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275 長崎の高台で龍馬の足跡を辿る

1年ぶりに長崎にやってきました。

テールランプが赤いのでうさぎのような顔立ち

前来たときはなかった西九州新幹線も開業。武雄温泉からだとあっという間に着いてしまいます。

長崎駅前は新しく生まれ変わるべく目下大工事中。次に来るときは見間違うほど立派になった長崎駅を見ることでしょう。

長崎には何度か来ていて、南山手や浦上など主要な観光地は少し前にも歩いていたので、今回はまだ尋ねたことのない場所に行くことにしました。市電に乗って新大工町へ。

この付近にはかつて坂本龍馬が日本初の商社「亀山社中」を立ち上げた場所があり「龍馬通り」を歩いて坂本龍馬の歩んだ道を辿ることができるのです。

…はいいんですが、道中はごらんのような階段。長崎は平地がほどんどなく山を切り開いて家を作っておりその間を坂道や階段が繋いでいるところが多いんですが、ここも例外ではありません。

6月半ばですがこの日は梅雨の中休み。蒸し暑くてすぐに服が汗でびしょびしょ。足腰にもこたえます。ひぇぇ…!

心が折れそうになると龍馬先生が励ましてくれます。
はいはい、がんばります。

ようやく亀山社中記念館のある場所まで登ることができました。坂本龍馬たちは毎日ここから市街地まで上り下りしていたのでしょうか。

亀山社中は幕末の1865年、坂本龍馬やその同志20数人によって結成された商社兼私設海軍です。武器の取引を行いながら航海を行い物資輸送を行っていました。

老朽化した遺構を復原して2009年から一般に公開されています。

こちらの亀山社中記念館の名誉館長は、大の坂本龍馬ファンで知られる武田鉄矢さん。こちらの坂本龍馬の肖像画は高知でロケがあった際に地元の方から武田さんがもらったものなんだそうです。

さて坂本龍馬といえば、ブーツ。

坂本龍馬の写真は何枚か残されているのですが、ブーツを履いている写真が複数ありかなり異彩を放っています。和装にブーツというかなり不釣り合いないでたちの真意は龍馬本人に聞かないとわかりませんが、写真を撮ること自体がこの時代珍しいことだったことを考えると、新しいもの好きだった考えるのが一番しっくりくるのではないでしょうか。

ブーツはもちろん現存していませんが、写真などから復元したブーツも展示されています。

記念館の外にもブーツの碑。龍馬はブーツを履いてここから長崎の町を眺めていたのでしょうか。

記念館から少し離れたところにある「亀山社中資料展示場」では先ほどの坂本龍馬の写真を撮影した写真家・上野彦馬氏による他の志士たちの写真や五か条の御誓文の原案などが所蔵されています。残念ながら土日のみのオープンで、平日のこの日はお休みでした。

亀山社中記念館前の通りを歩きます。この辺りはこのような細い路地や階段が続きます。旅人にとっては長崎らしい風情のある光景なんですが、住んでいる地元の方は車で家の前まで来ることができず、毎日の階段の上り下りが大変でしょうね。

龍馬通りはまだ続きます。龍馬の像がある風頭(かざがしら)公園まで歩きますがまた上り階段。うへぇ。

いや、もう全然愉快パラダイスじゃないから。

階段の入り口にも小龍馬像がありました。これが龍馬像なのかと思いましたが、もっと大きいのがあるようです。

風頭公園では満開の紫陽花が出迎えてくれました。汗だくで息の荒いわたしにしばしの癒しを与えてくれます。

紫陽花は長崎市の花です。日本原産である紫陽花をシーボルトが長崎からヨーロッパの持ち帰り、欧米でも栽培されるようになりました。シーボルトが愛した日本人、楠本瀧の名を取り「オタクサ」と海外で紹介したことからこの名が広まり長崎でも「オタクサ」と呼ばれることがあります。


そんな紫陽花を愛でた後、もうひとがんばり展望台に登ると坂本龍馬の像に出会うことができました。

グラバー園のある南山手や稲佐山から市街を見下ろすことはありましたが、この方角からは初めてです。ビルの立ち並ぶ市街地の向こうに長崎湾を望むことができます。その向こうは造船所です。ここから眺める夜景も稲佐山のそれにひけを取らない美しさだそうです。

当時開発もされておらずただの山だったこの場所に坂本龍馬がここに来た記録はありません。ただ、亀山社中の建つあの高台から開国したばかりの長崎の港を眺め、幕府を倒した後の新しい日本の姿を思い描いていたに違いありません。

亀山社中を足掛かりにして薩長同盟を成功させ倒幕勢力を結集させた龍馬。脱藩した土佐藩からも赦免を受けて亀山社中は土佐藩の運輸、交易などを援ける藩の外郭団体「海援隊」となります。坂本龍馬が暗殺され、その後明治政府により海援隊が解散させられましたが、そのメンバーが設立した会社は現在の日本郵船や三菱商事のルーツとなるなど現代においても脈々と生き続けています。

炎天下、階段を上り下りして歩いた自分にご褒美、長崎名物の「ミルクセーキ」をいただきました。長崎のミルクセーキは飲み物ではなく、食べ物。氷を掻き込むとキーンと頭が痛くなりますが、体を一気に冷やしてくれました。

長崎とも縁の深い坂本龍馬。長崎に来られたらぜひ龍馬めぐりの旅も楽しんでみてください。

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