気に高まっていく瞬間だった。
「まさお」から「Razorback」へ変わって、一気にオーストラリア市場が拡大する瞬間だった。
年間30台だった販売が現在では300台を超える販売になった。伸び率が世界54ヵ国の中で北米に次ぐ伸び率になった。
それから2年に1回その話をするためにオーストラリアに定期的に訪問をしている。これからまだまだ無理難題のオージーの課題をクリアしなければならない。まだまだ開発、開拓物語は続いていくのです。

各国の開拓した話は少しずつ残せればなと思っています。

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