見出し画像

45 近江路にヴォーリズを訪ねて

今日は電車に乗らず、久しぶりにドライブ。滋賀県近江八幡市に来ました。

近江八幡は琵琶湖の東岸にある城下町。琵琶湖を結ぶ人口水路である八幡堀沿いに広がる土蔵が江戸時代、水運によって支えられたこの町の姿を彷彿とさせます。

画像2

さて、この近江八幡の地に外国伝道のため来日したひとりのアメリカ人がいます。

画像3

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。キリスト教の布教のため1905年に近江八幡の英語教師として赴任したのち、建材やオルガンの販売など数々の事業に携わりました。

彼が手掛けた事業で今も残る代表的なものがこちら

画像4

メンソレータムは現在ロート製薬が販売していますが、アメリカのメンソレータム社の日本代理店として初めに輸入販売し、国内に広めたのが近江兄弟社。現在はそのノウハウを生かしたメンタームという商品を販売しています。

さて、もともとは建築家をめざしていたヴォーリズは日本で建築士事務所も設立。数多くの建築を残すことになります。近江八幡は江戸情緒を残しながら、ヴォーリズの洋風の建築物も数多く残る街となったのです。

画像4

旧八幡郵便局。この日は開いていませんでしたが現在はカフェなどに使われているようです。玄関や窓のアーチに南欧風の白壁が特徴的です。

画像5

こちらは有形文化財に登録されているアンドリューズ記念館。昭和初期に建てられましたが現役の建物でヴォーリズ由来の建築事務所が入居しています。

画像6

近江兄弟社地塩寮(ちえんりょう)。聖書の中にある「あなたがたは地の塩である」という言葉がその名の由来で、近江兄弟社の青年寮として使われていました。この言葉はヴォーリズが設立した近江兄弟社学園(現ヴォーリズ学園)の校訓にも引用されています。現在も集会場、2階は牧師の住居となっていて中を見学することはできません。和風の民家ですがモルタルの白と窓枠のコントラストがどことなく洋を感じさせます。

画像7

ヴォーリズ記念館。予約すれば中の様子も見ることができます。もとは幼稚園の牧師宿舎として設計されましたが、ヴォーリズ自身の居宅として利用されました。アンドリューズ記念館にもありましたが暖炉の煙突が特徴的。これまで白壁ばかりでしたがこちらは木貼りの壁。壁の白とのコントラストが美しいです。

ヴォーリズは1000にも及ぶ建物の建築設計に携わったといわれています。近江八幡に限らずその作品は全国にあるのですが、近江八幡の近く、豊郷町にある代表的な建築物がこちら

画像8

旧豊郷小学校。白亜の教育殿堂とも言われる豊郷町のシンボル的存在です。

小学校は隣に移っていますが、図書館や子育て支援センターなどに活用されています。日中は見学も自由です。

画像11


画像9

階段の手すりにはうさぎと亀。ストーリーになっていて3階にのぼると…?

是非ご自身の目で見に来てください!

画像10

特徴的なのは講堂。椅子は作り付けで今の体育館のようなパイプ椅子並べる形式ではありません。さながら礼拝堂のようです。前の方に向かって床が傾斜しているので後ろの人も舞台が見えやすくなるように工夫されています。

こんな趣ある建物なので、映画のロケやアニメでもよく使われています。アニメでは「けいおん!」、映画では「君の膵臓をたべたい」の教室や図書館として使われました。最近もカムカムエブリバディの撮影があったようですね。

今に生きる人々にも未だ愛され、価値を認められているヴォーリズ建築。日本を心から愛し、帰化までした彼だからこそ西洋の建築をお仕着せせず、和の部分も取り込んでいった。それが町並みに調和したことで日本人も愛着を持つようになったのかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!

ミヤコカエデ(Miyako Kaede)
サポートいただけたら小躍りして喜びます! 今後一層フットワーク軽く旅先に向かい、情報提供に努めたいと思います。 よろしくお願いいたします!