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私の話をしようと思う。

12年前に弟が自殺した。

けど、私が死と親しくなったのは、それよりもっと前だった気がする。
祖父が死に、母方の祖父母が死に…
高校生の頃、目の前で、右手を挙げて道路を走って横断していた坊やが車に跳ねられた。
坊やは死にはしなかったが、私はその時初めて、死を身近に感じたのだ。
誰でも簡単に死ぬ。

大学は文学部で日本史をやっていた。
合唱サークルに入り浸っていたので落第生。
就活がうまくいかず、卒論もうまくいかず…留年が決まった、その頃からだった。弟の様子がおかしくなったのは。

弟はあっけなく死んだ。
でも一歩間違ってたら、死ぬのは私だったかもしれない。
私は、弟はいつか死ぬだろうなと思っていたが、弟もまた私はいつか死ぬと思っていたかもしれない。
似た者同士で…でも私は生き残った。

弟の亡骸にすがって泣く母を見て、私は大物に…それも、得意な音楽というジャンルで大成しなければならない、と思うようになった。

次回を待て!


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松井美和(みく)|⁠素朴なアートを生きる
あなたの気持ちが、巡り巡ってやがてあなたの元へと還りますように。

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