81 ベンチに座り静かに海を眺めたいけど~愛媛県・下灘駅
人は千差万別の性格を持つ生き物ではあるけれど、どういうわけか旅情を掻き立てる風景というものが共通してあるような気がします。
その一つが駅から見る海の風景。多くの人に乗って非日常的である駅と海のコラボを目にした時、多くの人はその絶景に感激し、旅に来てよかった、この景色が見たかったんだと感じます。
そんな人々を感動させる駅は全国にいくつかあるのですが、その筆頭株といえば、愛媛県の下灘駅でしょう。
下灘駅は愛媛県の松山からさらに西、予讃本線にある無人駅です。本線にある駅ですが、宇和島に向かう特急は内陸の内子線を通るため、この区間は普通列車のみが走るローカル線です。上の地図で見てわかるとおりかなり海の近くを走ります。
伊予大洲駅から松山駅に向かうこの気動車に乗って下灘駅に向かいます。
沿線では比較的大きな駅、伊予長浜駅をすぎると海が見えてきます。天気も良く伊予灘は穏やかです。
いよいよ念願の下灘駅に到着しました!ライトブルーの列車が向こうの海の景色に溶け込んでいて、これだけでも絶景と言ってしまいたくなります。
下灘駅は昭和10年開業。当初は海に一番近い駅のひとつでしたが、先ほどの写真にあるように今は国道が線路と海の間を走るため海に一番近いということはなくなりました。ただ、寅さんの撮影地になったり、青春18きっぷのポスターの舞台になったことで知名度が上がり、今や鉄道ファンでない方もその絶景を求めてこの駅に訪れるようになっています。
写真に撮っていませんが、この日もかなり大勢の方が写真を撮りに来ていました。ボランティアの方が写真を撮る順番を指示していたりしていて、駅の穏やかさとは対照的に結構ざわつき感があります。
駅が有名になるのは鉄道ファンとしてはうれしいのですが、9割以上の方が車で来ています。これだとJR四国には一円も落ちないのが歯がゆいところです。今は観光列車「伊予灘ものがたり」もリニューアルされ、この駅にも停車しているので是非鉄道でも訪ねてみてもらいたいものです。
改札越しに海を眺めます。額縁のように切り取られて絵のような美しさです。
撮影したのは4月の午後3時過ぎ。もう2時間もすれば夕日の絶景もみられたのかもしれませんが、この時間も西に傾きかけた太陽とシルエットになった駅が何とも言えない味のある景色を演出してくれています。
背もたれもないベンチにそれを守るにはやや頼りない屋根。それらが海を眺めているように佇む姿がなんとも絵になるんですよね。
ほんとに、ベンチに座って何時間でも海を眺めていたい。そんな気にさせる駅です。
実際には有名になりすぎて、かわりばんこにベンチに座っては写真撮影をしているのでずっと座っていたら大迷惑になってしまうのですが…。
伊予大洲方面に向かう列車が来ました。私はこの列車に乗って戻ります。
車でくればゆっくりいられるのかもしれませんが、駅の観光にはきちんと鉄道で来る。これがわたしのセブンルール。夕日は次の楽しみとしましょう。
今回も最後までお読みいただいて、ありがとうございました。
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