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キャニコム、アメリカへ⑪

2022年にアメリカ進出の話を⑩まで書いていたようですが、すっかり忘れていました。2012年の話で止まっていました。2013年以降のアメリカの話をどうしようかなと思っていますが、思い出したら追々と続けたいと思います。2024年3月3日にテレビ東京系列で放送のあった「開国、ガラパゴスJAPAN」でアメリカへ一足飛びの話を入山先生が取り上げていただいたので、少し触れておきたいと思いまた少し書き始めている。

「ボーン・グローバル・ファーム」

起業後すぐに海外展開を目指す会社とされています。キャニコムの場合は日本の農業機械分野での売上拡大が期待できなかったのと、私自身が当時会社での居場所がなかったのが大きな要因だったので海外へ一足飛びに進出してしまっただけなのですが。。。海外の売上は結果的にキャニコムとしては大きな飛躍をする一助となってしまったのだ。

ここではただ書きなぐっているに近いですが、当時を振り返りながら傍流存在だったアメリカ市場が、2023年時点で国内の製品販売金額をアメリカの売上が超えてしまった。どういったことが要因なのかも記せればと思います。

話は戻って2014年10月に代表取締役社長に推薦され、2015年1月より筑水キャニコムの社長に就任をした。これに伴い、2005年9月から務めてきたキャニコムUSAのPresident/COOを退任し、CEOに就任した。USAのPresident就任時の売上が30万ドルだったのが、最終的に600万ドル以上も超えて20倍以上の売上実績を残し、凱旋した形となった。(2023年の売上は現在3000万ドルを超えた)

アメリカ展示会様子2014年

キャニコムのものづくりの根幹は現場に寄り添うことを重要視している。なので製品を作り、「さぁどうぞお客様」というものづくりをしていない。「マーケットイン」という形になる。

特に運搬車、乗用草刈機に特化したものづくりを行っているのでマーケットとしては限定的になってしまうのですが、「運ぶ」「草を刈る」というターゲットとしては多岐多様になる。ニッチな分野でも突き詰めれば巨大なマーケットであるという事だ。そして当時はPEST分析をよくしていたなと思っていました。特にPのPolitics(政治関連)の動きをよく見ていた。もちろん経済、社会性、技術なども十分把握した上だ。

Forbes Japan主催のSmall Giants Award 2022-23においてはトウモロコシに特化した運搬車の開発を中心に話をした。これに特化した理由というのが、バイオエタノールの開発にトウモロコシの生産量の拡大がアメリカで推進しているという事を知っていた上に、生産量拡大に特化した機械化に着目したからだ。

2015年カンブリア宮殿の撮影で使ったトウモロコシ畑

また現在のアメリカの販売を支える「コンクリート砂男」は2007年8月1日におきたミネアポリスのI-35Wの崩落事故から急激に注目されることになった。コンクリートの寿命、橋の寿命などアメリカでは衝撃が走った。実はその崩落した当日にミネアポリスにいたので間一髪だった。

インフラが現在のままでは危ない、コンクリートの寿命は40年~50年。そして寿命がきてしまったのだ。大規模なインフラ整備に投資をせざる得ない、業者はコンクリート関連の製品を必要性が一気に高まり、急激に問合せと販売が伸びた。そして2021年の1兆ドルのインフラ法案に繋がる。

コンクリート砂男の現場

アメリカでは一般のお客様が機械を購入をしない。
7割がレンタル事業に特化をしている。キャニコムは2001年からアメリカ市場に参入をしているが、最初は購入層への販売。単価の安いものから参入してブランド認知力を高めるという戦略だった。2001年から2006年まで全く販売が伸びず、推進する製品も日本の在庫の余りもの販売だったわけです。
単価の安い製品を個人に販売するのではなく、付加価値の高い製品をレンタル会社への販売にシフトをした。何よりもレンタル事業の方がが大きく伸びるというを予測していたからだ。
またアメリカの労働監督基準にも着目し、我々の製品がどの層で使われるのかも着目をした。アメリカのワーカー層はメキシコから来ている労働者だ。そこに着目し、欧米人の体型に合わせた機械設計はもしかしたら必要がないのでは?という疑念があった。
メキシコ人の平均身長が170㎝満たない(当時)。もしかして日本の設計がそのまま使える可能性もあるのではないか?
そしてワーカーなので専門機械を運転する必要がない。専門機械(ショベルなど)を扱う人材の時給が20ドル。しかもアメリカでは契約した内容(Job Description)でしか作業をしない。
メキシコ人ワーカーの場合は時給が10ドル前後で専門職ではない。そして軽土木作業の全般をやる。簡単に言うと専門職ではない人間が扱える機械を開発できれば販売は拡大するという目論見があった。そしてレンタルなので、人も機械も「期間工」扱いとして計算ができるという算段でこのコンクリート砂男は開発した。(あくまでもPoliticsとEconomyの部分)
その他のマーケットにおける要因、戦略は色々とあるのですが、海外における推進、開発のポイントはPESTにELを付けて、PESTELが一番ロジカル的であると私は考えている。これがキャニコムが海外に拡大した大きな要因ではないかと思う。

アリゾナ州でのインフラ整備

プロダクトアウト型からマーケットイン主導に変化をして、海外販売比率が6割近くなったキャニコム。国内の販売を超えてどこまで成長をしていったのかを近く残してみたいと思います。キャニコム、アメリカへ⑫はいつリリースするかはわかりませんが。。。キャニコムが100億円売上達成した話に内容を変えるかもしれません。

海外売り上げの拡大がキャニコムの成長ドライバー。アメリカを基軸にオセアニア、グローバルサウスを狙っている動きが少しご紹介できればとは思います。

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