445 ココがすごいぞ名鉄名古屋駅
名鉄名古屋駅。言わずと知れた大都市名古屋の一大ターミナル駅です。
実はこの駅、非常に多くの特徴を持っていることをご存じでしょうか。普段利用しているだけでは気づかないそんな名鉄名古屋駅の面白さをご紹介したいと思います。
①大ターミナルなのに2本しかない線路
名鉄名古屋駅はJR、近鉄、地下鉄の名古屋駅と直結する大ターミナルです。ここから岐阜、犬山、津島、半田、セントレア、西尾、豊川、豊橋と県内や岐阜県の各方面に列車が出発します。これだけの行先があるならホームもさぞ多いのでは、とお思いでしょうが名鉄名古屋駅には北方面と南方面に向かう線路が一本ずつしかありません。
この2つの線路だけで当駅を発着するすべての列車をさばいています。地方の小駅であれば運転本数も限られ十分な規模なのですが、
こちらは平日に北方面に向かう列車の時刻表です。北方面は大きく岐阜方面と犬山方面に行き先が分かれるため時刻表も別々に作られているのですが、これらがすべて1番線から発車します。
もっとも多い8時台には25本、少ない14時台でも16本の電車がやってきます。8時台だと2分に1本の列車がやってくる計算です。列車の本数なら新宿駅の方が多いですが、新宿駅は山手線、中央線、総武線が別々のホームから発車しますよね?名鉄名古屋駅はそれらがすべて同じホームにやってくるのです。1つのホームに発着する列車の本数は1日400本を超え、東京の各駅を凌ぎ日本一です。
名古屋鉄道は名岐電気鉄道と愛知電気鉄道を統合してできた鉄道会社です。両社はお互いにターミナルを持ち結ばれていませんでしたが、これを結んだ際にできたのが今の名鉄名古屋駅です。そのときにはすでに近鉄名古屋駅ができたいたため地下の構造物を避けるように作られ、このように狭い駅とならざるを得ませんでした。
②線路がかなり曲がっている
狭いスペースに無理くり駅を作ったため、線路がこのように「くねくね」しているのも名鉄名古屋駅の特徴です。
電車が到着した際、ホーム下にある警告灯が点滅します。ホームがくねくねしてしまっているためホームと電車の間が広く開いているところがあるため、転落しないように警告しているのです。転落は見たことがないですが、夏、乗車しようとしてサンダルを落とした人がいました。履物にも注意が必要です。
③さまざまな仕組みで誤乗防止とスムーズな乗車を促しています
さて、ホームを見てみるといろんな色のテープが張られています。これはいったい何でしょうか。
先述したとおり、名鉄名古屋駅は2本のホームで県内各方面に向かう列車をさばいています。各方面別に並ぶ位置を色分けしてスムーズに乗車できるように工夫されているのです。
ホームの向こうには停車位置番号と行き先も掲示されています。津島・弥冨方面の電車はもうすぐ来るから赤色の乗車位置のところで待っていてくださいね、と示されています。
また、次に来る列車と停車駅も上の電光掲示板で示されていて誤乗防止にも努めています。
名鉄名古屋駅の列車案内はテレビ式ですが、行き先が四角で囲われています。豊橋は青色、下の中部国際空港は赤色ですがこれも整列位置を示しています。(一番上の中部国際空港は枠がないですが、次来る列車は点滅していて写真では消えてしまっています。)
④通称「DJブース」で駅員が列車案内を肉声でします
ホームの南端に人が入ったブースがあるのがおわかりでしょうか。
ここは通称「DJブース」と呼ばれるスペースで、名鉄の職員さんがここに入って列車の案内を肉声で行います。ラッシュ時で2分に一本、空いている時間でも3-4分に1本電車が入ってくるこの駅では、他の駅で行っているような自動音声ではアナウンスが間に合いません。列車が出た瞬間から次の列車の種別、行き先、停車駅などのアナウンスを始め、アナウンスを終えたくらいでちょうど列車が入線するように話し終えています。非常に集中力を要する仕事のようで15分で他の職員に交代しています。
⑤降車専用ホームで乗り降りをスムーズに
名鉄名古屋駅は2本の線路の間に島式のホーム(2・3番線)が1つあります。
これは降車用ホームで、到着した列車はまず降車用ホームのドアを開け、その後乗車用ホームのドアを開けます。乗車用ホームが狭いので乗降それぞれホームを別に設けて動線を分けています。
また、このホームにはもうひとつの役割があります。それは特別車に乗る人のための専用ホーム。
名鉄の特急にはミューチケットという座席指定券を購入することで乗ることができる特別車両があります。特別車に乗る人だけはこのホームから乗車することができ、プレミア感を味わうことができます。他の特急停車駅では行っていない特別対応です。
おわりに
1日800本以上の列車がたった2本の線路でさばかれる名鉄名古屋駅。1日20万人もの利用客がおり、これらの乗客をいかにスムーズに乗り間違えなく案内するか頭を使い、さまざまな工夫がされていました。それでも乗り慣れていない人にはかなりハードルが高いようで、現に私の周りでも乗り間違えた人は数多くいます。根本的な解決は駅の拡幅か移転をするしかないのでしょうが、地下駅ではそれは困難です。限られたスペースで最大限の工夫を凝らし、今日も名鉄名古屋駅は日本一忙しい客さばきを行い続けています。
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