156 三重の中心でうんちくを垂れる。
三重県の県庁所在地、津にやってきました。日本で唯一、一文字の都市であることでも有名。吉田沙保里さんの出身地で、津市のスポーツセンターの名前は「サオリーナ」。津市のスターです。
さて、そんな津の代表駅、津駅。なかなか複雑な問題を抱えているので今日はそれをお話ししたいと思います。
上の図は津駅周辺の鉄道地図。津駅には赤い近鉄線のほか、亀山から来る黒いJR紀勢本線と、四日市方面から来る伊勢鉄道線の3線が乗り入れています。
そして、この3線がすべて同じ改札を使用しています。会社ごとの改札は設けられていません。これはこの地域のほかの駅、松阪駅や伊勢市駅でも同じ構造になっています。桑名駅は最近建て替えられた際に会社ごとに改札が分離されました。
ところで、近年都市圏ではきっぷを買わなくても改札を通れるICカードを利用できる駅が増えてきています。三重県内でも増えてきていますし、津駅でも近鉄ではICカードを利用することができます。
でも、JRではICカードは使えません。
JRではこれでもかとばかりにICカードが使えないことの注意書きが書かれています。
ちなみに、三重県内のJRでも、名古屋から亀山までの関西本線ではICカードが使えるようになっています。ここまで使えるなら県庁のある津駅まで使えるようにしてもよさそうです。ですがそれはできません。
それには上の地図の青い路線、伊勢鉄道とJRの関係がかかわっています。
名古屋から津駅より南、尾鷲や伊勢方面にむかうとき、JR線だけを利用して亀山を経由するとかなり大回りになります。そのため、JRは尾鷲方面に向かう特急や、伊勢方面に向かう快速「みえ」号は伊勢鉄道を経由して津駅までやってきます。
津駅で下車したとき、もし鉄道会社ごとの改札があれば、伊勢鉄道経由で来れば伊勢鉄道の、JR線経由で来たならJRの改札を通るので問題なく運賃徴収ができます。
ですがここは前述のとおり改札がすべて一緒のため亀山経由で来たのか伊勢鉄道経由で来たのかICカードでは判別できません。伊勢鉄道もJRであったなら選択乗車の特例も作れたんでしょうが、伊勢鉄道は第三セクターなのでそれもできません。GPSがついているわけでもなくどっちを経由して乗ったのか知るすべがないのでいくら徴収すればいいのかわからない。そのためJR側ではICカードを導入することができないのです。
伊勢鉄道経由の列車が着く1・2番線にICカード読み取り機を置けば、とも思いますが、そもそも路線全体でICカードを導入していない伊勢鉄道がその費用負担をしてここだけICカードを導入するかは疑問です。
JRではICカードが使えない状態は解消しそうにありません。
そんなJRを尻目に近鉄は特急がひっきりなしに停まってお客さんを拾い伊勢、難波、名古屋の各方面に走り去っていきます。
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同じ津駅から発車して近鉄と同様名古屋、伊勢市に向かう快速「みえ」を必死でアピールするJR。近鉄特急に比べたらずいぶん安いんですけどね。それでもこの駅の利用客の80%が近鉄に乗ります。
余談ですが、ICカードで津駅の改札をくぐって、使えないはずのJRに乗車、同じく近鉄とJRが同居する伊勢市で下車してICカードで改札を抜けると、JRに乗ったのに近鉄に乗ったと判断されて運賃の引き去りがなされてしまいます。ICカードが普及していくのは便利ですが、同居型の駅はこのような問題をはらみます。駅の構造を変えるしかないですが費用対効果はどうなのか。難しい問題ですね。
今日はだらだらと津駅にまつわるうんちくを述べてしまいました。
鉄道興味のない方、ごめんなさい🙇
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