見出し画像

282 「君は放課後インソムニア」能登路聖地巡礼①~真脇遺跡

最近、あるアニメを面白いなと思ってみていました。先週終わってしまいちょっとロス気味なんですが。

「君は放課後インソムニア」。不眠症(インソムニア)に悩む男女の高校生が学校の天文台で出会うことから始まったラブストーリーを描きます。物語の舞台は石川県七尾市で、七尾市の町の様子がリアルに描かれているほか、天体写真を撮るために能登の観光地を巡っていることから多くのアニメファンが2人が訪ねた場所を巡礼しに来ています。

わたしもその「聖地巡礼」をした人の一人。奥能登は初めての訪問ということもあり、どんなところかと期待に胸膨らませつつ車を走らせました。2人の高校生が訪ねたいくつかの聖地をご紹介したいと思います。

真脇遺跡

真脇遺跡は能登半島の北部、能登町にあります。
七尾からでも結構遠いですね。アニメの主人公たちは合宿をしながらこの地を訪れました。

2人の旅のゴールとして描かれる、ストーリー上非常に重要な場所です。

サムネイルや上のアニメにも描かれているこの木柱、正式には環状木柱列といいますが、実はこんな広大な遺跡の奥の方に立っています。誰でも無料で近くまで歩いていくことが可能です。

シンプルな二本の木柱がお出迎え。ここが先ほどの環状木柱列への入り口です。
真脇遺跡は縄文時代前期から後期に至る集落跡の遺跡です。1982年ごろにこの場所を流れる小川の位置を変えるために行った土木工事で偶然遺跡が発見されました。調査をしてみるとここは広い範囲で縄文人が数千年という長きにわたり暮らし続けてきた場所であることがわかり遺跡として保存されることとなったのです。

真脇遺跡のシンボルといえばやはりこの環状木柱列。今から2800年ほど前、縄文時代後期に立てられたこれらの柱は非常に神秘的でパワースポット的な印象を受けますが、どういった理由でこれがつくられたのかは実はよくわかっていません。柱列の中に墓や炉の跡がないことから墳墓や住居の跡ではないことがわかっています。祭祀を行うための場所、という説が有力です。北陸地方には同様の柱列のある遺跡が多数あるそうで、共通の思想を持つ人たちが別々の場所で暮らしていたと考えられています。

石にしろ木にしろ、円を描いて置かれるものにはその中央に集まるパワーというものを感じさせてくれます。

夏空がよく似合うな、と思いましたが、アニメの主人公たちのように夜までここで待っていれば満天の星もきっとみられるんじゃないかと思いました。虫が飛ぶと思うのでその対策は必要だと思いますが、ここで夜空を眺めるなんてこともしてみたいですね。

環状木柱列の外側ではイルカの歯や骨などの化石が数多く発掘されています。今は海岸線はもう少し先にありますが、当事はこの環状木柱列のすぐそばが海岸線だったようです。

すぐそばに別の木柱列がありました。こちらは当時の村の首長の墓跡と考えられています。

発掘によって出土した遺跡が木柱列のそばでこのように展示されていました。

こちらが真脇遺跡の資料館、縄文館。ここででた出土品などが数多く展示されています。

こちらは環状木柱列の付近から発掘された別の木柱列の一部。環状木柱列は今復元されたものの近くに別のものもあったみたいですね。縄文人がこれだけこだわりをもって立てていたわけですからかなりそのコミュニティにとって重要な意味を持っていたのでしょうね。

出土した土器のかけらは自由に触ることができました。数千年の歴史がある縄文遺跡ですので、掘り返す深さによって出土する土器もその時代によって文様や形状が異なります。それらが同じ場所で発掘されるので真脇遺跡は縄文歴史の教科書といわれる存在になっているそうです。

資料館の玄関には「君は放課後インソムニア」映画のポスターもありました。森菜々さんらが演じる実写版は6月23日より上映しています。もしご興味ありましたらこちらも是非ご覧ください。


いいなと思ったら応援しよう!

ミヤコカエデ(Miyako Kaede)
サポートいただけたら小躍りして喜びます! 今後一層フットワーク軽く旅先に向かい、情報提供に努めたいと思います。 よろしくお願いいたします!